野生動物の捕獲および肉利用における安全管理

竹田 努 宇都宮大学 雑草と里山の科学教育研究センター

■ 現場は危険がいっぱい

捕獲の変化

野生動物の捕獲は,大きく分けて狩猟による捕獲と許可捕獲に分けられる.一般に「狩猟」と「捕獲」に分けて語られることがあるが,この場合の「捕獲」は許可捕獲をさしていると考える.環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室のまとめた「狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数」によると,イノシシ・シカについては,狩猟や有害などその他の捕獲では,1960年度から捕獲頭数がほぼ右肩上がりで増加し続けている.その内,かつては狩猟による捕獲頭数は有害などその他の捕獲(「その他」は,環境大臣,都道府県知事,市町村長による鳥獣捕獲許可の中の「被害の防止」,「第一種特定鳥獣保護計画に基づく鳥獣の保護(平成26年の法改正で創設)」,「第二種特定鳥獣管理計画に基づく鳥獣の数の調整(平成26年の法改正で創設)」,「特定鳥獣保護管理計画に基づく数の調整」及び「指定管理鳥獣捕獲等事業(平成26年の法改正で創設)」での捕獲.)よりも多かったが,2010年度以降はその他の方が捕獲頭数は多くなり,2016年度では狩猟頭数の3倍弱となっている.
野生鳥獣による農林業被害が1980年代以降徐々に深刻化し,農林水産省により,鳥獣被害対策の強化が計られて,「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特別措置法)」が2007年に議員立法で制定された.各地方自治体に特別交付税があてられるようになり,鳥獣被害対策実施隊が各地に創設されるようになった.捕獲においては報奨金が配布されるようになった.
一方,捕獲を推進するために「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」が2014年に改正され,都道府県又は国の機関が捕獲等を行う「指定管理鳥獣捕獲等事業」が創設された.国や自治体自体の職員が捕獲する代わりに,民間に捕獲を委託するために2015年に認定鳥獣捕獲等事業者制度が導入された.これらにより多くの狩猟者だけでなく企業体までもが被害対策に関わっていくようになった.鳥獣の捕獲が趣味の狩猟よりも鳥獣害対策に軸足を置いた捕獲へと変容してきた.
過去に実施されてきた公的な個体数調整や有害捕獲で捕られた動物は,多くは現地に埋設するか,公設焼却施設で家庭ごみなどと一緒に焼却されていた.そこに,「野生動物の死体を利用しなければもったいない」という本来の「食料を得るために獲物を狩る」という流れとは逆の方向から,捕獲動物の利用が始まった.そこで捕獲した鳥獣を可能な限り食肉等に活用するための衛生管理に関わるガイドライン作成を支援することが国会内(参議院)で決議された.その後,検討会を経て2014年11月14日に野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針が,厚生労働省により策定された.ガイドラインを策定していない地方自治体は,野生動物の食肉加工を安全に管理するガイドラインとしてこれを採用した.これにより,野生鳥獣肉は,衛生管理された加工解体施設で処理されようになった.
結果的に,古くは食材を得るために狩猟が行われていたが,現在は鳥獣害駆除を目的に捕獲し,もったいないので食材に利用しようという流れになっている.鳥獣被害対策による野生肉利用は,狩猟という考え方を根本的に変容させてしまっている.

公表されている事故の種類と発生数

環境省の収集データより,表1に示すように狩猟事故は年間平均98±16件生じていることが解った.狩猟者登録証交付数に対する事故件数は,交付数1万件に対して,4〜10件だった.死亡者は減少傾向にあるが,事故発生件数は殆ど変っていない.それどころか,狩猟者登録証交付数に対しての発生件数は増加傾向になっている.
狩猟者登録証交付数は, ほぼ減少し続けている.地方に鳥獣被害防止総合対策交付金が支給されるようになった2010年にいったん増加したが,2011年からは再び減少している.状況としては1996年と比べて2014年では,半数近くになった.しかし,それに対して事故発生件数は100件程度でほぼ横ばいである.報奨金の支給によって高齢化しても狩猟を継続する傾向が強くなっている.狩猟者が高齢化していく中で,身体能力の低下が事故数の減少に関連づいていることが想像できる.更に関係省庁および地方鳥獣対策担当者の努力により若い狩猟者が若干微増している.事故を減らすためにもこの初心者への安全管理意識を高めていく必要がある.

獣害対策における労災事例

厚生労働省「職場安全サイト」内の労働災害(死亡・休業4日以上)データベースに記載されている個別事例から,2014年度および2015年度の獣害対策に関わるものを抽出した.
発生年および月は2014年3月,事故発生時刻13時〜14時,被災者年齢33歳.有害鳥獣捕獲中に捕獲したシカを沢で解体処理中に,上部斜面からの落雪が腰部を直撃し,左股関節を脱臼骨折した.発生年および月は2015年2月,発生時刻15時〜16時,被災者年齢25歳,獣害防護柵搬入作業を終了し,命綱を取りはずしている時に足を滑らせて約20m滑落した.発生年および月は2015年3月,事故発生時刻11時〜12時,被災者年齢73歳,捕獲したイノシシをテーブルに持ち上げていた処,足元が滑りテーブルの角で右横脇腹を強打し,肋骨を骨折した.発生年および月は同年同月,発生時刻13時〜14時,被災者年齢56歳,獣害防護柵設置作業を行っていたところ,山の斜面で足元が滑りやすくなっていて,滑落した際,左脇にあった木の切株を左手でつかみ体を支えたが,負荷がかかり左肩の靭帯断裂がおきた.
上記のように,銃以外でも獣害対策では動物侵入を防ぐ柵設置や動物の解体に際して労働災害が起こることが判る.更に加工施設においては,屠体のつり上げ作業や,ナイフ・肉のスライサー等刃物類の事故,清掃中に足を滑らせ転倒し,臀部,大腿部を床面に強打するような事故が起り得る.

捕獲における危険

箱罠や囲い罠の落下式の金属製扉や,強力なバネが跳ね上がるくくり罠,殺傷能力のある電気ショッカーなど,捕獲の担い手における安全への考慮は捕獲効率優先で,充分になされているとは言い難い.また,銃による事故も例年のように起こっているが,それ以上に多くの捕獲者が山中で滑落などの事故で死傷している.捕獲の現場は,殺傷能力のある猟具の使用リスクや動物の突進,滑落などの危険がある.
地域の鳥獣対策で活躍している鳥獣被害対策実施隊については,もし作業中の事故によってけがをした場合,公務災害補償を受けられるとされている.ちなみに鳥獣被害対策実施隊員の給料は時給計算で算出されており,作業時間が1カ月数時間という程度にとどまるために,月給1万円以下のところも少なくない.ここで事故があった場合の補償額は公務員と同等で計算される.つまり平均給与額が廉価であるにもかかわらず,その額面から算出される.猟友会がそのまま実施隊になっているところでは,多数で分配してしまうために年額にしても報酬は2〜6千円である.月収作業者が亡くなった場合でも,一般的には1日の平均給与額の千倍であるから,金額的には「香典」にも満たない程度の支給額である.作業の専門性と危険作業に対する手当,さらには非常勤公務員として守秘義務の負担と,一時的な雇用という魅力の無さから考えれば,給与や補償は安価過ぎる.
ちなみに狩猟において毎年日本国内では環境省の集計データによると100名程度の死傷者が報告されている.狩猟免許取得者数から判断すると狩猟者数は減少している.狩猟者数が減少しているのにも関わらず,事故数が減っていない.減少していない原因として,狩猟における事故が主に銃絡みのものが注目されがちであることに原因があるかもしれない.狩猟免許取得時や免許更新時などに行われる安全管理指導においては,銃の安全な取り扱い方を中心に指導がある.例えば基本的に脱包,安土の確認,矢先の確認など銃に関した事が多い.しかし,狩猟事故の半数は,転落や滑落である.その意識の違いが,事故を現象できていない原因なのかもしれない.

