捕獲業務における法律

竹田 努 宇都宮大学雑草と里山の科学教育研究センター

■ 関連法規の整備と課題

鳥獣関連の法律

鳥獣捕獲に関する法律は主に以下のとおりである.

1.鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
(鳥獣保護管理法)
  (ア)鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行令
   ①鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則
    1.鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための
      基本的な指針
    2.鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための
      特別措置に関する法律
  (鳥獣被害防止特措法)
3.特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
(外来生物法)
4.絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)
5.動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)
6.銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)
7.自然環境保全法

狩猟に関わる法律の変遷

鳥類や哺乳類の捕獲に関しては,基本的には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」によって規定されている.鳥獣捕獲に関する法律の歴史は古く,1873年に太政官布告によって鳥獣猟規則が誕生し,猟を生業とする職猟と遊楽のために猟をするものを遊猟に分けられた.狩猟税は職猟が一円(現在貨幣価値でおよそ2万円),遊猟が十円(同20万円)であった.銃猟を免許鑑札制にし,銃猟免状を東京は内務省,地方は其々の地方官庁に願書を提出して取得しなければ基本的には銃猟が禁止となった(有害駆除は例外).狩猟期間は,10月15日から4月15日と定められ,可狩猟場の制限が定められた.「作物植付けある田畑内或は社寺人家等の構内」などを禁じている内容は,現在と同様である.
その後,太政官布告の鳥獣猟規則に代わって1892年に勅令として狩猟規則が発布された.狩猟規則では,禁止する猟法が新たに加筆された.爆発物や据銃(銃を使ったわな),危険なわな,陥穽(落とし穴)が禁じられた.狩猟免許は甲種乙種に分けられ,甲種は銃を使わない猟,乙種は銃を使う猟として,鳥獣猟規則では銃のみが規定されていたのに対して,銃をつかわないわな猟なども含まれるようになった.乙種の狩猟期間は,鳥獣猟規則と同様であるが,甲種は狩猟期間が10月15日から1年間と定められた.また申請すれば10年の期限で猟区の設定ができた.更に「鳥獣保護」の名目で捕獲が禁止および停止される鳥獣が具体的に示され,規則に対する違反者への罰則についても明記された.
しかし,勅令で規制されていた事項が法令化される流れの中で,わずか3年後の1895年に狩猟法として改定された.内容は,捕獲禁止の鳥獣種名の具体的な記載がなくなり,農商務大臣が後に保護する鳥獣を指定する形になった.また,狩猟免許に職猟と遊猟の分別が無くなり,狩猟税は所得税や地租など所得に応じて1等から3等まで区分し,異なった金額を徴収した.なお1等と3等では10倍の金額の差があった.更に6年後に改正があり,現在の鳥獣保護区につながっていく銃猟禁止区域制度が生まれた.
米騒動のあった1918年には狩猟法が全面的に改正された.銃以外の猟具の名称が初めて登場し,北海道が他の地域とは別に猟期が長く指定された.狩猟税は1等45円(現在の9万円)2等が20円(同4万円),3等が5円(同1万円)となり,1等と3等との差は若干減ったが,甲・乙種の猟法別では金額に差別が無くなった.また,保護する鳥獣ではなく狩猟鳥獣の指定をする形になった.
休猟区の制定や鳥獣保護事業計画制度など狩猟鳥獣資源の保護に関する項目を増やして1963年に名称が鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に変更された.さらに3度改正される中で,狩猟者登録制度が生まれ,特定猟具の所持や販売が規制されるなど,狩猟者を統制管理した内容に変わった.2002年はその全部を口語体に改定して,名称も「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に変更された.内容としては大きな変化はないが,網猟とわな猟の免許区分などができた.鳥獣の保護が進む一方で,1980年頃から次第に鳥獣害が農林水産業で顕在化し始めたことから,計画的な捕獲が求められるようになった.そこで2014年に「鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に名称を変更し,指定管理鳥獣捕獲事業などが盛り込まれてきた.   
長い年月をかけて,若干遅きに失しながら鳥獣の増減に対応して法律は制定・改正されてきた.そもそも原点に戻って考えれば,本法律の当初の目的は,安全でかつ資源を公平に利用するための「狩猟のルール」であった.ゆえに「狩猟規則」の時点で,既に猟法の限定,日の出前日の入後の狩猟禁止や狩猟を禁ずる場所,狩猟資源保護のための狩猟期間の設定がほぼ現在と変わらない形で策定されている.狩猟法が始まった時に,当該大臣によって保護鳥獣が指定されるような流れにしたのも,臨機応変に対応する必要がある性質の問題だと判断されていたためである.ところが,近年(平成に入ってから)は法律の改正が4〜8年おきに行われている.そのコラージュのような本法律の名称のごとく,改正するたびに項目が付加されている.付け焼刃とは言わないが,狩猟法が鳥獣保護管理と共存することは,現場に混乱を招いているのではないかと考えられる.本法律を,1.狩猟のルール,2.鳥獣等の保護管理,3.保護管理のための特措法に分離してしまった方が,機能的であり,かつ状況の変化に対応しやすくなるのではないだろうか.
旧来の狩猟からすれば,枯渇しかけていた獲物資源が増加したことは喜ばしいことであったはずである.その視点からみれば,予算を執行してまで全国規模でシカ・イノシシが半減されるのは本来ならば迷惑な話である.現状は狩猟期に趣味で狩猟をする人の一部が,有償で駆除も行っているので,捕獲者の側から問題視する人は少ない.しかし,安全管理の上でも遊猟と職猟があいまいな状況を再び分別すべき時期なのではと考える.

鳥獣保護管理法とは

2014年に鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律は,1895年制定の狩猟法(附則を除く3章23条)に起源をもっている.長い歴史の中で本文が6章89条の非常に長い法律に育っている.本法律は,「狩猟(捕獲)の規則」「野生動物の計画的な保護管理」「生物多様性の維持」の3つの柱で成り立っている.この形態は原則的に旧法と変わらない.では本法律が旧法から改正される理由は何処にあるのか.2014年4月8日第186回国会(本会議)の環境大臣による趣旨説明から,その理由をみることができる.その一部を抜粋する.

