ごくうが行く:ナンパチワワは「さくらちゃん」だった。

「ナンパチワワに」https://note.com/tsutsusi16/n/nec3a6f960416

ごくうが散歩しているとき、小型のチワワがトットと坂を上がってきた。見る見るうちに、ごくうに近づきご挨拶。ごくうは押され気味だけど、受け入れている。飼い主が後を追いかけてきていた。ヒョイと抱え上げられてしまった。

それ以後、1度出会ったが、そのときには飼い主と一緒だった。時を置いて、坂上がりの途中に家がある。その家の玄関前でリードに繋がれたチワワが吠えている。

「やはり、ここの家なんだ。」

ごくうは吠えられても吠え返したりはしない。ましてやナンパされたワンちゃんである。横目で見ながら、いつものようにマーキングしていく。

それからしばらくして、チワワのお家の前を散歩で通ると、また吠えられた。ごくうは横目で見ながらマーキング。

チワワに遭遇することもなく過ぎていた。チワワが一人で坂をトッとトッと上がってきた。同じように、チワワはごくうをナンパする。ごくうの腰は引けているが、逃げたり、怒ったりはしない。そこに、飼い主が慌ててやってきた。

「大丈夫ですよ。仲良しですから。」

「あら、そう。」

飼い主の急ぎ足が緩くなった。チワワはごくうに纏わり付く。ごくうは腰が引けながら応じている。飼い主が追いつくと、ヒョイとチワワを担ぎ上げ、家に帰ろうとする。

「小さいですね。体重は。」

「2キロよ。」

歩きながら答える。

「ワンちゃんのお名前は?」

「さくらよ。」

「えっ、そうなんですか。うちにも「さくら」という犬がいたんですよ。女の子なんですが。」

「うちのも女の子よ。」

「そうなんですか。」

ごくうは先を急いでいる。

「またね。」

ごくうはいつものコースを辿っていく。

片手で抱えられるナンパチワワ=さくらちゃんはすでにお家の中。