捕獲現場の安全意識

捕獲現場や加工現場の意識を知るために,2016年から7道県(北海道,栃木県,兵庫県,佐賀県,長崎県)の野生肉加工施設,解体施設の作業員,狩猟者に対して,記入式調査と聞き取り調査を行った.
記入式調査では,捕獲において作業上の気になっていることについて自由に記述をお願いした.98名が記入した内,一般に狩猟免許更新講習で指摘される「猟銃の取り扱い」に関するものは27件あった.その内訳(複数回答を含む)は「安土の確保を含む矢先の確認」が21件,「脱包の確認」が12件あった.猟銃以外では,罠に関するものが9件で,すべて「捕獲後の止め」に関する内容であった.猟法に関するもの以外では,「マダニなどの刺傷による感染に関する不安」が43件,「精神的な切迫や不安」が9件だった.その他に「落ち着いて行動する」,「複数人で猟を行う」など7件あり,「原発事故のために猟自体を避けている」と回答したのが1件あった.
捕獲現場に関する聞き取り調査をまとめると,罠の取り扱いや捕獲環境に関わる発言や,止めに関わる発言を聞くことができた.
罠の取り扱いについては,労働災害事例と同様に「イノシシの捕獲の際,箱罠を使うと重いため沼地や畑に設置する際,腰をいためてしまう.」という発言があった.また,くくり罠の事については,「ワイヤーロープに掛かったイノシシを罠から外すとき,ワイヤーロープがほぐれて針状になってしまっており,ゴム手袋を破って手に刺さってしまうため,感染症の危険がある.針などを通さないゴム手袋が欲しい.」.他に獣害対策としての課題を挙げて「餌が誘引になってしまうので,被害のある場所での箱罠設置は良くない.」.環境に関しては「捕獲現場周辺には,ヤマビル,アブ,ハチ,ハエ,ノミ等のいずれかが必ずいるので,夏は暑いが対処できる体制で対応する」.
捕獲時に危険を感じた瞬間について訊くと,「止め刺しに使う槍がはじかれることがある.」や「極の接地が悪く,電気ショッカーが効かないことがある.」など,槍や電極の接地が動物の動きによってうまくできないという話があった.また「電気での止め刺しを行って,動かなくなった動物が意識を戻して暴れ出したことがあった.」や「血抜き時に半死の状態で,最後の力を振り絞り暴れるので,噛みつく・蹴飛ばす・血が飛散・ナイフや槍が突き刺さった瞬間に暴れる.」のように,止めを刺しているつもりでも,暴れ出した事例があった.さらには「箱罠の中で作業者のいる方向に突進しようとして,鉄パイプ檻に衝突して鼻血を出し,飛散する.」や「くくり罠のワイヤーが切れたり,脚の関節を切断したりして,罠から外れたイノシシに服の上から腕を噛まれたことがある.樹の陰に隠れたけどもイノシシが山から降りてきたて通り過ぎたイノシシがUターンして噛まれた.」のように捕獲作業者が近づいた瞬間に暴れ出してしまう事例があった.
止め刺し作業自体は,「銃を使った止め刺しの場合は銃声が付近の家畜動物のストレスになるため,畜舎周辺での使用を控えるようになってきている.」または「イノシシはヒトを見ると興奮して暴れるので,止め刺しの作業者以外は姿が見えない場所にいるべき.」といったような周囲環境などを注意して実施している現場の様子が判る発言があった.また電気ショッカーについては,「特定の免許がいらず,年配の方から女性まで使える.さらに,民家の近くでの罠を設置でも止め刺しができるなど,電気を使って止め刺しをする人が増えてきた.しかし,電気ショッカーは,現法下は誰でも自分で作れてしまうので,危険なものも出回っていると認識している.」.利便性は理解するが,その利便性が危険を生むのではないかという警戒がされていた.特に電気については漏電を心配している発言があり,「Y字に先が分かれている二局一本式の止め刺しの電気ショッカーでは,感電する距離が局所であるためか,イノシシから電極を離すと,効果的にイノシシをスタンニングできない場合がある.また多くの電気ショッカーは安全装置がついていないので作業者自身が感電する危険がある.」という技術面に関する問題の指摘もみられた.
銃に関しては,捕獲と止め刺しが同時に行われるため,獲物に近づいても,半矢でない限り動き出すことはない.しかし,現在は罠猟が増えており,それゆえに捕獲後の止め刺し作業が必要になっている.止め刺しに銃を使っていた時代は,跳弾,安土,矢先に人が居ないことを確認する事さえすれば,一定距離を保って発砲して仕留めることができたが,罠のみの猟では,止め刺しをするために生きている獲物に充分近づく必要がある.安全な止めには保定が必須であるが,保定をするにしても技能が要求される.

止め刺しの現状と問題

止め刺し方法は主に,猟銃,ナイフ,槍そして電気によるものが一般的である.我々が2017年に栃木県や兵庫県,島根県,長崎県などの捕獲者443名を対象にアンケート調査した結果でも,止め刺し方法別に多い順で,銃205名,ナイフ196名,槍99名,電気97名であった(表2).その他の止め刺し方法の内訳は,薬殺(7名),撲殺(4名),絞殺(4名),水没殺(4名),放置(3名),炭酸ガス(2名)であった.これら回答の中で,155名の狩猟者が複数の方法を提示し,さらに22名は3種類以上の方法を回答していた.銃のみを選択したのは119名で銃選択者の58%,ナイフのみは89名でナイフ選択者の45%,槍のみは39名で槍選択者の39%,電気のみは32名で電気選択者の33%であった.