「第一に,生活環境,農林水産業及び生態系に関する被害の防止に向けた積極的な鳥獣の管理を図るため,法の題名を,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に改めるとともに,法律の目的に,鳥獣の管理を図ることを加えます.
第二に,都道府県知事が,地域における種の状況に応じて策定する計画について,目的を明確化し,保護に関する計画と管理に関する計画に分けるなど,法における施策体系を整理いたします.
第三に,管理を図る鳥獣のうち,特に集中的かつ広域的な管理の必要があるものとして環境大臣が定める鳥獣について,都道府県または国が捕獲等をする事業を実施することができることとしました.この事業として行われる捕獲等については,捕獲等の許可を不要とすることや,一定の条件のもとで,夜間の銃による捕獲等を可能とする等の制限の緩和を行います.
第四に,鳥獣の捕獲等をする事業を実施する者が,その事業が安全管理体制等について一定の基準に適合していることにつき,都道府県知事の認定を受けることができる制度を導入いたします.
第五に,住居集合地域等における麻酔銃による捕獲等の許可制度の導入や,網猟免許及びわな猟免許の年齢制限を,二十歳未満から十八歳未満へ引き下げることを行います.」

上記の趣旨説明からわかるように,環境大臣があえて「生活環境」と切り出したものの,次には「農林水産業」という他省のキーワードを使って法案を提出するという省庁横断的な法律だったことが判る.旧法が2002年に改正された際は,保護に関する議論が多くを占めていた.当時はCOP3京都会議の直後であり,その影響を受けて環境委員会の中でも希少種の保護についての発言が多かった.しかし,保護を進める一方で,望まれない増加を始める他の野生動物もある.調査能力の不完全さと法律の柔軟さの無さが,狩猟法から今日に至るまでのイノシシ・シカの増減に影響してきたともいえる.

獣害対策に関する法律の変遷

獣害対策に関しては,「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特措法)」によって具体的に推進が図られている.
議員立法によって提出され成立した本法律は,2007年に制定された.本法律案は2007年12月11日衆議院可決,14日参議院可決され21日公布された.当時の議事録を読むと本法律案は,12月11日当日に,以前から出していた法案を撤回した後に差し替えて提出している.議事録をさらに遡ってみていくと,提出される1週間前の12月4日に「有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案」が衆議院(農林水産委員会)に7名の議員名で提出されていた.これが11日に撤回されて,改めて農林水産委員長名で現法案が提出されていた.
撤回する際に,何かを明確に変更しているはずである.では,その撤回された「有害鳥獣被害防止特措法」案(変更前)と「鳥獣被害防止特措法」案(変更後)の違いはどこにあるのか.
これらの法案を比較すると

“市町村は,都道府県知事に対し,被害防止計画の作成及び実施に関し,情報の提供,技術的な助言その他必要な援助を求めることができる.”

という加筆がされている.そもそも特措法であることから,実務的な内容に踏み込んでおり目的や対象が具体的に指示しているところに特徴及び立法の意義がある.その中で市町村の役割についても具体的に書かれている.そこで,変更後では,市町村が単に都道府県の出先機関のような扱いにされて無理難題を押し付けられてしまうような形を解消し,予算上の問題や情報の取り扱いなどを整理して,実施しやすい環境を整えようとしている.また,変更前では「農山漁村地域において深刻な状況にある有害鳥獣被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し,もって農林水産業の発展と農山漁村地域の振興に寄与すること」を法律案提出の理由として最初に挙げているが,変更後は削除され,「その他」の項目に「農林漁業の振興及び農山漁村の活性化」と記載する程度になっている.更に変更後は,環境大臣との関係や関連法である鳥獣保護法の改正についても提案されている.
変更後の法律案提出の理由は以下のとおりである.

「第一に,農林水産業等に係る被害の防止に係る施策の責任者である農林水産大臣が,被害防止施策を実施するための基本指針を定めることとしております.
第二に,最も現場に精通し,今日その対策に腐心している市町村が,主体的に被害防止施策に取り組むことができるようにするため,農林水産大臣が策定する基本指針に即して,単独でまたは共同して被害防止計画を作成することができるようにするとともに,その際,市町村が,都道府県知事に対し,必要な援助を求めることができることとしております.
この被害防止計画を作成した市町村については,都道府県知事が有している有害鳥獣捕獲許可権限を委譲することができる仕組みを設けるほか,この計画に基づく施策の実施を支援するため,地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講じることとしております.
第三に,市町村が,捕獲,防護さくの設置等の被害防止施策を組織的かつ効果的に実施するため,鳥獣被害対策実施隊を設置できることとし,その隊員については,非常勤の公務員とするとともに,狩猟税の軽減その他の必要な措置を講じることとしております.
第四に,人と鳥獣の共存に配慮する観点から,国及び地方公共団体は,鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全を図るため,間伐の推進,広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるとともに,被害防止施策を講ずるに当たっては,生物の多様性の確保に留意するとともに,数が著しく減少している鳥獣等について,その保護が図られるよう十分配慮するものとしております.
そのほか,この法律案では,1国及び地方公共団体等の連携,2農林水産業被害の実態,鳥獣の生息の状況及び生息環境の把握,3被害原因の究明,調査研究の推進,4人材の育成,5農林漁業の振興及び農山漁村の活性化などに関する規定を設けております.
また,附則において,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正を行い,鳥獣の生息の状況等について定期的に調査を行い,その結果を同法の適正な運用に活用する旨の規定を追加することとしております.」

このように鳥獣被害防止特措法の責任省庁は農林水産省ではあるとする一方で,市町村対象の法律であるという点の明示と,環境省との役割分担を示して再提出されたことがわかる.

鳥獣被害防止特措法とは

鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特措法)は,2007年に成立した農林水産業に対する鳥獣被害対策のために,市町村が対処する上で国がどのような支援をするのかを具体的に示したものである.制定時は以下の三点の主な措置が示された.1.特別交付税の拡充と補助事業の支援等の財政上の措置, 2.市町村が鳥獣の捕獲許可権限の都道府県からの委譲,3.鳥獣被害対策実施隊の設置.これらの措置に加えて2012年の改正時に,一定の要件を満たせば,鳥獣被害対策実施隊員や被害防止計画に基づく鳥獣の捕獲等に従事する者について,一定期間銃刀法に基づく猟銃の所持許可の更新時等における技能講習を免除される.さらに,食肉処理施設の整備,充実,流通の円滑に対する措置を国などが講ずる旨の内容が付加された.
食肉利用に関しては2016年にさらに推進が求められて,利用を進めるための人材育成や関係者間の連携強化に必要な施策を国等が講ずることが示された.また,猟銃等の技能講習免除期間が延長されたことから,安全面への配慮が必要になってきた.そこで,安全確保に関する以下の条文が加わった.

