a sea route 2020春M3新譜「冥冥の花園-The invisible garden-短編集 Storyteller」感想(ネタバレ)

はい。
という訳で、遅ばせながら聴きました(ボイドラ聴くの遅いマン)
今回は白雲病ともはなむけとも違う短編集のお話。

この作品…というか、ボイスドラマは基本的に前情報を入れずに聞くタイプなので、その作品の面白そうだなって部分はなんとなく自分の積み重ねたフィーリングで判断することが多い
あとは単純にそのサークルならきっと面白いからってな感じで普通に買うんだけども
今回もそのうちの一つ箱庭S…もといa sea routeさん
私にとっては割とボイドラ沼初期からお世話になっているサークル様ですね
大阪で開催された「第一回 音けっと」でなんにも知らない私に親切におすすめを教えてくれたこと今でも感謝しております

さてさて、そんなわけで大体新作が出れば面白いのが分かってるこのサークル
短編集と言っても同じ様に前情報無しで聴くわけでして…

まず博士の独白から始まる
花園の存在から出来た経緯などなど
てか、心臓に花を植えるって狂気じゃない?
それで生き残る方もなんか人類の意地汚さと言うか生命の神秘と言うか
人間ってやっぱゴキブリ見てぇだな(急な失礼)

閑話休題

短編はそれぞれ春夏秋冬で分けられていて、花園自体も季節によって振り分けられているみたい
これは多分それぞれの花の咲き誇る環境の再現のためかな?って思う
夏に咲く花が冬を越せないように別の季節じゃいくら人体に植えてても行きていけないということかなって
それぞれの花を心臓に植えられた人間?の花園での物語なんだけど、この短編で語られる物語はきっと花に依存してるんじゃないかなってなんとなく聴いていて思った
花言葉の通り、花に寄って性格が変わっている
と言う感じ
花自身が持つイメージそのままのキャラクター
これは擬人化のような感じでいいのかなって思うわけでして
暗い感情を抱えた子も居れば、明るく朗らかな子も居て
たとえ自分が死ぬにしても綺麗なままで
枯れ落ちるとしても美しいままで
そんな儚さのある終わりを皆当たり前に享受していて、その上で次もまたって思えてる感じがある
まあ、どうにも季節が巡るように、新しい芽が出るみたいでこれは生まれ変わってるのかな?
どうなんだろう?人間とはもう根本的に違う感じだよね
前述の通りおそらく花の擬人化の様な感じだから、これは人間と言うよりも人間の身体という動く器を得た花たちの物語というべきかな?
だからこれは花を植えられた人間の物語と言う訳ではないのだろうと思う
いじらしく、愛らしい、そして誇らしく美しい花たちの物語
たとえ歪んでいたとしても、それが花の持つ本質でそしてまた季節は巡って再び返り咲く

なんとも言えない情緒を持った作品でしたね

考察の余地はあるだろうかと思ったんだけど、「箱庭」という表現が少しだけ気になった
「プラトー」もそう
そういう人種と言う訳だけど、これは「プラトー」の元々の意味の通りに考えると「停滞した存在」という意味で使われているのだろう
生も死もなく同じことを繰り返し続ける存在
足踏みしてるかのような表現になる
しかし、博士の言う通りに考えると何度でも咲き誇り人生を謳歌する彼らは本当に「停滞した存在」と言えるのだろうか?
「冥冥の花園」と言う場所でしか存在を赦されていないからだろうか
「冥冥」という言葉は文字通り暗い場所を指す
人間には見つけることが出来ない花園
人間ではたどり着けない狭間のような場所に存在するのかも知れない
そんな中でも彼らは彼らなりに明るく生きているという事だろうと
だがしかし、本当にそれを謳歌と呼んで良いのだろうかと

そうして2つの意見が対立するように生まれた
そういった矛盾のようなあり方がこのプラトーたちにはある
そして「箱庭」
これが文字通り「箱庭」=プランターであったなら
彼らの矛盾のようなあり方には少しだけ納得するものがある
そうすると「プラトー」とはこじつけのようだが、「プラント(植物)」という意味にも見えてくる
箱庭に咲くプラトーとはプランターで育てられる植物のように

そういう風に考えると物悲しさが出てくるんだが、博士に言わせれば「同情するな人間風情が傲慢だ」となるかもしれない
いや、そもそも博士が招いた事態なんだが()
まあ、人間が傲慢だってことは凄く同意見なんだけどね
私も含めて

そうそう、それで博士は最後に君の好きな花を教えてくれという
私が好きな花って何だろうと思うわけだけども、やっぱり厨二病的には黒バラかなって思うんだけど、博士の言う通り椿もかなり好きなんだよね
と、色々考えたんだけどもそう言えば私に昔から好きな花があったなって思い出した

それは「桃」

桃の花って古代中国に置いて魔除けの意味があって桃源郷とかでも使われるように極楽浄土に置いて咲き誇る聖なる花なんだよね
おいおいまた厨二病かよって話なんだけども実は別の理由があって
私は小さい頃凄く病気に掛かりやすくて、すーぐ風邪引いては熱出して病院に行くような子供だったんだよね
そんで私のおばあちゃんが毎回私に厄除けの意味があるからって桃を食べさせてくれてね
もちろん桃だけじゃないけど、なんだかんだ寝込んだ時に食べるフルーツが好きになった切っ掛けでもあったからやっぱりこれかなって

んで、ここまでなんか自分語りしておいてあれなんだけど、桃って「木」なんだよね…心臓に植えたらただのツリーマンになっちゃう…(白目)

という訳で、非常に儚い様で情緒のある心が暖かくなるお話でした
やっぱり外れねぇな!
最高だぜ!
感想終わり!

(この後、花が何度でも~って下りがあったので「黄泉還り」についてちょっと書こうかなって思ったけど特に関連があるわけでもないので割愛した)


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