ごくうが行く:行きっぱなし
ごくうは散歩が大好きである。散歩時間の10分前になると、歯切れの良い音で「ワン」と吠える。散歩時間を過ぎると、怒るように「ワン、ワン」と強めに吠える。
季節が変わり、散歩時間が変わっても翌々日には前日の散歩時間になると、促すように側で彷徨き、しばらくして「ワン」と吠える。
「お仕事中よ。」というと、側のサマーベッドの布団の上にヒョイと移り、しばらく待つように注視しているが、長く掛かりそうだと判断すると、つまらなさそうに顎を前に出す。
仕事が終わるのが分かるのか、やおら立ち上がり、ヒョイとサマーベッドから降りる。
いつものように、散歩に出かけると、足取りも軽く、急くように歩く。小山を一周した頃、ボーダーコリーに出会う。団地から出て間もないのに、疲れて散歩を嫌がる様子。
「ごくうはよく散歩するねー。」
半ば呆れるように、半ばうらやましそうに呟く。(大型犬は散歩がかなり必要:ごくうは1.5km位でOK)でも、暑くない季節は、ごくうはボーダーコリーの3倍くらい歩く。
ただ、暑くなると、ごくうは行けるところまで自分で歩くが、ピタリと止まり、上を見上げる。
「水が欲しい。」
といっている。燃料切れのように動かない。今日は2kmも歩いた。
水を与えると、美味しそうに飲む。飲んだ後、ピタリとそのまま動かない。動いても2,3歩。再び見上げる。まなざしがダッコと言っている。
ダッコすると、当然のように身体を預けてくる。3kg超のウエイトを掛けて歩くこと1km超。
団地入り口まで来ると、ボーダーコリーに出会った。
「ごくう、もう歩かないんか。」
歩きたくないボーダーコリーは歩き、歩けるごくうはダッコのまま歩く。
今日も日が暮れていく。