第十七条の二 国及び地方公共団体は,鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための取組において,国民の生命又は身体に対する危害が発生することを防止するため,安全の確保に関する知識の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない.

この1文では,銃猟の記載がない事や「国民の生命又は身体」という表現から,猟銃の取り扱いの安全だけでなく様々な解釈ができる.例えば食肉利用における衛生面あるいは捕獲担い手自身の安全確保である.
現況の鳥獣被害防止特措法は利用推進が加わって,市町村の捕獲事業の財政に関する支援,鳥獣被害対策実施隊の創設運用,ジビエの利用促進という3本柱の法律になっている.
(「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」全文は本章最後に転載する)

鳥獣保護管理法に挟まってくる外来生物法

主な鳥獣害に関する法律は「鳥獣保護管理法」と「鳥獣被害防止特措法」の2つの法律である.しかし,これらの法律は指定鳥獣と狩猟鳥獣に対するものである.日本の生態系と農作物への被害,危険な感染症対策のためにも外来種への対応が必要である.そこで2004年に制定された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」がある.
当時は,全国の湖沼で増加していたオオグチバスに関する話題が多く語られていた.現在の捕獲の現場で問題になっている外来種はアライグマであるが,この法律が制定された当時は,あまり関心が高くなかった.一度だけ「北海道で増加中である」と国会の審議中に紹介された程度であった.その中で,アライグマのような農業被害を出している外来哺乳類は「鳥獣保護法」に拠らずとも外来生物法で捕獲が可能になると答弁されている.また,この法律が「鳥獣保護法」や「種の保存法」の隙間を埋める性質のものであるということも語られている.ところが,法律が成立してみると,どの法律が適用されるのか分かりにくくなったり,それによる提出書類や報告書類が増えたり,窓口が分かりにくくなったりするなど,捕獲の現場では混乱が生じやすくなっている.
では実際にアライグマを捕獲する場合はどのような状況になるか考えてみよう.

外来種(アライグマ)の捕獲 

まず,特定外来生物においても哺乳類においては捕獲の手続きは必要である.しかし,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の特例として,

第十二条 主務大臣等が行う前条第一項の規定による防除に係る特定外来生物の捕獲等については,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)の規定は,適用しない.

と書かれている.従って,アライグマは狩猟として狩猟期に捕獲する際は,鳥獣保護管理法の下で捕獲することが可能である.しかし,駆除をする場合は外来生物法が適用される.しかし,仮に狩猟獣として捕獲しても「生け捕り」して移動することは,外来生物法で禁じられているため現場で捕殺しなくてはいけない.ちなみに販売等目的の特定外来生物の飼養や譲渡は,3年以下の懲役または300万円以下の罰金である.販売を伴わなくても1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる.箱罠で錯誤捕獲して処理に困り,そのまま罠の中で放置した場合は,飼育をしているとみなされる可能性はあるため,動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)にも抵触する恐れがある.その場合は100万円以下の罰金となる.放置して餓死させた場合は,鳥獣保護管理法でいう違法な捕獲行為(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)になる.
外来生物法では,基本的には環境大臣を主務大臣として,地方公共団体は防除の確認を,国および地方公共団体以外については認定を受けて防除を実施することができる.ただし農林水産業に関わる防除においては,環境大臣と農林水産大臣によって防除の確認・認定がおこなわれる.アライグマの場合は,農業被害にも生活被害にも出て来るため,状況に応じて前者にも後者にもなる.このように外来生物法は他の法規との入り小細工のような状況になっており非常に分かりにくい.従って現場の混乱を招かないような工夫が必要である.

知っておきたい罰則

狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等は,基本的には1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる.国立公園内など鳥獣保護区特別保護地区での無許可の捕獲は,6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金,国有林を含めて占有者(土地所有者など)の承諾なしの鳥獣の捕獲等では,50万円以下の罰金である.仮に捕獲許可を取っていても捕獲時の「捕獲許可証」の不携帯や不提示の場合は,30万円以下の罰金になる.もちろん違法な地域での銃使用は銃刀法に関しても問題になる.

もし事故が起ったらどの補償はどうなるのか

駆除等の捕獲の際に事故が起きた場合は,鳥獣害被害対策実施隊は非常勤公務員として従事することになるので,地方公務員災害補償法が適用されることになる.ただし,その算出方法が「平均給与額」から千倍などというような形で算出されるので,労働勤務時間が1日2時間等非常に短いことから給与が安い実施隊員への補償金は数万円程度になることが多い.そのため,ハンター保険や猟友会の共済保険に入っておかないと自分の身を守ることができない.
しかし,現況の有害捕獲は「狩猟業」としての事業になると考える.ただし,国の交付金および県の予算による事業であることから,「直営事業」となり,労働者災害補償保険法第一章第三条に記載されているが,直営事業の場合は適用外となる可能性はある.しかし「適用外」については,例外があると書かれており,労働基準法別表1に示された事業でその6が「土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植,栽培,採取若しくは伐採の事業その他農林の事業」である.この「その他農林の事業」というものに狩猟業が含まれているのではないだろうか.
また,鳥獣保護管理法の第一章第一条には,

第一条 この法律は,鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するとともに,猟具の使用に係る危険を予防することにより,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り,もって生物の多様性の確保(生態系の保護を含む.以下同じ.),生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて,自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的とする.

ここに「農林水産業の健全な発展に寄与する」と書かれている.つまり,本法律で行う捕獲計画は,農林水産業の発展に寄与する事業であり,つまり農林業の一環であることを示していると解釈できる.それならば,捕獲等事業は直営であっても例外の「農林水産業」の事業であり労働者災害補償保険法に准ずるべきではないかと考える.
いずれにしても,現況では捕獲の担い手に関しての事故への対処が不十分である.事故を起こさない啓発ももちろん必要ではあるが,しっかりとした補償をすべきである.

