ごくうが行く:ごくうは電池切れ

日曜日は妻が夜テレビを見る予定がある。早めに散歩に行くことが多い。日のある内に散歩に出かける。

前からボーダーコリーが帰ってくる。ルーティンの挨拶をすると、もう散歩に戻る。最近はあっけない。

交差点を渡ったとき、西から柴犬がやってきた。この柴犬は2回目だ。一通りの挨拶をしていると、その後から親子3人ずれが追いついてきた。子供はまだ1才くらいだろう。ようやく普通に歩けるようになったばかりのようだ。父親が庇うようにフォローして歩いてくる。ごくうはそのまま行こうとするが、男の子がごくうを触ろうとする。父親が尋ねる。

「大丈夫ですか。」

「ええ。ごくう、ご挨拶は」

先に行きかけたごくうはユーターンし、男の子にすり寄る。男の子は用心する姿勢も見せず、ごくうを撫でようとする。ごくうは父親に挨拶する。その間、子供がごくうの背中を撫で回す。

母親が追いつき、微笑み返し。しばらく撫でられると、男の子の撫でるのを振り切るように散歩に戻る。

ごくうはママが散歩すると、お大師堂コースをなぞる。途中、橋のたもとにある家のご主人にであった。ご主人と手を振るシルバーとは知人だ。ごくうを見ながら、微笑みながら、道を譲ってくれた。2年前くらいから散歩を始めている。

お大師堂をお参りし、散歩を続けると、トクサを植栽している家族が車で帰ってきた。ごくうを見て、微笑みながら礼をし、礼を返す。3週間前、ごくうの散歩の時、家の前で家族3人が庭で遊んでいた。家族はごくうが来たと思って、庭の際まで出て来た。ごくうは急いでいるのか、さっさとやり過ごす。家族の残念そうな表情が残ってしまった。今度は寄って行こう、と思いながら散歩を続ける。

新しい団地の上がり口で、また別の柴犬に出会った。柴犬は人気の犬種だ。プードル犬も人気だ。妻のマッサージで、足長プードルが奥様とおぼしき人とシャナリシャナリと散歩しているのに2度遭遇している。

コンビニの前を通り過ぎ、忽然と消えるワンちゃんのコースを辿っていると、女性のシルバーが追いついてきた。

「散歩はいいですね。」

2年位前から散歩を始めている。先ほど出会い道を譲ってくれた橋のたもとにある家のご主人の奥さんだ。いつも別々に散歩している。奥さんはひとしきり話すと、赤い手袋を振りながら歩き去って行く。

ようやく一番星が輝く頃、ごくうは団地の公園を彷徨き回る。しかし、途中でピタリと止まる。螺子(ネジ)切れだ。ごくうは動かず、抱かれ上げられるのを待っている。

抱き上げると、ごくうはすっぽりと懐に収まる。抱いたまま家に帰る。さあ、足を洗って、口を漱いで、タオルで身体全体を拭き、ガムにありつけるぞ。