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ごくうが行く:トクサの壺庭

画像:梶谷奈充子(2022)『美しい押し花図譜』誠文堂新光社、146頁から。

ごくうの散歩道で、トクサが壺庭のように植えられている家は2軒ある。内1軒は空き家でトクサは直線的に伸び放題に伸びている。トクサには節があり、この節を生かしながらディスプレイすると、和風の趣きのあるドライフラワーができる。

ごくうは、来た当初は、散歩で出会う人にはよく愛想を振りまいていた。しかし、もう1軒のトクサの壺庭がある新築の家人には出会うことがなかった。1年が経過した頃、家人が家の前の駐車場で出くわすことがあった。ごくうの散歩を遠目で見ながら見送っていた。ごくうには母親が関心があるようだった。

ごくうの散歩中に挨拶程度の話すことがあり、ついでにトクサについて話したが、トクサを知らずにいた。トクサの話しが終わると、母親は犬に関心があるようだ。ごくうを見て遠慮がちに可愛がった。側で男の子二人が遠巻きするように見ている。

次に出会ったとき、母親はごくうを撫でに掛かる。散歩中のごくうを車で見たよと報告しながら。年下の男の子が寄ってきて感触を確かめるように恐る恐る撫でる。年上の子は遠巻きに眺めている。父親も遠巻きに眺めている。

しばらく経って、また出会うと、今度は母親と子供二人がごくうに近寄り、ごくうを代わる代わる撫でる。もう年下の子は平気なようだ。相変わらず年上の子は遠慮がちだ。

次に出会ったとき、ごくうは義理堅く家族に寄っていく。3人に撫でられるごくうを遠巻きに父親が見ている。ごくうは4人家族の仲の良さを感じ取っているのか、甘えるような様子が目に見えている。

ごくうの散歩時の出会い時間は約束事のように短い。挨拶が終わると、ごくうは散歩に戻り、黙々と歩いて行く。

しかし、春も中頃、疲れが出やすいのか、年を取ってきているのか、お大師堂に来ると、最近は散歩の3分の1を抱っこで帰ろうとする。