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小花咲かせるビワは本草?

画像:2022年12月10日現在

ビワは常緑性で、樹高は10メートルにも達し、高木に属する。枝が木の周りに出て、多く展開する。木は少し長細くなるが、丸っこい。

葉は枝に互い違いに生 え、互生する。葉は長細く、印象深い楕円形をしている。葉の長いものは20センチに迫る。葉の縁が鋸歯(きょし)であり、ギザギザ模様。葉は暗緑色をしている。表面には毛が付いている。しかし、毛はなくなっていく。葉の表面はいくらかテカっている。葉は厚く、思いのほか硬く、葉脈は筋を引き、くっきりしている。

ビワは11月下旬頃には仄かな香りが漂い出す。気を付けておかなければ分からない香りだ。ビワの花は枝先に数多く付ける。5弁の萼を広げながら咲いてくる。萼には短く細い毛が沢山付いている。ビワの花は白色で、5弁あり、小さい。やがて、花色は黄色に変化して行く。

ビワの実は冬に実を付け、春になり、大きくなっていき、初夏過ぎ位に実る。大きな種の周りに薄黄色の果肉があり、表皮に覆われている。香りがあり、果汁は多い。食用になるビワは「茂木ビワ」がよく知られている。

ビワの葉は本草として活用されている。ビワの葉を乾燥させ、他の本草-肉桂・莪蒁(ガジュツ)・甘茶-と合わせて煎じ、飲料「枇杷葉湯(びわようとう)」として利用されることがある。刻んでも利用される。

*莪蒁(ガジュツ):ショウガのような草本。根茎がウコンに似ている。

ビワの実-果肉-はフルーツとして、食べられるが、果肉の大きさの割りには、幾分価格が高い。ジャムとしても利用されるが、それとは違い、梅酒のように、コンポート(フランス語、compote:ヨーロッパの伝統的な果物の保存方法 )としても利用される。ビワを水や薄い砂糖水で煮て作る。

ビワの葉を濃く煮た煎じ汁も、飲用、浴用として利用されたことがあり、痛め止めなど、灸としても利用されたこともある。最近でも、行われているかもしれない。

参考図書
・牧幸男(1995年)『薬草歳時記』ぎょうせい。