狩猟者を年齢別にどの止め刺し方法を多く選んでいるかをみると,銃を使用する人の比率は,年齢が上がるにつれて高くなっていて,30歳代は14%であるが80歳代は48%の半数近くが銃での止め刺しを行っていた(図1).一方,電気による止め刺し,電気ショッカーの使用割合は,若い世代が高く,30歳代の29%から70歳代14%,80歳代4%と下がることが分かった.狩猟歴の長さでは,狩猟歴が20年以下では,ナイフが最も多く,それよりも長い狩猟歴の人では,猟銃が最も多くなった(図2).
また狩猟歴が20年以下では,電気ショッカーが槍よりも多く,狩猟歴が20年を超えると,電気ショッカーよりも槍の方が多くなった.猟銃を所持する手続きが煩雑になったことが,新規狩猟者の銃離れをもたらしているとみられ,2015年度は銃猟免許よりも罠免許保持者が多くなっている.これが止め刺しの選択にも影響していて,より接近してから実施するナイフの使用を選択せざる得なくさせている.確かに,肉の利用を考えれば血抜きを確実に行える刃物の使用は重要なポイントであると言える.
その他の回答の内,動物福祉的に重大な懸念を持たれる,罠の放置による捕獲個体の死亡および水没させることによる溺死の7名について狩猟歴を照合すると,放置殺の3名は狩猟歴が6年以下で,一方,水没殺の4名の内1名は狩猟歴1年であったが,ほかの3名は狩猟歴35年以上の狩猟者であった.溺死させることを最もストレスのない方法だと薦める猟師を知っているが,ヌートリアやアライグマ等中型哺乳類の殺処理方法は二酸化炭素を用いた方法が推奨されている.まして,現場に放置して衰弱死させることは,人道的観点だけでなく鳥獣保護管理法,外来生物法にも抵触する可能性がある.捕獲したらできるだけ早く処理していくことが原則である.

近年は獣肉の利活用が求められるようになった.食の衛生管理のためだけでなく,食肉として品質を考慮して利用するためには,闇雲に捕殺し,肉が出てきたからもったいないし食べてみようというような考えは止め刺しをするべきである.例えば,野生肉を利用する上でも捕獲方法は動物福祉を考慮した捕獲法が選択されるべきで,それは対象動物にストレスを与えないという意味では,肉の品質解決に相反はしない(Hoffman & Wiklund 2006).また後述するが,食用を考えるのであれば銃による捕獲では,鉛弾の使用は禁止すべきである.鉛弾と銅弾では獲物をしとめる能力には差がないという証明もされている(Knott et al 2009, Trinogga et al 2013).環境に対する汚染だけでなく,ジビエなど肉の利用を進めるのであれば,鉛弾を選択している余地はない.

■ 食品への利用に関する課題

食肉利用上の危険

獣肉利用の現場いわゆるシカやイノシシの解体および加工施設での危険性は,銃猟や罠猟を行う捕獲現場に比べて低いかもしれない.捕獲現場では殺傷能力のある銃や槍・電気ショッカーの取り扱い上のリスク,捕獲時における動物の突進や移動中の滑落などの危険がある.しかし,刃物や野生肉を取り扱う獣肉加工についても相応の危険は存在する.
解体施設を視察すると,加工工程を清浄にし,消費者の安全を保つことに着目して,解体中に生じる肉の汚染を避けることに主眼を置いている事が分かる.国から提示された指針においても食肉加工上の食品衛生管理を実施するようにデザインされており,作業者や調理者の安全を考慮した作業指針は示されていない.一般のスーパーマーケットや精肉小売店であっても,肉を取り扱う上で修業が必要であり,管理された畜肉を取り扱う場合であっても習熟した技術と並行して刃物の取り扱いについては注意を払っている.だが,野生獣肉生産の現場ではいまだに河川で肉を冷やすような行為が行われている状況もあり,泥まみれになった獲物を刃物で仕留めるような場面も続いており,作業者の安全について語る余裕はまだないのかもしれない.
今まで口にしてきた餌の内容や接触している生物との関係,管理されていない水源,体表にまとわりつく外部寄生虫など,様々な未知の生息要因が存在する野生動物では,何らかの感染症,何らかの化学物質を持っていないという保証はない.ましてや,捕獲に鉛弾を使ってしまうと,半矢で逃げた動物の体内に鉛イオンが広がって肉を汚染する可能性がある(Tsuji et al 2009).鉛など多くの重金属は肝臓や骨,脳に入ってしまう.妊娠している場合では胎盤を通って胎児にまで汚染が広がる.食肉を恒常的に普及させていくのであれば,鉛弾の使用は直ちに禁止するべきである.
野生肉は何かリスクを持っているとむしろ想定して取り扱う方が合理的であろう.とすれば,まずは解体だけでなく止め刺しも含めて作業者が素手で作業するような状況は言語道断である.一部の寄生虫や重金属を除いて皮膚を貫通しないから,野生動物の体液(血液,唾液,精液など)や肉,内臓,排泄物に触れたらいきなり感染が始まる訳ではない.ただし爪の付け根,手指に小さな傷があれば,そこから汚染(感染を含む)は始まる可能性は出て来る.また,手指が口元や鼻を触る前に確実に除染が行われなければ,経口や鼻孔を通じて汚染が起る.肉質の低下を気にしすぎて,手袋をつけることもせずに作業をしてはいけないのである.

加工施設の安全管理意識

解体加工については,解体や加工施設が小規模経営体であることから,大手チェーンのスーパーマーケットのような程度の安全基準や衛生管理に関する内規が存在していない.場合によっては狩猟で体験してきた際に習得した我流の管理や,根拠のない安全基準で加工を行っている場所もあった.「安全基準や安全管理のための講習及び,そもそも人員が少ないので場内での安全管理のための提案等を集約する習慣がない.」,「県主催の野生獣肉の取り扱いについての安全講習会に参加したことがあるが,それ以降の講習会は開催していただけない.」,「安全講習会の内容は主に食肉加工に関わる関連法規など,また食品加工における安全対策の基本的は話で,作業員の安全に関する話はない.また捕獲に関する安全対策も特にない.」,「食肉解体,特に骨抜きなどができる人材の育成ができていない.」,「作業者の安全管理については,行政からの安全管理マニュアルがないので,意識することがなく,ナイフなどの器具の取り扱いについての危険除去等の安全管理は行っていない.」,「品質管理については,開所時に行政が作成したガイドラインに沿うことをしているが,手順ごとの詳細なマニュアルではない.」,「E型肝炎に対して,条虫など寄生虫に対して関心もないし,あまり気にしていない.感染症について対処する方法などを教えて欲しい.」,「安全な作業を実施するためのナイフの取り扱いに関するガイドラインや内規が必要だ.」また「冷却するために河川水にさらすのは,河川の汚染,肉質の低下および汚染にもつながるのでやるべきではない.」という指摘があった.

