水龍 2021年秋の新譜「カラスウリの招待状」感想

へい。
やってまいりましたボイドラ感想回。
可能なら一週間に一本は聴いて感想を投稿したいと思いつつも、なんだかんだと時間が取れなくて出来なさそうなのがあれだけど。
一応これで2本目。

今回はちゃんと今年の秋M3で出た新譜の感想を書こうかと。
今回の作品はa sea routeの須藤さんとEles Terrierの創龍さんの2人でタッグを組んだサークルの初作品と言うことで、BADENDにどう変化があるのか気になる所(BADENDになることが大前提)。

公式サイトと販売してるBOOTHのリンク
BOOTHの販売リンクはa sea routeさんの所だね。

今作はいわゆるデスゲームの話。

INTRODUCTION
ある日、希望(のぞみ)のもとに届いた招待状。それは、玉城財閥主催のアンフィスターパーティに参加できることを知らせるものだった。

何も考えず、楽しそうなパーティに参加することにした希望。

しかし、主催の玉城梓から知らされたのは「自分以外を殺す」というルールのパーティだった。

希望は、そんなことできないと抵抗するものの、パーティは始まってしまう――。

あらすじはこんな感じ。
早速感想行こう。
ここからはネタバレなので、聴いてなかったら是非聴いてもらって。











このぐらいズラせば大丈夫か。

ほいじゃ、感想行きます。

まず、アンフィスターパーティについてなんだけど、これって一応アンフィシアターが語源のやつであってるかな?
だとしたら闘技場なんだけど、その時点で中々やばくね?ってなる。
円形劇場にはいろんな使い方があったとは思われるけど、一番使われてたのは殺し合いの闘技場としてなわけで、それってもうパーティー名の時点で殺し合いですって言ってね?ってなる。
きな臭さ満点。
仮に皆で団欒、円形になってご飯食べるよ!だとしても、もう少し縁起のいい名前つけるやろっていう。
この時点で主催者の殺意が隠れてないパーティーだった。
何回も開催されているらしいけど、目的はただの金持ちの道楽と言う感じなのかな?
割と大きな掛け金が動いているだろうし、それなりに収益にはなっているだろうけど。
ただ、梓と言う人間はなんか裏の事情がありそうには見える。
計画的に事を進めるような人間が、こんな暗部に手を出す事自体疑うべきな気がするし、最後には何やら別の計画を動かすつもりらしいという事も含めて考えるのであれば、財閥内での立場が危うく、それをひっくり返すための算段があっての計画なのかな?と考えるのが個人的にはしっくりくる。
なんにしても、この辺りは続編が出るのか謎のままなのか分からないけどもいずれ何処かで明かされることを望みたいところ。

さて、このパーティーへの参加者は誰かからの指名制だということらしいけども、叔母、大学の友人、お店の客、職場の上司などかなり多岐に渡ってこのパーティーへの指名を行っている。
こんなにパーティーの内情を知ってる人間がいたらすぐにバレそうなもんだよね。
でも個人的な予想だけども、最初の方こそ参加者は玉城財閥の関連企業やその親族に関わる友人などに声を掛けて行っていたかも知れないし、あるいは誘拐等で開催していた可能性はあるが、その後はその参加者の関係者、親族、友人などから人を売っても平気そうな人間に声を掛けて、参加者を紹介、お金を払って、次回開催にもまた声を掛けて他の友人たちを売ってもらうようにする。
そうすると売ることに抵抗感が無くなり、友人や親族をどんどんパーティーに指名していく、ある程度自分の友人関係などを切り売りしたなと判断した所で、その指名して金を得ていた人間の友人や家族に、その事実を伝えて今度は金を得ていた人間を参加者として指名させる。
そして恨みがあるなら口を割らずに今度はそいつがどんどん自分の人間関係を切り売りしていく、そしてまたそいつも誰かに指名されて……と言う流れを作っていったのではないかと思っている。
人を呪わば穴2つとはよく言ったものである。
こうすれば、指名していた人間へ支払ったお金も回収できるし、そいつを使って興行も可能。
まさに一石何鳥だ。
私であればこうするだろうなという考えなので、あくまでも推測でしか無いけども。
あれ?これでは私が外道なのでは……?

…………と、言うことで、そうして今回指名した人間たちもいずれ指名される側になり、結果的に殺されるんじゃないかとは思っている。
因果応報だね!めでたしめでたし!()

主人公の希望は人当たりの良い快活な人間ではあったが、割り切れるほどの人間性は持っておらず、結果的に殺されてしまった。
彼女の人間らしいあり方は個人的には大変好みではあるけども、同時に夢を見ている様で実際に会うことがあったなら多分嫌いになるだろうなぁとは思う性格だった。
私自身が歪んでいる故だけども、現実が見えていない人間を明るい性格だとは個人的に言い難く、そりゃ死ぬわなと思ってしまった。
何もかも順風満帆に行くと未来を信じている人間は輝かしいからこそ、その輝きを濁らせたくなる試練を与えたい。
輝く可能性のある人間にはもっと苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、それでも尚届かない光を永劫焦がれて地に堕ちて欲しいと願ってしまう。
おお、神よ。どうして我々に試練をお与えになるのです。

見てて楽しいからですっ!キラッ!☆

みたいな。
いや、だからこれじゃ私が一番ヤバいんだって……。

あ、ちなみに浅見さんの死に演技最高でした。
ごちそうさまでした!(多分作者の2人も同じこと思ってるはず)(巻き込み)

