妻の記録:妻は「台湾」の汁ソバが好き

普通「台湾屋」と言っているが、店名は「台湾」である。「台湾」は先代の親父さんが戦後台湾から地元に帰り、店を開いた。台湾の新竹ではビーフンが作られている。「台湾」の焼きビーフンはこの店固有の作り方である。他店では今まで味わったことがない。ウエットな焼きビーフンではなくて、ドライな焼きビーフンである。この焼きビーフンに加えて、「汁ソバ」も他店では味わえない、というか、この店固有の麺を使う。

汁ソバは妻の好物である。12月に入り、妻がお墓参りに出かけたいという。お墓参りの節には、台湾屋に出かける。お墓参りを済ませ、お昼時に台湾屋に出かけた。寒い季節には、汁ソバを注文する。汁ソバが出て来たが、妻は右手を打ち身している。多少良くなってきているが、自由には箸を使えない。

出て来た汁ソバを左手で箸を使い、食べていた。いかにも食べにくそう。家では、フォークで食べている。フォークを頼もうかと言っても「いい」という。苦労しながら食べている。

汁ソバだ。こちらも妻に構っていられない。いつものように食べていた。ふと見ると、妻が右手に箸を持ち替えて食べている。食べにくそうだが、なんとか箸を運んでいる。右手で食べる契機になればいいがと思いながら汁ソバを食べ尽くした。妻もほぼ食べている。

ここで突き出しに出されるタクワンは美味である。そのタクワンを食べながら、汁ソバが美味しかった、という表情が出ている。