危機管理への提案

捕獲の担い手における安全対策がどちらかというと作業者寄りではなく,周りにかける迷惑などのほうに軸足があって,捕獲が労働であり,担い手が労働者であるという認識が不十分である.本件とは一致しないが,同様に危険を伴う肉体的な労働と広くとらえて安全衛生法を見れば,建設現場などのように元方事業者には請負側へ安全管理の講ずべき措置はあるとしている.つまり,安全講習や安全委員会の設置,作業主任者への指導を行わなければいけない.確かに,鳥獣被害防止の認定事業を行う上で,安全・技能講習会が2日間実施されている.しかし,朝礼の実施やヒヤリハットの労働環境改善を実施している建設業や製造業などの安全管理に比べて場当たり的で,その重要性が作業者自身に伝わっているとは言い難い.もし認定事業者が事故を役場などに報告してしまうと事業の認定を取り消されるのではという風潮や誤解が広がってしまうと危険である.認定を取り消されたくないためにわずかな事例でも報告できなくなり,事故を隠ぺいしてしまう状況が作られてしまう.
ヒヤリハットの蓄積や安全への取り組みをもう少し評価するべきであろう.成熟した労働環境に育てるためにも,捕獲の世界でも安全対策の仕組みづくりが必要だと考える.

■ 鳥獣被害防止特措法全文

●鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は,農山漁村地域において鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻な状況にあり,これに対処することが緊急の課題となっていることに鑑み,農林水産大臣による基本指針の策定,市町村による被害防止計画の作成並びにこれに基づく対象鳥獣の捕獲等の許可に係る特例,被害防止施策の実施に係る財政上の措置,協議会及び鳥獣被害対策実施隊の設置並びに捕獲等をした対象鳥獣の適正な処理及び食品としての利用等のための措置その他の特別の措置について定めることにより,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し,もって農林水産業の発展及び農山漁村地域の振興に寄与することを目的とする.
(定義)
第二条 この法律において「鳥獣」とは,鳥類又は哺(ほ)乳類に属する野生動物をいう.
2 この法律において「農林水産業等に係る被害」とは,農林水産業に係る被害及び農林水産業に従事する者等の生命又は身体に係る被害その他の生活環境に係る被害をいう.
(地方公共団体の役割)
第二条の二 市町村は,その区域内における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況等に応じ,第四条第一項に規定する被害防止計画の作成及びこれに基づく被害防止施策(鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための施策をいう.以下同じ.)の実施その他の必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする.
2 都道府県は,その区域内における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況,市町村の被害防止施策の実施の状況等を踏まえ,この法律に基づく措置その他の鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする.
(基本指針)
第三条 農林水産大臣は,被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するための基本的な指針(以下「基本指針」という.)を定めるものとする.
2 基本指針においては,次に掲げる事項を定めるものとする.
一 被害防止施策の実施に関する基本的な事項
二 次条第一項に規定する被害防止計画に関する事項
三 その他被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するために必要な事項
3 基本指針は,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号.以下「鳥獣保護管理法」という.)第三条第一項に規定する基本指針と整合性のとれたものでなければならない.
4 農林水産大臣は,基本指針を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,環境大臣と協議するものとする.
5 農林水産大臣は,基本指針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表しなければならない.
(被害防止計画)
第四条 市町村は,その区域内で被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するため,基本指針に即して,単独で又は共同して,鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための計画(以下「被害防止計画」という.)を定めることができる.
2 被害防止計画においては,次に掲げる事項を定めるものとする.
一 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する基本的な方針
二 当該市町村の区域内における農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣であって被害防止計画の対象とするもの(以下「対象鳥獣」という.)の種類
三 被害防止計画の期間
四 対象鳥獣の捕獲等(農林水産業等に係る被害の防止のための対象鳥獣の捕獲等(鳥獣保護管理法第二条第七項に規定する捕獲等をいう.以下同じ.)又は対象鳥獣である鳥類の卵の採取等(鳥獣保護管理法第八条に規定する採取等をいう.)をいう.以下同じ.)に関する事項
五 対象鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための防護柵の設置その他の対象鳥獣の捕獲等以外の被害防止施策に関する事項
六 対象鳥獣による住民の生命,身体又は財産に係る被害が生じ,又は生じるおそれがある場合の対処に関する事項
七 捕獲等をした対象鳥獣の処理(次号に規定する有効な利用に伴うものを除く.第十条において同じ.)に関する事項
八 捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等その有効な利用に関する事項
九 被害防止施策の実施体制に関する事項
十 その他被害防止施策の実施に関し必要な事項
3 前項第四号の事項には,鳥獣保護管理法第九条第一項の規定により都道府県知事が行うこととされている対象鳥獣の捕獲等の許可であって第六条第一項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条第一項の規定により被害防止計画を作成した市町村の長が行うことができるものに係る事項(以下「許可権限委譲事項」という.)を記載することができる.
4 市町村は,その区域内における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況を勘案し,被害防止施策を効果的かつ効率的に実施するため必要があると認めるときは,第二項第九号の事項に,鳥獣被害対策実施隊の設置に関する事項を記載しなければならない.
5 被害防止計画は,鳥獣保護管理事業計画(鳥獣保護管理法第四条第一項に規定する鳥獣保護管理事業計画をいう.以下同じ.)(第一種特定鳥獣保護計画(鳥獣保護管理法第七条第一項に規定する第一種特定鳥獣保護計画をいう.以下同じ.)又は第二種特定鳥獣管理計画(鳥獣保護管理法第七条の二第一項に規定する第二種特定鳥獣管理計画をいう.以下同じ.)が定められている都道府県の区域内の市町村の被害防止計画にあっては,鳥獣保護管理事業計画及び第一種特定鳥獣保護計画又は第二種特定鳥獣管理計画)と整合性のとれたものでなければならない.
6 市町村は,被害防止計画を定めようとする場合には,あらかじめ,都道府県知事に協議しなければならない.この場合において,被害防止計画に許可権限委譲事項を記載しようとするときは,当該許可権限委譲事項について都道府県知事の同意を得なければならない.
7 都道府県知事は,被害防止計画が当該市町村の鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況に基づいて作成される必要があり,かつ,当該市町村がその状況を適確に把握することができる立場にあることを踏まえ,前項前段の協議を行うものとする.
8 都道府県知事は,許可権限委譲事項が記載された被害防止計画について第六項前段の協議を受けた場合には,当該都道府県の区域内において当該許可権限委譲事項に係る対象鳥獣の数が著しく減少しているとき,当該許可権限委譲事項に係る対象鳥獣について広域的に保護を行う必要があるときその他の当該都道府県の区域内において当該許可権限委譲事項に係る対象鳥獣の保護又は管理を図る上で著しい支障を生じるおそれがあるときを除き,同項後段の同意をしなければならない.
9 市町村は,被害防止計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない.この場合において,当該被害防止計画に許可権限委譲事項を記載したときは,農林水産省令で定めるところにより,当該許可権限委譲事項を公告しなければならない.
10 第六項から前項までの規定は,被害防止計画の変更について準用する.この場合において,第六項後段中「記載しようとするとき」とあるのは「記載しようとするとき又は当該被害防止計画に記載された許可権限委譲事項を変更しようとするとき」と,第八項中「同項後段」とあるのは「第十項において読み替えて準用する第六項後段」と,前項後段中「記載したとき」とあるのは「記載したとき又は当該被害防止計画に記載された許可権限委譲事項を変更したとき」と読み替えるものとする.
11 被害防止計画を作成した市町村は,毎年度,被害防止計画の実施状況について,都道府県知事に報告しなければならない.
12 市町村は,都道府県知事に対し,被害防止計画の作成及び実施に関し,情報の提供,技術的な助言その他必要な援助を求めることができる.
(協議会)
第四条の二 市町村は,単独で又は共同して,被害防止計画の作成及び変更に関する協議並びに被害防止計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下「協議会」という.)を組織することができる.
2 協議会は,市町村のほか,農林漁業団体,被害防止施策の実施に携わる者及び地域住民並びに学識経験者その他の市町村が必要と認める者をもって構成する.
3 前二項に定めるもののほか,協議会の運営に関し必要な事項は,協議会が定める.
(市町村に対する援助)
第五条 都道府県知事は,市町村に対し,被害防止計画の作成及び実施に関し,情報の提供,技術的な助言その他必要な援助を行うよう努めなければならない.
(対象鳥獣の捕獲等の許可に係る鳥獣保護管理法の適用の特例等)
