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ごくうが行く:今度はナンパされる?

妻も一緒に散歩するとき、ごくうはお大師堂コースを選ぶことが多い。今夕もお大師堂に寄ることができた。お大師堂では年末に寄進された松飾りを持ち帰った。お大師堂でお祈りしていると、シルバー男性が橋の欄干にすがり、様子を窺っている。(次にお参りするのかな)頭を掠める。

お参りが終わると、シルバー男性が年始の挨拶をする。初めて会う人だ。挨拶返しをすると、にこやかに返しをする。立ち去ろうとすると、散歩を急ぐごくうを見ている。(ごくうを知っているのかな)頭を掠めるが、ごくうに着いていく。シルバー男性は散歩に向かうごくうを目で追っている。

「ごくうを可愛がりたいんかねぇ」
「そうかも」「いや、松飾りを作る人かも」「そうだ」自分で納得させようとする。妻もなんとなく納得している。シルバー男性は歩を進めている。

ごくうは同じコースを辿ることがある。橋を渡ってコンビニの方向に進んでいく。(さては、狙っているな、公民館コースの逆回りを)

案の定、ごくうは公民館コースを逆に辿っていく。向かい側から、自転車のシルバー女性がごくうの前で止まった。ごくうが小さいとき、よくお店で出会い、必ず挨拶し、可愛がって貰った。ごくうの鼻泣きは異常なくらい。今はもう店で出会っても鼻泣きしない。さっさと急ぐ。

シルバー女性は自転車から降りると、「ごくう、ごくう」と立て続けに呼びかける。ごくうも振り返り、近寄ろうとする。が、手前まで来ると、すぐ引き返し、散歩に戻ろうとする。シルバー女性が呼びかける。呼びかけに応じて、ごくうは鼻泣きするが、近寄っては散歩に戻ろうとする。シルバー女性はごくうを撫でることはできない。それを5,6度すると、ごくうは散歩に行こうとする。もう期待できないと知ったシルバー女性は諦めた。自転車で去って行く。失望の表情と一緒に。

ごくうは小径を上がろうとすると、上から黒い中型の犬が下りて来る。飼い主は強引に犬を散歩に向かわそうとする。ごくうはお構いなしに自分の散歩コースを選ぶ。と、思ったら、ごくうは山陽道を下りていく。途中で、黒い中型の犬と擦れ違った。(あの犬は遊びたがっているのに、絡まさない飼い主もいる)

川筋を下りだした。公民館を過ぎ、信号を渡った所で、少し若いシルバー男性に出会った。一瞬、男性は躊躇したように見えたが、思い直したのか、「ごくうだよね」ごくうを捕まえるように撫でる。ごくうは受け入れている。「ごくうだよね」同じ言葉を繰り返しながらごくうを撫で回す。ごくうも受け入れている。ひとしきり撫でた男性は礼を言って分かれて行った。(誰だったのだろう)頭の中で反芻しながら帰路につく。

ごくうは何事もなかったかのように坂を上がり、公園に。マーキングを終えると、抱っこもなく、素直に家に帰る、こともある。散歩が長かった。今夕は7000歩を超えているだろう。