キャンパスのいあわせ美女：デモの行方

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カムカムエブリボディで、「ベリー」こと「一子」がブックバンドを小脇に抱えて登場した。ブックバンドは1970年前後に学生の間で流行した。ブックバンドで教科書やノートを留めて持ち歩く。講義が少ない日にはブックバンドで持参する学生が少なからずいた。

1960年代末期、全国的な大学紛争に巻き込まれ、大学正面の門は立て看板で覆われ、その後ろは机と椅子が連結され、バリケードが築かれていた。迷路のような通路を抜けてキャンパスを出入りする。1970年に向かって大学は紛争が激化していた。

大学正面から入った森戸道路では、ノンポリ学生も参加して学内デモが行われていた。そのデモ列には、私服の男性とともに、私服のままの女子学生が数人参加していた。その中の1人がブックバンドをぶら下げるように脇に抱え、左手を前の学生の肩に掛け、ジグザグに動くデモ列について行っていた。

やがて、キャンパスは夏期休暇に入り、学生の出入りは自然と少なくなっていた。1969年8月17日（～18日）、機動隊が封鎖解除に向かった。正面玄関の前は争乱状態になり、警察力の導入よって大学の封鎖が解除された。

秋になり、9月1日から授業再開となった。大学正面から入った森戸道路では、学内デモが行われたが、30人にも満たず、いあわせ美女の姿はなかった。

デモに参加していた学生は、50年を経て、70歳前後になっているだろう。

＊ノンポリ：nonpoliticalからきている。政治や学生運動に関心を示さない学生。