妻の記録:この手、お父さんがやったん?

妻が朝食を済ませた後、打ち身の手を見つめながら

「この手、お父さんがやったんかね~」

と真顔で聞いてくる。黙ったまま妻を見つめると、

「何しよったんかね。」

しばらく間を置いて、

「椅子に上がり、窓のゴミを拭き取ろうとしたんよね。」

「それで、椅子から落ちたんじゃ。」

自分で納得する。

「頭がおかしくなったんじゃろうか。」

肯定もできず、成り行きを見つめていると、

「ごくうが起きてこんね~。」

ごくうは妻が手を打ち身してから、朝遅く起きる。妻が度々寝返るので、熟睡できないらしい。

「眠たいから寝たい。」

妻は2階へ、ごくうを階下に下ろし、庭に出す。ごくうは用が済むと、さっさと2階へ。一緒に寝るらしい。

事故が起きると悪化するという。打ち身が酷く、多様な動きができていず、単調な動作しかしない。

妻の寝ている間に、冷蔵庫の整理ができる。冷蔵庫の整理を見るのは辛いらしい。

賞味期限切れの食材を見るのは辛い。野菜をカットしては、冷蔵庫に入れるので、複数同じような処理をした野菜が見つかる。

「冷蔵庫が綺麗じゃけど、誰がやったんかね~」

と言われそうな気がする。