第六条 市町村が許可権限委譲事項が記載されている被害防止計画を作成したときは,第四条第九項後段(同条第十項において読み替えて準用する場合を含む.)の規定による公告の日(次項において「公告の日」という.)から当該被害防止計画の期間が満了する日までの間は,当該被害防止計画を作成した市町村の区域における鳥獣保護管理法第九条(第十項,第十二項及び第十四項を除く.),第十条,第十一条第一項,第十三条第一項,第七十五条第一項,第七十九条,第八十三条第一項第二号から第三号まで及び第六号,第八十四条第一項第一号,第八十六条第一号及び第二号並びに第八十七条の規定の適用については,鳥獣保護管理法第九条第一項中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成十九年法律第百三十四号.以下「鳥獣被害防止特措法」という.)第四条第一項に規定する被害防止計画に記載されている同条第三項に規定する許可権限委譲事項に係る同条第二項第四号に規定する対象鳥獣の捕獲等をしようとする者にあっては,当該被害防止計画を作成した市町村(以下「計画作成市町村」という.)の長)」と,同条第二項から第九項まで,第十一項及び第十三項並びに鳥獣保護管理法第十条,第十一条第一項及び第十三条第一項の規定中「又は都道府県知事」とあるのは「,都道府県知事又は計画作成市町村の長」と,鳥獣保護管理法第七十五条第一項中「又は都道府県知事」とあるのは「若しくは都道府県知事又は計画作成市町村の長」と,「第九条第一項の許可を受けた者」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事にあっては第九条第一項の許可を受けた者(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により計画作成市町村の長の許可を受けた者を除く.)」と,「猟区設定者に対し」とあるのは「猟区設定者に対し,計画作成市町村の長にあっては鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により計画作成市町村の長の許可を受けた者に対し」と,鳥獣保護管理法第七十九条第一項中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事又は計画作成市町村の長」と,同条第二項中「又は」とあるのは「若しくは」と,「場合」とあるのは「場合又は鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定による許可に係る事務を計画作成市町村が処理する場合」と,「当該市町村」とあるのは「当該市町村又は当該計画作成市町村」と,鳥獣保護管理法第八十三条第一項第二号及び第二号の二中「第九条第一項」とあるのは「第九条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,「第十三条第一項」とあるのは「第十三条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,同項第三号中「第十条第一項」とあるのは「第十条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,同項第六号中「第九条第一項」とあるのは「第九条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,鳥獣保護管理法第八十四条第一項第一号中「第九条第五項」とあるのは「第九条第五項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,鳥獣保護管理法第八十六条第一号中「第十一項」とあるのは「第十一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,同条第二号中「第九条第十三項」とあるのは「第九条第十三項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,「第七十五条第一項」とあるのは「第七十五条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」と,鳥獣保護管理法第八十七条中「第九条第一項」とあるのは「第九条第一項(鳥獣被害防止特措法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)」とする.
2 前項の被害防止計画を作成した市町村の区域においては,公告の日前に鳥獣保護管理法第九条若しくは第十条の規定により都道府県知事が行った許可等の処分その他の行為又は当該公告の日において現に鳥獣保護管理法第九条の規定により都道府県知事に対して行っている許可等の申請で当該市町村の許可権限委譲事項に係るものは,当該公告の日以後においては,同項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条若しくは第十条の規定により当該市町村の長が行った許可等の処分その他の行為又は同項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条の規定により当該市町村の長に対して行っている許可等の申請とみなす.
3 市町村が第一項の被害防止計画を変更し,許可権限委譲事項の全部若しくは一部が記載されないこととなった場合又は当該被害防止計画の期間が満了した場合においては,第四条第十項において読み替えて準用する同条第九項後段の規定による公告の日又は当該被害防止計画の期間が満了した日(以下「変更公告等の日」という.)前に第一項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条若しくは第十条の規定により当該市町村の長が行った許可等の処分その他の行為(前項の規定により当該市町村の長が行った許可等の処分その他の行為とみなされた行為を含む.)又は当該被害防止計画の変更公告等の日において現に第一項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条の規定により当該市町村の長に対して行っている許可等の申請(前項の規定により当該市町村の長に対して行っている許可等の申請とみなされたものを含む.)で当該市町村の許可権限委譲事項に係るもの(当該市町村の許可権限委譲事項の一部が記載されないこととなった場合にあっては,当該記載されないこととなった許可権限委譲事項に係るものに限る.)は,当該変更公告等の日以後においては,鳥獣保護管理法第九条若しくは第十条の規定により都道府県知事が行った許可等の処分その他の行為又は鳥獣保護管理法第九条の規定により都道府県知事に対して行っている許可等の申請とみなす.
4 前三項に定めるもののほか,第一項の規定により読み替えて適用する鳥獣保護管理法第九条第一項の規定により被害防止計画を作成した市町村の長が対象鳥獣の捕獲等の許可を行う場合における鳥獣保護管理法その他の法令の規定に関する技術的読替えその他これらの規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める.
(特定希少鳥獣管理計画又は第二種特定鳥獣管理計画の作成又は変更)
第七条 環境大臣又は都道府県知事は,被害防止計画の作成状況,第四条第十一項の規定による報告の内容等を踏まえ,必要があると認めるときは,特定希少鳥獣管理計画(鳥獣保護管理法第七条の四第一項に規定する特定希少鳥獣管理計画をいう.以下同じ.)又は第二種特定鳥獣管理計画を作成し,又は変更するよう努めるものとする.
(環境大臣又は都道府県知事に対する要請等)
第七条の二 市町村長は,当該市町村が行う被害防止計画に基づく被害防止施策のみによっては対象鳥獣による当該市町村の区域内における農林水産業等に係る被害を十分に防止することが困難であると認めるときは,環境大臣又は都道府県知事に対し,必要な措置を講ずるよう要請することができる.
2 環境大臣又は都道府県知事は,前項の規定による要請があったときは,速やかに必要な調査を行い,その結果必要があると認めるときは,特定希少鳥獣管理計画若しくは第二種特定鳥獣管理計画の作成若しくは変更又はこれらの実施その他の鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない.
(指定管理鳥獣捕獲等事業との連携)
第七条の三 被害防止計画が定められている市町村の区域において指定管理鳥獣捕獲等事業(鳥獣保護管理法第七条の二第二項第五号に規定する指定管理鳥獣捕獲等事業をいう.)が実施される場合には,当該市町村及びその区域内において被害防止計画に基づく被害防止施策の実施に携わる者並びに当該指定管理鳥獣捕獲等事業を実施する都道府県等(鳥獣保護管理法第十四条の二第八項に規定する都道府県等をいう.)及びその実施に携わる者は,当該被害防止施策が円滑かつ効果的に実施されるよう,相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない.
(財政上の措置)
第八条 国及び都道府県は,市町村が行う被害防止計画に基づく被害防止施策が円滑に実施されるよう,対象鳥獣の捕獲等に要する費用に対する補助その他当該被害防止施策の実施に要する費用に対する補助,地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする.
(鳥獣被害対策実施隊の設置等)
第九条 市町村は,対象鳥獣の捕獲等,防護柵の設置その他の被害防止計画に基づく被害防止施策を適切に実施するため,鳥獣被害対策実施隊を設けることができる.
2 鳥獣被害対策実施隊に鳥獣被害対策実施隊員を置く.
3 前項に規定する鳥獣被害対策実施隊員は,次に掲げる者をもって充てる.
一 市町村長が市町村の職員のうちから指名する者
二 被害防止計画に基づく被害防止施策の実施に積極的に取り組むことが見込まれる者(主として対象鳥獣の捕獲等に従事することが見込まれる者にあっては,これを適正かつ効果的に行うことができる者に限る.)のうちから,市町村長が任命する者
4 第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員は,被害防止計画に基づく被害防止施策の実施に従事するほか,市町村長の指示を受け,農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等で住民の生命,身体又は財産に係る被害を防止するため緊急に行う必要があるものに従事する.
5 第三項第二号に掲げる鳥獣被害対策実施隊員は,非常勤とする.
6 第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員であって主として対象鳥獣の捕獲等に従事することが見込まれる者として市町村長により指名され,又は任命されたものに係る鳥獣保護管理法第五十五条第二項に規定する狩猟者登録についての鳥獣保護管理法第五十六条,第五十七条第一項及び第六十一条第四項の規定(これらの規定に係る罰則を含む.)の適用については,鳥獣保護管理法第五十六条中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項並びに対象鳥獣捕獲員(鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成十九年法律第百三十四号)第九条第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員(以下「鳥獣被害対策実施隊員」という.)であって主として同法第四条第二項第四号に規定する対象鳥獣の捕獲等に従事することが見込まれる者として市町村長により指名され,又は任命されたものをいう.以下同じ.)である旨及び所属市町村(当該狩猟者登録を受けようとする者が対象鳥獣捕獲員たる鳥獣被害対策実施隊員として所属する市町村であって,当該登録都道府県知事が管轄する区域内にあるものをいう.以下同じ.)の名称」と,鳥獣保護管理法第五十七条第一項中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項並びに対象鳥獣捕獲員である旨及び所属市町村の名称」と,鳥獣保護管理法第六十一条第四項中「生じたとき」とあるのは「生じたとき又は対象鳥獣捕獲員となったとき,対象鳥獣捕獲員でなくなったとき若しくは所属市町村の変更があったとき」とする.