運搬・解体加工作業上の危険事例

運搬,解体加工においてヒヤリハットなどの記録習慣がないところが多いため,聞取り中に思い出せる範囲で,実際に体験したり,他人で起ったりした事例について挙げてもらった.まず運搬(搬入)については,現状では,獲物を現場で止め刺しをした後に放血を行い,その後,荷台に乗せて加工所へ搬入しているのが一般的である.この作業の中で危険だったと感じた瞬間として次のような事が挙げられた.作業者が獲物を車まで運ぶ際に,「タケササ類の切り株があるので,靴底を突き刺すことがあった.」.獲物が重く,引っ張って運び出す時に「草むら等にイノシシの血液が付着しており,後から来る作業員に血液が付着する.」,「保冷車に載せる時,イノシシの頭部側を持っている作業者は,刺し位置に近いので血液が付着してしまうことが度々ある.」など血液の管理ができない.さらに「ダニはイノシシについている.そのほかにシラミがたくさんついている.シラミは何か感染するものがないか気になっている.」,「荷台がない車で運んだ場合,車内に動物を持ち込んだときにダニが車内に蔓延した.」など外部寄生虫が多く,作業者に直接付着するだけでなく,車や解体施設に運び込んでしまう.捕獲現場が藪の中などで搬出作業が雑多になりやすい,獲物が非常に重い,既に止め刺しや放血により血液が付着しやすい状況,ダニなどの外部寄生虫が多く付着している等の危険を作業者が意識している事がわかる.
解体加工については,刃物の取り扱いに関することが主だった.「内臓が骨と癒着していてナイフの取り扱いが難しい個体があった.」,「ナイフの取扱いマニュアルもなく,みようみまねで作業をしてナイフで手を切ってしまったことがある.」,「肉質を判断できる基準がない.」.このように,作業用の安全管理マニュアルの不備や,作業手順マニュアル,技術講習の機会,肉質判定基準などまだまだ整備すべき点がある事がわかった.

現状の安全対策

聞き取り調査で,様々な危険に対して現在実施している対策方法を伺った.
捕獲においては,まず罠が確実にかかっているかを確認するとして,「罠に掛かったイノシシがいる場合は,ちゃんとワイヤーロープが脚に掛かっているか確認している.イノシシが罠に掛かっている場合はイノシシよりも上の斜面にいることが鉄則である.」というように具体的に近く際の経路についても細かく意識していた.保定に関して「電気でイノシシにショックを加えた後に鼻を固定し,頭部を鈍器で強打させて確実に気絶させた後に血抜きする.」.防護については,「止め刺しのときは,銃で一度頭を撃っても,しばらく暴れて土が飛んで来るので防護メガネをして,目に土が入らないよう保護している.」,「救急セット,ムヒやキンカン,消毒用アルコール(血抜き前にナイフも消毒),ポイズンリムーバー,防塵めがね,マスク,携帯しやすい水(簡易消毒用)を携帯するようにしている.」としていた.しかし,これらの作業手順を文書化したり,仲間で打ち合わせたりする習慣はなかった.
運搬に関する安全対策は,「マダニ対策として,イノシシの回収には表面がつるつるした手袋とカッパを用意して夏はかなり蒸れるが,着ていく.現場で車を降りた時点で着替える.作業後カッパは75度のお湯をかけて洗浄する.獲物は血液などもついているので服装や皮膚に付着を避けるために,担当している人全員が同じようにカッパを着ている.」と取り決めている解体加工所(栃木県那珂川町八溝ししまる)もあった.ここでは獲物の捕獲現場に行って,止め刺しと放血の現場に立ち会う.そのため肉質を落とさないために「現場からの運搬は冷蔵庫付の車が原則で,体表に水をかけ腹皮を切開して冷凍ペットボトルを差込,内部からも冷却.」と徹底した温度管理を進めていた.「冷凍車になっているので温度は2,3度になっている.獲物から発生する温度で庫内温度が上がらないように,基本は1頭,最大でも3頭,それ以上は運ばない.運んできて作業が終われば,熱湯によって洗浄する.車の冷凍庫内は熱湯で洗う.」というような合理的な対処をしていた.
解体加工作業については,まず精神的な面で,「作業者は,かつて消防署で働いていた人など,血液などに対して嫌悪感がない人を採用している.血液に対して気分が悪くなる方は,遠慮してもらっている.」.また除染については,「作業が終わったら,床などはブリーチで洗浄する.オゾンで殺菌すると,ゴム製品がボロボロになるので,通常は次亜塩素酸水(微酸性電解水)で洗浄する.また油に対しては強いアルカリ洗剤で洗浄する.」「まな板は,毎日ブリーチ(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)に浸漬している.」.啓発については,「食品衛生協会で年一回,加工安全講習会に代表者が参加して,他の従業員に伝える.」「寄生虫は肝臓などにあったので,当初は猟師がもらって帰ることが多かった.その後,寄生虫の危険について啓発を行った結果,欲しがる人がいなくなった.」「止め刺しの際に使用する電気での肉焼や,銃による内臓等の損壊がある場合は加工肉として取り扱わない,これらの情報は,捕獲者に直接見せて確認してもらう.また,血抜きの悪いものについても,同様に捕獲者に見てもらい,品質を上げる努力をしている.」
作業手順としては,「原則素手での作業は行わない.」,まず獲物を搬入した時は,「股のところなどにダニとシラミがたくさんついているので75度の熱湯をかけて洗い落とす.」.次に,「剥皮,内臓摘出作業は厚手の手袋を使用する.」,「特に消化器系・膀胱・生殖器を傷つけると汚染につながるので,肩から下は極力刃物傷をつけずに内臓を取り出す.」「骨抜きでは,肉の向きを何度か変えるため,1本のナイフ以外の刃物はまな板上に置かない.」と細かい点まで気をつけている熟練職人がいた.銃弾の対策として,「弾が入っている可能性があるので,骨の入る具合を熟知した職人が変だなと感じたところは,目視確認して除去している.」「通常銃による止め刺しは,スラッグや一丸の弾で行っているが,念のため金属探知機の最新型のものを取り入れている.弾が体内で破裂することがあり,念のために金属探知で分けるようにしている.」など,大型の金属探知機に頼るだけでなく,目視や疑わしいものへの対処をしていた.