じゃあ、逆に現実が見えてる千尋は?って言うと個人的には納得行くよねって思ってる。
千尋について凄く酷いことを言うんだけど、千尋って悲劇のヒロインに浸ってるよね。
分かっててわざと。
希望とは違う分かっててやってるヒロインぶり方。
最後とか手紙を読まれて叫んでたけど、そうやって演出することで自分を誤魔化してない?
そんな事で感情が揺れ動くような人間には思えないんだよね()
私は苦しい、悲しい、だって酷いことが起こったから。
そういう反応が、「普通の人間」だからって思ってるように感じる。
多分なんにも感じてねぇんじゃねぇかなってが個人的な印象。
悲劇のヒロインぶることで、自分が人間であることを再確認してるみたいな。
だから梓に好かれたんじゃないかなって思ってる。
取り乱しているようで冷静に見ているのは人間的に欠如してるからですよーって教えてあげたい。
あ、もう分かっててやってるか。

だからこれだと私が(ry

川崎兄妹については、なんとなく妹が原因で指名されたんじゃないかなって思う。
兄は巻き込みというか一緒のほうがいいだろみたいな意地悪で。
大学の友人からの指名だったと言うけど、まああの感じじゃ絶対に同性からは嫌われてただろうし、特に兄に近づきたい女からすれば厄介以外の何物でもないし。
人に依存してる奴に碌なのは居ないし、そんなの排斥されて当然だとは言える。
特に日本の大学生如きがその程度の悪感情を制御できるわけないし、こんな渡りに船みたいな指名権を得たらそりゃ兄妹まとめて指名するわと。

なずなは兄に依存している様に見えるが、同時に兄もなずなに依存している共依存の兄妹だ。
個人的には兄のほうが依存が強いように感じるので、剣道をやる前に兄のほうがいじめにでもあっていたのかも知れない。
それ故に妹が強くなったと考えるのが自然だろう。
拗れた兄妹だが、個人的には好き。
この感じだと家庭環境もまともであったか怪しいし、2人で生きていくすべを身に着けなければ文字通り死んでいたのではないかと思う。
故に一番地に足が付いていると言う点で好ましく思っているのである。

雲雀は親からの虐待があったと語られていた。
数年前、娘が母親を殺害した事件があった。
スパルタ教育の果てに過干渉と虐待を行った母を娘が殺した話。
医学部を目指せと言われた結果の成れの果て。
毒親を殺したと言う典型的な事件だったが、この雲雀もそのねじ曲がった意志の強さを感じられる。
親を殺すにはそれ相応の理由がいる。
酷い虐待を受けていた子供が成長を重ねて親を殺すのはありきたりだが、よくある話だが、そこに至るまでには中々険しい過程がある。
親を殺す切っ掛けは、酷い暴力を受けた際には中々起こり得ない。
なぜなら暴力によって従わされているのだから、それが行われている最中に反撃などするはずがない。
親が反撃できない瞬間、寝ている時などだ。
実際上記の事件でも親が寝たのを見計らって犯行に及んでいる。
暴力を受けた人間は、暴力を受け終わった際に安堵してそれ以上考えなくなる。
だから、殺すという気持ちが沸き起こらない事が多い。
なにせそのタイミングでは既に冷静になっているから。
それを超えても尚殺すという選択肢が出てくるのは、暴力以外の縛りもあったのではと思われる。
過保護、過干渉、そう言った精神的な縛りもあり、我慢の限界が来たのであればしっくり来る。
多感な学生時期に冷静なタイミングで親を殺そうと言う判断を下せるほどに追い詰められていたのであれば暴力以上にそちらの精神的な縛りの方が許せなかったのかも知れない。
可哀想な子ではあるし、同情もできる。
希望を恨む気持ちも分かる。
そりゃこんな頭お花畑な女が隣に居たらそりゃ殺したくなるだろう。
雲雀にとっては眩しくて仕方がないはずだろうしね。

深田については、なんかもうそれ相応に恨まれていたのでは無いかと思われる。
裏表があると書いていたが、人は追い詰められた時ほど地が出る。
そういう点で、悩んではいただろうが、殺すという選択肢をしっかり選び取った辺り、合理的な判断を下して他人を蹴落とすことを厭わないタイプなんだろう。
過去、そう言った事を何度か繰り返していなければ殺すという選択肢を自ら率先して気軽に取ることは無い。
特に日本人は流されるのが主だから。
結果的に指名されて送られてきたことを考えると、客以前に他の人間からも指名されてただろうし、遅かれ早かれパーティーに参加させられていたんじゃないかと思われる。
悲しいかな、周りの事をちゃんと考えられないとこうなるよという典型みたいな印象だった。

という訳で、ざっくりと作品の感想を書いたというか登場人物の中身を掘り下げたと言うかそういう感想でした。
楽しかったです。
やっぱBADENDなんだよなぁ()

あと、カラスウリというタイトルについてだけど、カラスウリは多年草で日が暮れてから朝までの間にしか花を咲かせないらしい。
夜闇に咲く花といえば綺麗だけど、そのまま闇に葬り去られる前の花(命)と考えたらしっくり来る。
それと、カラスウリの実を誰にもばれないように麻袋に入れて床下に忍ばせるとお金持ちになれるという言い伝えもあるそうで、そのことからもやっぱり玉城財閥と言うか梓自身が何らかの身を立てる証としてお金を欲していたのではないかと思われる。
独立か、財閥内での地位確保か、あるいは何かを人質に取られているか、継承権問題なんかがありがちだろうけど。
ついでに、カラスウリの花言葉に「よき便り」「誠実」「男ぎらい」というものがあるらしいが、参加者からすれば何処がよき便りじゃと怒られそうな事を除けばまあ概ね梓の心情がなんとなく浮かんでくるのではないかなって思う次第だったりします。

終わり

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