7 第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員については,被害防止計画に基づく被害防止施策の適切かつ円滑な実施に資するため,地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の定めるところによる狩猟税の軽減の措置その他の必要な措置が講ぜられるものとする.
8 国及び都道府県は,被害防止計画に基づく被害防止施策の実施体制の整備を促進するため,鳥獣被害対策実施隊の設置,その機能の強化その他の市町村が行う鳥獣被害対策実施隊に関する措置について,必要な支援に努めるものとする.
(捕獲等をした対象鳥獣の適正な処理)
第十条 国及び地方公共団体は,被害防止計画に基づき捕獲等をした対象鳥獣の適正な処理を図るため,必要な施設の整備充実,環境に悪影響を及ぼすおそれのない処理方法その他適切な処理方法についての指導その他の必要な措置を講ずるものとする.
(捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等)
第十条の二 国及び地方公共団体は,被害防止計画に基づき捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等その有効な利用における安全性を確保するため,当該対象鳥獣の食品等としての安全性に関する情報の収集,整理,分析及び提供に努めなければならない.
2 国及び地方公共団体は,被害防止計画に基づき捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等その有効な利用の促進を図るため,必要な施設の整備充実,食品としての利用に適した方法による捕獲等に関する情報の提供,食品としての利用に係る技術の普及,食品としての利用等その有効な利用に係る開発又は需要の開拓の取組等に対する支援,加工品の流通の円滑化その他の必要な措置を講ずるものとする.
3 国は,国,地方公共団体,事業者,民間の団体その他の関係者が相互に連携を図りながら協力することにより,被害防止計画に基づき捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等その有効な利用が図られることに鑑み,これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする.
(報告,勧告等)
第十条の三 農林水産大臣又は都道府県知事は,市町村長に対し,当該市町村における被害防止施策の実施等に関し必要があると認めるときは,報告を求め,又は必要な勧告,助言若しくは援助をすることができる.
(農林水産大臣の協力要請等)
第十一条 農林水産大臣は,この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは,環境大臣その他の関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し,必要な資料又は情報の提供,意見の開陳その他必要な協力を求めることができる.
2 農林水産大臣は,この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは,環境大臣に対して鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関し,文部科学大臣又は文部科学大臣を通じ文化庁長官に対して天然記念物の保存に関し,意見を述べることができる.
3 環境大臣は,鳥獣の保護又は管理を図る等の見地から被害防止施策に関し必要があると認めるときは,農林水産大臣に対して意見を述べることができる.
(国,地方公共団体等の連携及び協力)
第十二条 国及び地方公共団体は,被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するため,農林水産業及び農山漁村の振興に関する業務を担当する部局,鳥獣の保護及び管理に関する業務を担当する部局その他鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関連する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保しなければならない.
2 地方公共団体は,被害防止施策を効果的に実施するため,被害防止計画の作成及び実施等に当たっては,当該地方公共団体における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況等に応じ,地方公共団体相互の広域的な連携協力を確保しなければならない.
3 地方公共団体は,被害防止施策を実施するに当たっては,地域における一体的な取組が行われるよう,当該地域の農林漁業団体その他の関係団体との緊密な連携協力の確保に努めなければならない.
4 農林漁業団体その他の関係団体は,自主的に鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に努めるとともに,被害防止計画に基づく被害防止施策の実施その他の国及び地方公共団体が講ずる被害防止施策に協力するよう努めなければならない.
(被害の状況,鳥獣の生息状況等の調査)
第十三条 国及び地方公共団体は,被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するため,鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況,農林水産業等に係る被害に係る鳥獣の生息の状況及び生息環境その他鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関し必要な事項について調査を行うものとする.
2 国及び地方公共団体は,前項の規定による調査の結果を踏まえ,農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣に関し,その生息環境等を考慮しつつ適正と認められる個体数についての調査研究を行うものとする.
3 国及び地方公共団体は,前二項の規定による調査及び研究の結果を公表するとともに,基本指針の策定又は変更,被害防止計画の作成又は変更その他この法律の運用に当たって,適切にこれらを活用しなければならない.
(被害原因の究明,調査研究及び技術開発の推進等)
第十四条 国及び都道府県は,被害防止施策の総合的かつ効果的な実施を推進するため,前条第一項の規定による調査の結果等を踏まえ,鳥獣による農林水産業等に係る被害の原因を究明するとともに,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関し,調査研究の推進,捕獲等の技術の高度化等のための技術開発の推進並びに情報の収集,整理,分析及び提供を行うものとする.
(人材の育成)
第十五条 国及び地方公共団体は,鳥獣の習性等鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する事項について専門的な知識経験を有する者,農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等(食品としての利用等に適した方法によるものを含む.)について技術的指導を行う者,捕獲等をした鳥獣の食品としての利用等について専門的な知識経験を有する者その他の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に寄与する人材の育成を図るため,研修の実施その他必要な措置を講ずるものとする.
(農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等に関わる人材の確保に資するための措置)
第十六条 国及び地方公共団体は,農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等に従事する者の当該捕獲等に従事するため必要な手続に係る負担の軽減に資するため,これらの手続の迅速化,狩猟免許及び猟銃の所持の許可並びにそれらの更新を受けようとする者の利便の増進に係る措置その他のこれらの手続についての必要な措置を講ずるよう努めるものとする.
2 前項に定めるもののほか,国及び地方公共団体は,農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等に関わる人材の確保に資するため,当該捕獲等への貢献に対する報償金の交付,射撃場の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする.
(表彰)
第十六条の二 国及び地方公共団体は,被害防止施策(第十三条から第十五条までの措置を含む.)の実施に関し顕著な功績があると認められる者に対し,表彰を行うよう努めるものとする.
(必要な予算の確保等)
第十六条の三 国及び地方公共団体は,被害防止施策(第十三条から第十六条までの措置を含む.第二十一条において同じ.)を講ずるために必要な予算の確保に努めるものとする.
2 都道府県は,前項の規定により必要な予算を確保するに当たっては,狩猟税の収入につき,その課税の目的を踏まえた適切かつ効果的な活用に配意するものとする.
(国民の理解と関心の増進)
第十七条 国及び地方公共団体は,鳥獣の習性等を踏まえて鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止することの重要性に関する国民の理解と関心を深めるよう,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する知識の普及及び啓発のための広報活動その他必要な措置を講ずるものとする.
2 国及び地方公共団体は,前項の措置を講ずるに当たっては,捕獲等をした対象鳥獣の食品としての利用等その有効な利用の促進が図られるよう,その利用が自然の恩恵の上に成り立つものであり,かつ,被害防止施策の実施に携わる者その他の関係者の様々な活動に支えられていることについて,国民の理解を深めるよう配慮するものとする.
(危害の発生の防止)
第十七条の二 国及び地方公共団体は,鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための取組において,国民の生命又は身体に対する危害が発生することを防止するため,安全の確保に関する知識の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない.
(生息環境の整備及び保全)
第十八条 国及び地方公共団体は,人と鳥獣の共存に配慮し,鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全に資するため,地域の特性に応じ,間伐の推進,広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるものとする.
(被害防止施策を講ずるに当たっての配慮)
第十九条 国及び地方公共団体は,被害防止施策を講ずるに当たっては,生物の多様性の確保に留意するとともに,その数が著しく減少している鳥獣又は著しく減少するおそれのある鳥獣については,当該鳥獣の特性を考慮した適切な施策を講ずることによりその保護が図られるよう十分配慮するものとする.
(農林漁業等の振興及び農山漁村の活性化)
第二十条 国及び地方公共団体は,被害防止施策と相まって農林漁業及び関連する産業の振興並びに農山漁村の活性化を図ることにより,安全にかつ安心して農林水産業を営むことができる活力ある農山漁村地域の実現を図るよう努めなければならない.
(鳥獣被害対策推進会議)
第二十一条 政府は,関係行政機関(農林水産省,環境省その他の関係行政機関をいう.)相互の調整を行うことにより,被害防止施策の総合的,一体的かつ効果的な推進を図るため,鳥獣被害対策推進会議を設けるものとする.
附 則
(施行期日)