解体加工施設の現状を踏まえて

解体所や加工所の多くが,有害駆除で捕られる動物たちを利用できないかという目的で,補助事業として始まっている.今回調査した4箇所とも開所に至る建設費や準備資材に対する資金調達の50%が国からの補助金であり,残りを事業者と地方自治体がそれぞれ折半して負担していた.いずれも開所初年度は地元新聞などマスコミに取り上げられる機会があり,当時掲載された記事が事務所の壁に貼られていた.在所の地方自治体や周辺自治体などの視察なども盛んに行われ,議会では地域活性の起爆剤として取り上げられて従業員を雇うための予算執行もあった.
しかし,月日を経ていくと首都圏などからのジビエ需要はあるが,供給できる量に限りがあることに気がつく.脂ののった品質の良い肉の搬入はある一定期間に限られ,搬入量は捕獲できるかできないかで左右される.さらには解体施設の処理能力が低いため供給量を増やす事ができない.駆除で捕獲した買い手のつきにくい旬を外した肉が次々と持ち込まれるため,品質が低下して市場の評価を下げてしまう.そもそも捕獲者が我流の捕獲方法,血抜きをするために安定した肉質を確保することが難しい.
品質管理は難しい.猟師に対して一定基準を要求し,その基準を満たさない屠体搬入を制限し,技術啓発のフィードバックを行っている現場はある.確かに捕獲の技術は改善される傾向がある.しかし,猟師自身がいまだに野生肉は臭い,堅いという固定観念を持っているケースは少なくない.「これがジビエ,これが野生」と言わんばかりに血抜きのほとんどできていない獲物を珍味のごとく搬入してくる.しかし搬入された賭体は利用することができず廃棄処分となり,廃棄に人手が奪われている.このようにして当初の目標とした搬入量に至らない状況が生じ始める.収益を上げられない中で助成が打ち切られて手数料支払が困難になり,従業員を解雇してしまう状況になり,当初期待されたような雇用を生み出すことには繋げられていない.
野生動物の資源利用は,水産資源では古来行われており,熟成した産業として成り立っている.例えばマグロの流通とイノシシの流通を比較して考えると,野生獣肉の利用が一般市民から要望されるような産業としては成り立っていないことがわかる.マグロの流通は大きく分けると2つの流れがある.一つは,市場で高額取引をされる市場の名物的な生鮮食品として,そしてもう一つは缶詰など大きな企業に販売される家庭でも使いやすい食材としての利用である.イノシシ・シカ肉は現状では,マグロの流通の中で前者のみが主だった流れである.高い食材としての存在感が強い.しかし,消費者側に野生肉の品質に対する関心が充分に育っておらず,どの肉の断片を見た時に「うまそう」であり,「高級そう」であるとは伝わっていない.さらに,マグロのような仲買人による「競り」がほとんど行われていない.野生肉取引をする市場を育て行く必要がある.
また扱いやすい食材としての流れであるが,現在,栄養評価が良好なために,スポーツ選手の食事や病院食,給食などで使用が可能かという取り組みはなされている.しかし,流通量の安定化と品質管理に課題がある.品質の均一化や重金属などの検査コストを下げるためには,複数個体分の肉を混ぜ,均一化し,検査回数を抑えることで解決する.
ジビエ肉は旬の時期には高級肉として市場で競りをして評価を上げ,逆に,脂の少ない時期の肉については,ブロック肉としてではなく挽肉として利用する.

 
作業者の安全は確保されているか

いずれも食肉を扱うという原則に従った食肉の安全管理を充分に踏まえた作業工程と機材を導入しており,食品としての安全は担保されていた.これは,平成26年11月に厚生労働省が「野生鳥獣肉の衛生管理に係る指針」によるものが大きく(厚生労働省2014),その指針に従って,各都道府県で衛生に関わるマニュアル作成し,解体および加工所において遵守もしくはそのための努力をしてきたことに他ならない.ただし,このガイドラインは食肉を消費する側のために作成されたものであり,作業者の作業上の安全管理を促すものではない.
理想的には捕獲後,生きたまま解体処理場に運び込んでから,生体の健康状態を判断し洗浄,そして止め刺しを行うという,ほぼ家畜同等の流れを踏襲することである.生きたまま動物を捕獲するということは,作業者が動いている動物に近づかなければならないということである.動物を動かなくさせるために場合によっては麻酔を使う必要もある.次に,捕獲した動物を生きたまま現場から運搬するならば,60〜80kgの獲物を倒木や沢を越えて安全に移動させる必要がある.安全に運搬するためには,わなの設置場所・捕獲方法は制限される.また,運搬中のケージの中で暴れることも考えられる.暴れることで筋肉に乳酸が溜まり肉質の低下につながる.そのために暴れなくなるような処置が必要になり,安静に運搬する方法を開発することになる.ケージは使用ごとに洗浄する必要があり,外部寄生虫など汚染物質を場内に持ち込まないようにする作業も必要である.また一般的にやっているように捕獲現場で止め刺し・放血させた場合では,流血による運搬作業者の血液による汚染が起こりうるリスクになる.なお放血を沢の近くで行わないなどのガイドラインも必要である.
解体加工所は,複数の捕獲者との相対があるので,解体所が情報交換のターミナルになっている.現状では,肉質を向上させるための情報を猟師にフィードバックしている解体所が一般的である.例えば,止め刺すための的確な位置や,肉焼等の異常を捕獲当事者に見せて作業方法を改善している.この情報の流れを使えば,安全管理のための情報を流すことも可能である.つまり,解体加工施設の担当者に安全指導員としての役割を担わせることが有効である.

熟練の職人を育てるために

解体における骨ぬきや肉の部位別の切り分け,肉質の見極めなどは専門知識と技術が必要である.この一連の作業をマスターするには10年掛かると調査中にある職人は発言していた.しかし,スーパーでの精肉業務経験のある加工施設統括からの見立てでは,職人が新人に付き添って教育した場合,入荷する頭数にも拠るが,1年程度で,製品として出荷できる程度までは習熟できるのではないかとコメントしていた.ただし,解体所や加工所の経営体は小さい,解体施設を作ることには補助金は利用できるが,シカやイノシシの解体加工の職人を育てる仕組みは教育機関を含めて未成熟である.
未経験者が地域おこしなどでジビエ担当になり,加工施設を経営している方が指導するような解体技術講習会に参加して,解体方法を習得する方法がある.ところが決まったガイドラインや教科書がないため,講師によって異なった方法を教えてくるという話を聞いた.現場では精肉業や加工の経験のない人が作業原理や品質管理を理解せずに,講師に教わる度に影響されて解体方法を変更していた.
自治体が助成して解体施設を開設する時に,精肉加工のできる職人を雇う,あるいは育成する費用を含めて経営にかかる金額を算出するべきであろう.多くの獣肉解体加工施設では設備投資にばかり着目している傾向がある.地域で現状生息している獲物の数を知ることができなくとも,現状捕獲している頭数は判るので,多くの施設では,捕獲できる頭数から大まかな施設規模を決めている.解体加工施設を設営するならば,その施設のサイズと人員で生産できる上限を知っておく必要がある.経営する上では「技術者」への人件費が確保できるのかを考えておかなくてはいけない.

■ どのように啓発すればよいのだろうか

安全管理に関するアンケート調査

野生肉利用における意識をどのように高めれば効果的に安全管理ができるのかを考える必要がある.そこで,まず捕獲の担い手に対する安全管理に関するアンケート調査を行ったので,その結果と結果から考えられることを紹介する.

調査の方法

調査は,2017年1月から2018年2月の間で,岩手,栃木,岐阜,三重,和歌山,兵庫,島根,佐賀および長崎の9県内において行った.調査地の地方行政獣害等担当者の協力を得ながら,狩猟安全講習会等で記名式アンケートを配布し,主に猟友会に所属する捕獲の担い手を対象に実施した.アンケートの形態は「はい」または「いいえ」の二択回答選択の設問が10項目,および自由記載が1項目あった.二択回答の項目の中には,他目的で設定した「5.ダニに刺されたことがある」が含まれていた.作業内の技術伝承に関する設問として,3項目,1.食品加工に関わる職の経験があるか,2.技術指導してくれた指導者がいるか,3.自分の技術を継いでくれる弟子がいるか,を尋ねた.次に,野生肉に対する危険意識を尋ねる設問として,3項目,4.野生動物の生肉を食べたことがあるか,6.血液や肉に素手で直接触れないように注意しているか,7.野生肉は自然の恵みなので畜肉よりも安全だと思うか,を尋ねた.更に作業上の安全対策の実施状況に関して3項目,8.作業上,決められた安全対策(マニュアルなど)があるか,9.仲間で安全管理について確認することがあるか,10.労働災害等の安全講習会を受講することがあるか,を尋ねた.捕獲動物の利活用として必要と考えている事柄の傾向を抽出するために自由記述設問として,11.安心安全なジビエを提供するために必要だと思う事を尋ねた.
二択選択設問の分析は,危険意識の項目の中で,E型肝炎ウイルス罹患リスクなど,人獣共通感染症としてリスクが高いと考えられている設問番号6を目的変数として,その対応に最も影響している項目を重解析分析によって特定した.更に,設問項目の回答傾向をロジスティック回帰分析によってp<0.05で帰無仮説が棄却される範囲内での相関係数の数値を導きだし,捕獲の担い手の安全管理への意識状況を模式化した.

