iDearoom 2020春M3新譜「メリー・デッドエンドゲーム」感想(ネタバレ)

はい。
という訳でやってまいりました。
iDearoom最新作「メリー・デッドエンドゲーム」の感想です。
「最新作?おいおいこれは2020年3月のものだぞお前」と思ったそこのあなた。
許して下さい。(土下座)
トータルで4時間半超えの大作でちょっとまとめて聴くにしても時間がね?
いや、最新作であることには違いないのでせーふ!

そんな訳でくっそ長い間聴けずに居たこの作品やっと聴けたので感想連ねていこうと思います。

さて今作はいわゆるデスゲーム。
限定された密室空間で繰り広げられる殺し合いのお話。

とりあえず公式の特設サイトから引用してくるとこんな感じで書いてある。

SNSの海の中
そのページに辿りついたのは偶然だった

死にたい人
殺したい人
見届けたい人 募集

ゲームマスターからの招待状が届いたのは翌日だった

それが俺のこれまでの物語

そしてここからが新しい俺の物語


ざっくり言うとSNSで死にたい人と殺したい人とそれを見たい人で集まってオフ会しません?って募集があったって事。
そんでもって更にざっくり2部構成の物語になってる。
「背反編」と「恭順編」の2部。
時系列的には背反編が最初らしい。
んでデスゲームという話なので、第1ゲームと第2ゲームと言う事になるかな?とはおおよそ予測がつく。
とりあえずこんな感じでデスゲームが始まるよーって事で。

そんでもって事前にiDearoomさん主催で「生死予想企画」なるものを開催していて、誰が死んで誰が生き残って誰が黒幕かみたいな話を予想するイベントがついでにあったりした。
正解すると旧作1本と次回の新作が貰えるという嬉しい企画。
なお、私は予想してたけど参加してないので何ももらえない。
と言うか外れてるんだなぁ!(白目)

でもまあ、折角なので聴く前に私が予想したものを。

鳴島海里(橘こむぎ)…生き残りそうだけどiDearoom的に死ぬ
倉崎茉莉(千野いあ)…見た目から意地が悪そうだから死ぬ
佐古健太郎(みや。)…こいつが生き残りそう。
蜂谷絢子(彩透瑠津)…神経質っぽくて拗らせてそうだから死ぬ
瀬戸雅也(INORI)…見た目陰キャだから死ぬ
真城充(KAZUMA)…こいつ1番怪しい。黒幕の可能性高い。
辻本樹里(ユキト)…見た目からどう考えても頭悪そうなキャラだから死ぬ
水口大和(中嶋有志)…見た目DQNだから死ぬ
東律華(棗いつき)…サイコパスっぽいから黒幕に見えなくもないけど、中の人と同じ感じで目が死んでるから死ぬ


芹澤悠生(由比春都)…生き残りそうな優しそうな奴はiDearoom的に死ぬ
洲上徹(神崎智也)…神経質そうだからキレて死ぬ
小吹美佐緒(開道結子)…軽薄そうだから裏切り裏切られて死にそう
紫藤寛人(天合正太郎)…サイコパスっぽい死ぬ
閨まりあ(結崎有理)…CV的に絶対死ぬ。賭けても良い。
都築葉月(雪城あゆむ)…狙いやすそうだから真っ先に狙われて死ぬ
春日井礼子(音枝優日)…見た目ヒステリック起こしそうだから喧嘩になって死ぬ
法花歩夢(ほよくぬ)…サイコっぽいけど負けて死にそう
常盤木真吾(らっど。)…噛ませっぽいので死ぬ


てな感じ。
まあ大体死ぬね。
メタ読みと経験的なもので考えてほとんど死ぬだろうと予想してる感じですね。
佐古健太郎と真城充が生き残りかつ真城が黒幕かなって感じ。
なんでそう思ったとかの推理予想は後の方が良いか。

まずは感想で。
とりあえず先に背反編から行こう。

安直だけど普通に楽しめた。
背反編だけで2時間以上の作品だというのに本当に2時間か?って言いたくなるぐらい濃密で、いつの間にか時間が過ぎ去っていた。
デスゲームに限らず中盤の中弛みが心配になる長さだけど、全くそんな事はなく楽しめたのは流石iDearoom。

この背反編ではまず主人公らしい鳴島の一人語りから始まるんだけど、この蟻についてのくだりは後で聴き返すと「ああ、殺したがりじゃん」って今にして思う。
私は基本的に前情報をあまり見ないで作品を聴くので、こうして振り返るとここの語りはそこに繋がるのねって感じで納得した。
最終的には真城と鳴島が生き残るんだけど、蟻の行列について語るのは鳴島自身の幼い頃のある意味純粋な殺人衝動がそのまま成長した結果なんだろうと言う所に繋がる様に思う。

