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ごくうが行く:暮れなずむ乙女ではない

画像:快晴の夕焼け。

ごくうが公民館コースを選んだ。ちょうど公民館の横に来た時、ジェームス君(フレンチブルドッグ)のお姉さんが来た。お姉さんはごくうが大好きだ。頬ずりするように撫でてくれる。しかし、ごくうはお姉さんに気を配らない。側を通っているのに。相手をしてくれなさそうなごくうを見て、お姉さんは自嘲気味に歩き去って行く、苦笑に似た微笑みを残して。

ごくうは里山を一周したくらいでは、散歩を満足しない。さらに、もう一つのコースを選んで歩き出す。と、思ったら、いつも撫でたがりのシルバー女性が待ち構えている。ごくうも気がつき、鼻を少し鳴らして近づく。が、挨拶が終わると、さっさと歩き出す。シルバー女性はあっけにとられ、寂しそうだ。慰めの言葉を残して散歩を続行。

川筋を下ると、お大師堂だ。今日、妻はリハビリだった。その日の夕方は散歩しない。お大師堂を横目に川筋を下り、古い橋を渡る。川向こうの西は夕焼けが始まっていた。今日は快晴だ。雲はない。夕焼けが始まっているが、星は出ていない。

ごくうはお構いなしに、散歩を急ぐ。橋を渡り、南に上がって行く。次第に暗くなり、いつもの間道に上がろうとはしない。歩を進めて、てっちゃん道路を南に上がって行く。今日はさすがに散歩が長い。ごくうも折り返した。今夕はもうかなり暮れなずんでいる。すでに、一番星(金星)、二番星(モ木星)が明るさを増している。今夕は半月だ。

木星・金星・土星(見えない)

他の星も輝き始め、いよいよ暮れなずんでいる。前から高校生二人が歩いてきている。一人は徒歩で、一人は自転車に乗っている。徒歩の高校生がごくうを見て、「かわいい」と思わず漏らす。自転車の高校生もブレーキに手を掛けた。ごくうは何事もなさそうに歩いて行く。過ぎ去ろうとするとき、ごくうは一瞥も送らない。

半月が天央に上ろうとしている。車の光の往来を止めて、ごくうは信号を渡る。ごくうが渡れば、車が再び光の往来。交差点に来た。ごくうはもう素直に帰り始める。もうスタミナは切れているようだ。昨夜はほとんど食べていない。今夜もまだ食べない。昼に少し炒めた牛肉を食べただけだ。日暮れて夜遠し。