また世代別で啓発の内容や定着,および経験などの違いが予想され,それによって野生肉への意識が異なることが予想された.そこで世代別の傾向を知るために,各設問について「はい」を選択した回答数を世代別に集計し,組合せごとに散布図行列を作成した.各組合せの回帰直線から相関係数を計算し,それらの相関係数について,世代別の特徴について検討した.
自由記述に対する分析は,テキストマイニングを利用した(相川ら2003).まず,野生肉への考え方や,安全に対する意識や取り組みにおいて,安心安全なジビエを提供するためには,必要だと考えている事柄が異なっていると仮定して,先の二択選択問題への回答別にそれぞれの自由記述を収集した.次に,「はい」と「いいえ」別に収集した自由記述をそれぞれ1つのテキストとして,テキストマイニングを用いて品詞別に各単語の使用回数を計測した.検出した単語の内,「はい」および「いいえ」において共通に使用されている単語のそれぞれの使用回数を行列にして,「はい」と「いいえ」の自由記述文の相関係数を導き出して比較した.ピアソン相関係数が0.5よりも高い場合は,自由記述内容は殆ど同じとして,逆に0.2を下回る場合は,記述内容に相関がなく,異なった意見を記述していると判断した.

結果

肉利用の安全管理に関する調査の結果,387名から回答を得た(表3).また回答者の年代別構成は60歳代が最も多く34%,次に70歳代22%,40歳代15%,50歳代13%,30歳代7%,20歳代5%.最も少なかったのが80歳代4%であった.

回答の内「はい」と回答したものは,「血肉に素手で直接触らない」59%が最も多く,次に「野生動物の生肉を食べたことがある」54%,「仲間で安全管理確認をする」44%だった.低率だったのは,「食品加工に関わる職経験がある」16%,「野生肉は畜肉より安全だと思う」13%,最も少なかったのは,「技術継承者がいる」10%だった.
世代別の傾向は,世代が上がるにつれて,「はい」と回答した比率の上昇傾向がみられたのは,「野生動物の生肉を食べたことがある」と「野生肉は畜肉よりも安全だと思う」であった(図3).特に「野生動物の生肉を食べたことがある」と回答した比率は,世代年数に対して高い正の相関を示した(R=0.94).70歳代に最大値が現れたのは,「食品加工に関わる職経験がある」,「技術指導者がいる」,「技術継承者がいる」,「仲間で安全管理を確認する」であった.「安全講習会を受講したことがある」は50歳代が最も高く,「血肉に素手で直接触れない」についても50歳代は高い割合で出現した.「安全対策(マニュアルなど)がある」については,30歳代,60歳代,80歳代に30%程度「はい」と回答したが,世代順で変化するような傾向はみられなかった.これらのアンケートデータに基づいて,人獣共通感染症に対する危険に対して,影響を及ぼしている現状の対策を評価した(表4).「血液や肉に素手で直接触れないように注意している」を目的変数として,重解析分析によって最も影響している設問項目特定した結果,「安全対策(マニュアルなど)がある」が最も影響していることが分かった.更に,ロジスティック回帰分析によって導き出した相関係数を基に描いた各設問の相関関係の模式図を作成した結果,「仲間で安全管理について確認することがある」が最も「安全対策(マニュアルなど)がある」に影響していることが示された.「仲間で安全管理について確認することがある」は「技術指導者が居る」と強く相関していた.

世代別の相関は,図4に示すように,「技術指導者がいる」と「仲間と安全管理について確認することがある」の世代別の推移が類似しており,相関係数R=0.63と高い相関関係を示した.構成人数の少ない80歳代を除くと,R=0.96とほぼ同じ傾向が示された.

また自由記載の設問「ジビエ安心安全に利用推進するには何が必要だと思いますか」については,56名が記述した(表5).回答内容は,「加熱を充分にする」,「素早い冷却」,「しっかりとした衛生管理」「生肉を食べない」,「トレーサビリティー」「講習会の参加」などがあった.他に販売促進や啓発のために「おいしく食べられるレシピを宣伝すべき」,「学校給食に出す」という記載もみられた.
これらの自由記述を記載内容のままにテキストマイニングした結果,名詞188種類,動詞35種類,形容詞15種類の合計238個の単語が検出された.それらの単語の内,前述の二択設問9項目の回答「はい」「いいえ」別に記述を分けて比較した結果,共通の単語は最も多かったのが「技術指導者がいる」37単語で,最も少なかったのが,「技術継承者がいる」及び「野生肉は畜肉より安全だと思う」の21単語であった.それらの単語の使用回数について相関係数を算出した結果,「食品加工に関わる職経験がある」,「技術指導者がいる」,「技術継承者がいる」は0.5以上で相関が高かった(表6).一方,「血肉に素手で直接触らない」,「野生肉は畜肉より安全だと思う」,「仲間で安全管理を確認する」は,係数が0.2未満と相関が低いことが明らかとなった.

安全管理意識に関するアンケートから見えてきたもの

今回の結果で,野生肉の加工施設などの安全対策では,安全マニュアルなどの対策を立てることが必要であることが改めて認識できた(表4).安全対策を立てるためには,日ごろから仲間との安全管理ついて関心を高め,確認することが重要であることも示された(図5).このような仲間の形成には,師匠にあたる技術指導者が重要な役割を果たすが,この技術指導者が,「野生肉は畜肉よりも安全だ」というような根拠のない価値観を伝承してしまう恐れがあることも示唆された.このような科学的な根拠のない考えが,野生肉の生食につながっている可能性も考えられた.日本では「刺身」という形で生肉を食べる伝統的な風習が残っており,それは魚だけでなく,馬など畜産肉がレストランにおいて提供されることがある.しかし,健康に飼養するために充分に注意しながら精肉になる畜産肉であっても大腸菌等の問題を引き起こすことがある(樋脇ほか1992,Isobe et al. 2014).まして,出生先も,餌も分からず,そして既往歴はどころか発症している疾病すら検査されていない野生動物の肉を,生や肉の表面だけをあぶるような料理法で提供することが危険であるということを啓発する必要がある(青木ほか 2017).また肉の調理者や消費者だけでなく,商業的に食肉目的で野生肉を提供する捕獲者も,自分が食中毒の汚染源になる危険があることを理解して,日ごろから生食は避けるべきである.