誰しも経験自体はあると思うけど、幼少期は最も「死に自ら触れる機会」が多い時期でもある。
死ぬことと生きることの境界線が曖昧で、その線引が出来ないから良く虫を握り潰したり、物を壊してみたり、何らかの形で何かを「破壊する=死」を体験する。
これは悪いことではなくて、その線引を自分たちの中で培っていくために必要なことなんだと思う。
鳴島はおそらくその頃に線引が上手く出来ないまま育ったのかもしれない。
ただ、実際問題として成長して大人になればなる程にその殺人衝動的な思いは抑えなければいけなくなる。
幼稚園児の頃に虫を握り潰して遊んでいたとしても、小学生になれば変な奴扱いになる。
中学生にもなってものを壊して遊んでいれば危ない奴になるし、人を殴れば暴力的な奴になる。
人よりも抑えるのが下手だったか、人よりも成長が遅かったか、あるいは元々おかしかったか、不明瞭ではあるけども少なくとも成長と共に抑圧されることが圧倒的に多くなったはずだと思う。
やってはいけないと怒られるし、日本だと暗黙の了解でやるなと圧を掛けられる、まともなふりをしていないと村八分で生きていけない可能性がある。
そんな不安定な状態で殺人に対して、理想と執念を募らせていったのでは無いだろうか。
心理学的には「カリギュラ効果」と呼ばれるものが該当するだろうか。
やるなと言われたから余計にやりたくなる現象。
だからこそ人殺しを楽しむ、同時に半端な殺し方が気に入らないと言う鳴海自身の怒りに変わったのだろうと思う。

いわゆるサイコパス、シリアルキラーな人物である。
ただ、殺すのが当たり前(スリルを楽しむ趣味や日常的な出来事という意味)という様な感じではなく、殺し方に対して異常な拘りなどがあること、冒頭の独白から察するに社会性を一通り備えている所などの面が垣間見えることから、シリアルキラー的な面よりはサイコパシー的な面の方が多く伺える。
FBIの犯罪分類マニュアル的にはディスオーガナイズド型のシリアルキラーが正しいだろうか。
類義語にソシオパシーと呼ばれるものがあるが、この場合先天的な面に大きく依存していそうなのでサイコパスと呼ぶのが妥当なのだろう。

こう言った人間は案外身近に居る事が多いとされる。
先天的な後天的かの差はあるだろうが、職業別では社長や弁護士、医者、警官や軍人などにも多いとされる。
何らかの理由で通常の仕事よりも難易度が高く、他人より立場上優位に立てる職業が当てはまるだろう。

そう言う意味では真城などは立場上何らかの優位に立っている事が伺える。
しかし真城自身は鳴島とは違い、どちらかと言うとシリアルキラー的な側面が大きいように思える人物である。
わざわざイベント会場を用意して、それ相応に武器も持ち込み、参加者を募り、自分もそこに何食わぬ顔で参加し、最前列で楽しむという用意周到さはスリルを楽しむタイプのシリアルキラー特有だろう。
ただ、当然サイコパシーな側面もあるように計画的に見えて、若干衝動的に見える雑さ(首輪の作りなどがそう)やオカマ役の作り込みなどはサイコパシー特有の病的な面が顕著に見えると思う。
そしておそらくだが、真城は親の遺産か自分の力かは不明だが、舞台装置を大々的に用意できる程度にはお金と立場があるのだと思う。
通常不動産の購入には審査が必要だし、それが遺産相続などで手に入ったのなら、当然親は経済的に裕福な層の人間であるだろう。
そうなれば当然だが、真城自身もそれなりの教育を受けただろうし、比較的嘘を押し通せるだけの胆力を持ち合わせていることも考えると、遺産もあるだろうが本人自身が何らかの経済基盤を持っていても不思議ではない。
ただ、こんなゲームをかなり早いスパンで何度も開催する所を見ると真っ当に働いている訳では無さそうである。
(と言うか真城は鳴島に使い潰される運命しか見えないんだが、恭順編での目玉くり抜かれてた彼は……。もしかしたら臓器の摘出などがどうとか言ってたので闇ルートで活動するのに案外生きて働かされてそうな気はしないでもないけど……可能性低そうか)


