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ごくうが行く:キツネですか。

画像:(再掲)ごくうは逆立ちをよくする。

妻が事あるごとに「食べに行きたい」という。お目当てのレストランがある。促されて行くと、おばあさん手前の女性が若い人と一緒に食事していた。若い女性といっても中年か。スマホを片手におばあさん手前のリクエストに応えてなにやらサーチしている。

おばあさん手前の女性が
「サブスク・・・なんとかかんとか」

(えっ、サブスク・・・)

数日前に覚えた言葉だ。菊地さんはサブスクで多すぎて「解約」しなければと話していた。気がつけば、サブスクは知らなくても、相当前から実践者だった。

家に帰り、昼寝していると、ごくうが吠え出す。もう4時を過ぎていた。吠えただけで分かる。(早く、散歩に行け、早く)

促されて散歩に出かけると、中学生の下校時間と重なっていた。中男8人と交差点に向かっていく。交差点で待つとき、ごくうを見ながら「可愛い」と一番背高が声を抑えもせず。

中男はそのまま直進、ごくうは交差点を渡る。巡航並みにごくうは歩を進める。川筋を下り、橋を渡り、交差点を渡った。先ほどの中男グループと再び遭遇する(エンカウント)。「エンカウント」も2日前に出くわした。思い出していると、先ほどの中男が交差点を渡る手前で「かわいい」と同じ言葉を発する。

交差点を渡りきるとき、「キツネですか」と放つ。本人はもちろん分かって発言。仲間の顔がほころぶ。ごくうを連れている飼い主もほころぶ。ごくうは(なんのこっちゃ)とも思わず、自分の行きたい散歩道をまっしぐら。

家に帰り、そのことを妻に伝えると、「そうよね、ごくうはキツネよね」(納得するんかい)とも言わず、微笑む。今夕は食べてくれるかな、いや、やはり食べない。キツネは空腹を抱えることがあるが、ごくうは食べ物があっても食べない。なんとかしてください、キツネさん。

*キツネさん、ありうがとう。3時間後に食べましたよ。