第一条 この法律は,公布の日から起算して二月を経過した日から施行する.
(見直し)
第二条 被害防止施策については,この法律の施行後五年を目途として,この法律の施行の状況,鳥獣による農林水産業等に係る被害の発生状況等を勘案し,その全般に関して検討が加えられ,その結果に基づき,必要な見直しが行われるものとする.
(特定鳥獣被害対策実施隊員等に係る猟銃の操作及び射撃の技能に関する講習に係る特例)
第三条 第九条第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員として猟銃を使用して対象鳥獣の捕獲等に従事している者であって内閣府令・農林水産省令・環境省令で定めるもの(次項において「特定鳥獣被害対策実施隊員」という.)が,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第十号)附則第一項ただし書に規定する日(次項において「改正法一部施行日」という.)以後に新たに銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第四条の二第一項の規定により当該種類の猟銃の所持の許可の申請をした場合又は同法第七条の三第一項の規定による当該種類の猟銃の所持の許可の更新の申請をした場合においては,当分の間,同法第五条の二第三項第一号中「所持している者(当該許可済猟銃に係る第五条の五第二項の技能講習修了証明書(同号及び第三号において「技能講習修了証明書」という.)の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者又は当該許可済猟銃に係る射撃競技で政令で定めるものに参加する選手若しくはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者に限る.)」とあるのは「所持している者」と,同項第二号中「経過しないもの(当該許可済猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る.)」とあり,及び同項第三号中「経過しないもの(当該許可を受けて所持していた猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る.)」とあるのは「経過しないもの」とする.
2 前項に定めるもののほか,被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事している者(特定鳥獣被害対策実施隊員を除き,猟銃を使用して当該捕獲等に従事しているものに限る.)であって内閣府令・農林水産省令・環境省令で定めるものが,改正法一部施行日から平成三十三年十二月三日までの間に新たに銃砲刀剣類所持等取締法第四条の二第一項の規定により当該種類の猟銃の所持の許可の申請をした場合又は同法第七条の三第一項の規定による当該種類の猟銃の所持の許可の更新の申請をした場合においては,同法第五条の二第三項第一号中「所持している者(当該許可済猟銃に係る第五条の五第二項の技能講習修了証明書(同号及び第三号において「技能講習修了証明書」という.)の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者又は当該許可済猟銃に係る射撃競技で政令で定めるものに参加する選手若しくはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者に限る.)」とあるのは「所持している者」と,同項第二号中「経過しないもの(当該許可済猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る.)」とあり,及び同項第三号中「経過しないもの(当該許可を受けて所持していた猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け,その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る.)」とあるのは「経過しないもの」とする.
附 則 (平成二四年三月三一日法律第一〇号) 抄
(施行期日)