自由記述の結果をテキストマイニングによって分けた単語の使用頻度によって,「はい」と「いいえ」に回答する人たちの記述内容に相違が存在することが,相関係数から示唆された.今回,「血肉を素手で触れない」,「野生肉は畜肉よりも安全」,「仲間と安全管理を確認する」の設問に対して相関係数が0.2未満の相関が低いと判断された.このことから,二択の回答によって,異なった発言をするグループに分けられた可能性があった.「血肉を素手で触れない」について「はい」と回答した人の自由回答には,「衛生,解体,管理」の単語がよく使われていたのに対して,「いいえ」と回答した人では,「加熱,早い,経験,講習会」などの単語を使っていた.特に「早い」または「素早い」は「はい」で使用されたのは1回であったのに対して,「いいえ」では6回使用されており,処理を早く終らせて肉を冷却させることに主眼が置かれている様子が考えられた.また,「仲間と安全管理を確認する」については,「はい」では,「処理,解体,加熱」など解体処理方法などへの言葉が高頻度で使われていたのに対して,「いいえ」では,「安全,知識,研修,講習会」など情報収集等の言葉が使われていた.仲間との安全管理を行えない作業者は情報を研修などで得ることを要求している様子が示唆された.加工施設の多くは個人経営など,小規模経営が少なくない.仲間でヒヤリハットなどの予兆事例の収集をする機会が持てない作業場では,安全管理には正確な情報啓発が必要である.講習会において,ただ肉質の向上や品質管理に重点を置くだけでは,手早く作業を進めることに主眼を置いてしまい,手袋の着用の重要性などを理解しないおそれもあることが分かった.

世代別にデータを比較すると,狩猟者安全講習会などの安全啓発の実施が,学校などの教育機関で手袋着用などの啓発をしっかり受けてこなかったであろう40歳代以上の高い世代に対して効果的であったと示唆される結果がみられた(図6).つまり安全管理啓発を的確に実施することで,慣習化した誤った発想や作業改善に役立つことが期待される.
労働安全管理は,組織の生産性にも大きな影響を与える(Fernández-Muñiz et al. 2009).自身の行動を自己管理するだけでは,過大評価してしまう傾向があるため,組織立ったヒヤリハットなどの予兆事例の収集など,他人の眼による評価する習慣は必要である(Dunning et al. 2004).これらの実現のために作業場では仲間や職場で安全について話し合う機会が求められる.今回の結果で,「仲間で安全管理を確認する」ことが,作業安全実現にとって重要なポイントになることが顕在化した.そのためにもグループを形成できるリーダー的技術指導者が必要である.特に,誤った慣習を改め,科学的に根拠のある知識を学んだ次世代がリーダーとなって業務を遂行することが,将来の担い手育成にも重要になってくる.ところが,現状では次世代を担うであろう30,40歳代の内,「仲間で安全管理を確認」しない,かつ「技術指導者」がいない人の割合が大きくなっている(図7).30歳代や40歳代が年上の世代からの指導から距離を置き,猟友会などの伝統的な組織を避けている可能性がある.

現在,捕獲の担い手育成のために,大学や自治体,猟具関連企業などが,連携して啓発や技術指導の実施を検討し始めている(梶 2017).しかし,研修会や指導だけでは,グループの形成は難しく,安全管理の上では問題があるとみられる.技術指導とは別に,作業組織の育成が今後の課題と考える.
野生の肉を畜産肉と同等に流通する,もしくはそれ以上に推進して流通を拡大するのであれば,それ相応の衛生管理が必要である(森田 2018).そもそも管理されていない野生肉と飼育管理された畜肉を同等に扱うことは理性的ではない.しかし,同等に扱うのであれば,想定できる感染症に関する検査を実施する必要があるし,それ以前に捕獲の担い手や解体作業従事者が,動物や肉の異常に気付くだけの食鳥処理衛生管理者の知識と知見を持っている必要がある(押田・坂田 2018).検査もまた生息環境の共通性が担保できない野生動物は抽出検査が成り立たないので,全頭検査をする必要がある.
検査には大きな予算が必要になるであろうが,例えば,ドイツでは各地のイノシシの健康状況を集約することによって,畜産業者へのCSFに対するリスク回避につながるとして,狩猟者がイノシシの調査に協力している(Schulz et al. 2016).つまり検査体制を確立することは,安全なジビエ肉の提供だけでなく,畜産業にも役立つことが実証されている.国内では栃木県那珂川町の八溝ししまるでは,原発事故以来県と協力して,イノシシの放射線量測定を全搬入個体で実施してきた実績がある.したがって,国内全体で,感染症等に関して検査を行うことも充分に可能であり,小売販売や給食提供など,より多くの人に安全な肉の提供を進めるのであれば,検査は実施すべきだと考える.

■ 感染症のリスク

生肉は提供しない

前述したが,日本では「刺身」という形で生肉を食べる伝統的な風習がある.それは魚類だけでなく,哺乳類であるウマやウシを食べることがある.ヨーロッパ人からすれば,魚はまだしも競馬などで馴染みがある馬を日本人は生で食べると奇特な眼差しを向けることがある.さらには,病原体が繁殖しやすく,重金属が蓄積している可能性の高い肝臓を刺身で食べたがる人がいる.健康に飼養するために充分に注意しながら精肉になる畜産肉であっても病原性大腸菌の問題を引き起こすことがある.
では,出生先もわからず,過去食べてきた餌もわからず,そして病歴どころか現在発症している疾病すら検査されていない野生動物はどうであろうか.猟師の店と銘打って,「シカは刺身が一番うまい」,「クマの胆汁は薬だ」,「脳みそは白子のようにうまい」と珍味勢揃いで提供している.しかし,仮においしいとしても,おいしいから安全だというわけではない.そもそもこの世の中に感染症が生き残った意味は,太古の昔から,脈々と感染リレーを続けて来たからであり,病原体たちは,感染先,つまり宿主に広げてもらうための工夫を凝らしている.そう考えれば,「美味しい生肉」は病原体の誘いなのかもしれない.いずれにしても,生肉や内臓には病原体がいる.したがって生や低温加熱や肉の表面だけを炙るような料理法で提供してはいけない.

