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ハイハル(灰春)を前に|纁春/ソヒハル|あるいは樺色(かばいろ)

冬の訪れは、枯れゆく木々とともにやってくる。街は静かになり、風が草原をなぞる音だけが聞こえる。そんな冬に向かう景色を眺めながら、青き白老が静かに語り始めた。

「冬は木々が立ち枯れて、周りがすっきりと見える。自分の歩みがクリアに見えている」

彼は75歳を迎えていた。人生の秋を終えようとしているが、彼の心意気はまだまだ若々しく、春夢を捨ててはいず、続けている。

*春夢=青春時代に描いた夢

「実績も年齢に相応しくなく、遠いが、」

「まだまだ『夏』の夢も捨てたくない」

彼の目には、未来への輝かしい希望が宿っていた。それが彼の心の支えであり、彼を前進させる力だ。

冬を迎えても、寒さにも負けず、心を温め、夢を追い求める勇気

---了