1 この法律は,公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する.ただし,附則第三条の改正規定は,公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する.
附 則 (平成二六年五月三〇日法律第四六号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は,公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する.
附 則 (平成二六年一一月一九日法律第一一一号)
この法律は,公布の日から施行する.
附 則 (平成二六年一一月二八日法律第一三一号) 抄
(施行期日)
1 この法律は,公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する.ただし,第三条第一項第四号の改正規定,第五条の二第三項及び第五項の改正規定並びに第九条の十第一項の改正規定(「第五条の二第三項第三号又は第四号」を「第五条の二第三項第四号又は第五号」に改める部分に限る.)並びに次項及び附則第三項の規定は,公布の日から施行する.
附 則 (平成二八年一二月二日法律第九七号)
(施行期日)

1 この法律は,公布の日から施行する.
(経過措置)
2 この法律の施行の際現に存するこの法律による改正前の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律第四条第一項の規定に基づく被害防止計画は,この法律による改正後の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律第四条第一項の規定に基づく被害防止計画が定められるまでの間,同項の規定に基づく被害防止計画とみなす.
●鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律附則第三条第一項に規定する特定鳥獣被害対策実施隊員等に関する命令(平成二十四年内閣府・農林水産省・環境省令第一号)
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成十九年法律第百三十四号)附則第三条第一項及び第二項の規定に基づき,並びに同条を実施するため,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律附則第三条第一項に規定する特定鳥獣被害対策実施隊員等に関する命令を次のように定める.
(法附則第三条第一項の内閣府令・農林水産省令・環境省令で定める者)
第一条 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(以下「法」という.)附則第三条第一項の内閣府令・農林水産省令・環境省令で定める者は,次の各号のいずれにも該当する者とする.
一 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第四条の二第一項の規定による猟銃の所持の許可の申請又は同法第七条の三第一項の規定による猟銃の所持の許可の更新の申請をする日(以下「許可等申請日」という.)前一年以内に法第九条第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員として,法第四条第二項第四号に規定する対象鳥獣の捕獲等(対象鳥獣である鳥類の卵の採取等を除き,当該種類の猟銃を使用して行うものに限る.以下「特定捕獲等」という.)に一回以上参加した者
二 許可等申請日前三年以内に銃砲刀剣類所持等取締法第十条の九第一項の指示を受けたことがなく,かつ,受けるべき事由が現にない者
(法附則第三条第二項の内閣府令・農林水産省令・環境省令で定める者)
第二条 法附則第三条第二項の内閣府令・農林水産省令・環境省令で定める者は,次の各号のいずれにも該当する者とする.
一 許可等申請日前一年以内に法第四条第一項に規定する被害防止計画に基づき,鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第九条第一項(法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)の許可を受けて特定捕獲等に一回以上参加し又は鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第九条第八項(法第六条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む.)に規定する従事者として特定捕獲等に一回以上参加した者
二 前条第二号に該当する者
(書面の交付)
第三条 市町村長は,次に掲げる事項を記載した書面を,第一条第一号又は前条第一号の特定捕獲等に参加した者の求めに応じて交付するものとする.
一 特定捕獲等に参加した年月日
二 特定捕獲等に参加した場所
三 特定捕獲等の対象とした鳥獣の種類
四 特定捕獲等に参加した際に使用した猟銃の種類
第四条 前条の書面の様式は,別記様式のとおりとする.
附 則
この命令は,鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第十号)の一部の施行の日(平成二十四年九月二十八日)から施行する.
附 則 (平成二七年二月二四日内閣府・農林水産省・環境省令第一号)
この命令は,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日(平成二十七年五月二十九日)から施行する.
別記様式(第4条関係)略

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?