野生動物における感染症

岐阜県内の養豚場において豚コレラと呼ばれる古典的ブタ熱(CSF)の発生がみられた.その後,2018年9月14日には死亡したイノシシにおいてもCSFウイルス遺伝子の顕出が報告され,本感染が野生動物内にも広がっている可能性が示唆された.本感染症は,ヒトの発症例がないことから,ヒトへの健康被害は考えにくいが,豚肉輸出の停止など養豚業等,産業への大きな影響を及ぼす感染症である.そもそもCSFは養豚業者および関係者の不断の努力によって国内のブタからの発生を抑えることができたものであった(清水2003).1996年に生ワクチンの接種を取りやめて以降は,イノシシ内に感染が広がっているか否かの定期的な調査を継続して実施することはなかった.先進国とはいえ,決して豊かな国ではないこの国の独特な合理主義なのかも知れないが,感染症予防対策は常に数軒の農家の感染事例の犠牲から始まる.
野生動物を取り扱う際に注意すべき感染症がある.その感染症は大きく2つに分けて考える必要がある.一つは人獣共通感染症と呼ばれる動物と人に対して感染が起こり,発症し,重篤の症状を出す,または社会的影響を及ぼすものである.例えば,カモなどを自然宿主として世界的に流行し,ブタ・ニワトリにまで影響するインフルエンザウイルスが挙げられる.他に野ネズミが宿主でその尿から感染が広がるハンタウイルスや感染したネズミを食べたキツネなど中型哺乳類の尿が生水などを汚染することで引きおこされるエキノコックス,野生のシカなどを自然宿主として,吸血したマダニ・蚊体内で増幅して感染が媒介される日本脳炎ウイルス,日本紅斑熱,ダニ媒介性脳炎ウイルスをはじめとした媒介性感染症がある.
野生動物が関わるもう一つの感染症は,人は症状が出ないもしくは症状が軽いが,動物間では重篤になるような感染症である.それらは,前述したブタ熱ウイルスなど,ブタ,ウシ,ニワトリの畜産農家が戦々恐々となるブルセラ病,口蹄疫など,家畜に広がった場合に出荷停止や殺処分を要求され,さらには輸出入禁止の処置がなされる場合も生じて,産業的な損害をもたらす感染症である.
様々な感染リスクを軽減する目的で衛生的な飼育を務めて,健康管理に心がけながら飼育・繁殖管理をしてきた.その状況の中で,私たちは野生動物のイノシシにおける感染問題と養豚のそれのどちらを優先すべきなのかは,考えるまでもない.現状でブタ熱が養豚場で先に始まったか,野生のイノシシに長年にわたって脈々と広がっていて,それが養豚場で顕在化したのかということはどうでも良いことなのである.既に,養豚業に大きなダメージとなっていることを考えれば,感染地区のジビエ肉流通が優先的に止められるのは致し方がないことなのである.

外部寄生虫による感染

ここで,マダニなどを通じて感染が広がる感染症について説明しておく.感染は,外部寄生虫であるダニ類(マダニやツツガムシなど)が橋渡しをして起る場合もある.このようなダニ類や蚊のような感染症を橋渡しする動物は媒介動物と呼ばれ,媒介動物によって広げられる感染症を媒介性感染症として分類されている.媒介性感染症は,野生動物の体内で増殖した上で,定期的に血液の中に放出循環しながら維持されている.通常は感染している野生動物には顕著な症状がでないと考えられている.多少は,行動範囲に制限が出て来るのかもしれないが,ほぼ慢性的に感染している状況であろうとみられている(図8).病原体が感染を広げるには,まず媒介する吸血動物(ダニ・蚊)が血液と一緒に体内に取り込まれる必要がある.血液寄生虫やウイルスは,吸血時に感染した血液細胞や病原体を含んだ血漿として媒介動物の体内に取り込まれていく.その後媒介吸血動物の中腸で再び増殖をした後,唾液腺に移行して次に吸血した感染していない動物に病原体を拡散していく.ウイルス性のダニ媒介性感染症については,垂直感染(親から卵への感染)が知られており,ダニの中でも広がっていく.

最近騒がれている重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)は,上記のような仕組みで次第に感染地域を西日本から広げている.マダニ自体でも増殖するため,移動してきたウイルスを血液に持ったシカ,イノシシを吸血することによって感染域が拡大して,土着していくとみられる.SFTSVの他には,北海道には1993年に最初の感染者が確認されたダニ媒介性脳炎ウイルスがあり,1995年には道南地域に限定してヤマトマダニやアカネズミ,エゾヤチネズミからウイルスが分離され,抗体陽性の馬・犬が道南を限定に確認されていた.現在は,道北にまで患者がみられるようになり,感染が拡大している可能性がある.
またウイルスだけでなく,血液寄生虫の一つであるリケッチア症(日本紅斑熱,ツツガムシ病)なども国内には長年感染者を散発させており,狩猟者だけでなく野生獣肉解体加工者も含めてこれらの感染症について気をつける必要がある.加工施設への聞き取りの中では,「解体中に施設内をダニが歩き回り始めるので,かなづちでつぶしながら作業している」というような話を聞くし,捕獲していないのに解体中に刺されたというマダニを見せていただいたこともある.

野生動物による公衆衛生問題

野生動物による公衆衛生問題
野生動物は病気を広げる.古くは多包性エキノコックス症がある.礼文島にネズミの駆除と毛皮生産のために1920年前後に導入されたキツネの中に感染したものがいたことが,始まりだと考えられている.礼文島内のキツネは絶滅し,さらに島民が犬を飼育しないようにしていたため,感染は抑えられたとみられていた.しかし,1965年から再び道東で流行が始まり,現在は北海道全域に蔓延している.2018年には愛知県知多半島の野犬3頭でエキノコックスに感染しているのが確認され,2頭は駆虫し,1頭は殺処分された.人の症例も北海道だけでなく全国でみられるようになっている.本州以南でみられる症例は,現在のところ北海道由来もしくは海外由来と見られているが,今後本州でも注意が必要である.エキノコックスは,家畜では豚で広がった事例があることから,イノシシへの伝播は警戒しておいたほうが良い.また,肉からの感染もあることから,野生動物の生食を避けるだけでなく,内臓や残渣の廃棄は確実に行い,イヌ・ネコなどに生肉や内臓を適当に食べさせない.また,野山に放棄しない.
感染症についての知識を持って適切な管理ができないと,感染拡大を見過ごすことにもなる.イノシシの豚コレラのようにジビエにおける被害だけなく,畜産業への被害にも拡大する.捕獲から加工に至るまでの過程は感染症を伝播する危険が高く,肉を供給する側は消費者および流通に向けても安全に利用する方法を提案するということが重要である.
豚コレラウイルスは人には発症を起こさないが,解体残渣や食品の廃棄などで拡散させる可能性は現状では否定できていない.消費者が万が一「刺身」として生食などをしてしまうと,食べた人の体内に保存されて運搬され,更に広域に散布される恐れもある.つまり,生で食べるということは,E型肝炎ウイルスのようにヒトに対して直接的に被害を及ぼすだけでなく,ウイルス拡散による畜産業への影響など,環境へのウイルス散布になる可能性も充分にある.従って,現在多くの自治体が進めているジビエ推奨の中で,県境など自治体の境界を越えて流通させる場合は,各自治体が責任を持って全頭の検査を実施するか,消費する側が検疫を実施すべきである.需要が大きいだけの理由で東京などの大消費地に直接的に肉を流通するべきではない.検査には大きな予算が必要になるであろうが,安全なジビエ肉の提供だけでなく畜産業にも役立つことが分かっている.例えば,ドイツでは畜産業者の豚コレラに対するリスク回避として,各地の狩猟者からイノシシの健康情報を集めて公表している.国内でも栃木県那珂川町の八溝ししまるでは,原発事故以来県と協力して,イノシシの放射線量測定を全搬入個体で実施している.調査は販売に還元されていて,基準値以下の肉だけが出荷されるようになっている.国内全体で,感染症等に関しても同等の検査を行い,より安全な肉の提供を工夫すべきだと考える.

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