さてさて、次に行こう。
このゲームには他にも参加者が居る。
特にサイコパスというなら他にも分かりやすいのが二人。
佐古健太郎と東律華である。

佐古くん……なんで死んでしまったんや……君は生き残る予想やったんやで……(嘆き)

まずは序盤も序盤で死んでしまった佐古くん。
あとになって明かされるが実は死んだふりで生きていたとか言う。
ま、そのあと律華に殺されるんだけどね!
見た目的に軽薄そうと言うか薄情そうなキャラクターではあるが、実際に作中での佐古くんを見るにその通り薄情で「人間なんて俺以外死んでもいいや」って思ってるタイプの人物である。
性格的には比較的短気、おそらくだが直情型のタイプだと思われる。
同時に他人を支配したい欲があるタイプだろう。
他人に命令されることを嫌い、他人に抑圧されることを嫌い、自分を下に見る奴らを嫌う。
典型的な反社会的人物と言える。
このタイプにありがちなのは幼少期の頃に虐待を受けていたという事が非常に多い。
他者との境界線が暴力などによってしか認識できていないので、成長してもそれがベースになって他人との関係性を上下で認識する。
その為、自分が下である事を極端に嫌い(怯えている)、そうならないように何でも出来るようになろうとする事で、自分の優位性を確保する。
上手く社会に溶け込めれば非常に優秀な人だっただろう。
このタイプに多いのは人を信用できないくせに寂しがり屋だったりもする。
他者との境界線を上手く認識できないので、その加減が分からずに踏み込めず、結局自分でなんとかするので他者との関わりが必要なくなる。
そうすると余計に他人との関係性を上手く築けないので、余計に自分一人で生きる術を身につけると言うある意味悪循環な動きをする。
同時に他人の悪意に非常に敏感(虐待などの経験)なので、敵味方の判別が割と簡単にできる。
そう言った経緯から鳴島を味方に引き込もうとしたのだと思われる。
直感でこいつは味方のほうが良いと判断できるのは優秀な嗅覚である。
ちなみにおそらくだが、こいつはデレると可愛い。
(急に何いってんだこいつ)

そんで次。
東律華。
典型的な人の気持ちが分からない快楽主義者。
下手しなくても自分の感情すら理解できてないタイプ。
作中でも度々不用意な発言を繰り返していたが、あれはゲームを盛り上げると言うよりも本当に空気が読めないだけなんだろうと思われる。
真城に対して敵愾心を向けるが、おそらく殺したくて仕方がないのにゲームを盛り上げるために制限されているのと、なによりもこんなゲームを開いておいて自分ではあまり手を下さないと言う真城の自己保身的な面が見えるのが気に入らないのだと思われる。
人の死ぬ時の悲鳴、人の身体を刺した時の感触など、何よりも感覚を重視する律華とは相容れない存在なのだろう。
律華はシリアルキラーの中でもおそらく性欲に結びつきが強いタイプに見える。
女性では珍しいだろうが、拷問などで虐げることによって興奮し、殺すことによってその快感を得る。
その快感を求めてドンドンと殺す頻度を上げて、その度に新しい殺し方を試してはその悲鳴を楽しむ。
このゲームへの参加によって殺すことを覚えたことで、快楽殺人がやめられない止まらない「かっぱ○びせん」の様な状態に陥ってると思われる。
人ってサクッと死ぬからね。美味しい(?)よね。
もしまだ生きていたら、ゲーム外でも人を殺し始めて、ゲーム開始までの間にそこら中で人を殺しては楽しむに違いない。
下手すると律華が原因でゲームが露呈するレベル。
覚醒剤も真っ青の中毒症状で死ぬまで殺すのをやめられないだろう。
今の内に死んでて良かった。


ちなみにここまで書いておいてまさかの余談だが、シリアルキラーとサイコパスは別に同一学問上としての分類ではない。
シリアルキラーが犯罪分類上の名称で、サイコパスは心理学的な分類上の名称なので、サイコパシーな人間を「犯罪者」または「犯罪者予備軍」と見るのは間違っていたりする。
同時にサイコパスは「病気」という枠では無かったりもする。
あくまでも「障害」。
確か「反社会性パーソナリティ障害」と呼ばれるもので、サイコパスと診断されたからと言っても薬物治療などがある訳ではない。
勿論、社会生活を送れないレベルの重度の障害であれば薬物治療を行うことがあるだろうが、実際そのレベルの重度の障害ならば真っ先に問題を起こして刑務所行きが確定だろう。
しかし、まず大前提としてサイコパスというのは「反社会的」であっても、「犯罪的」ではないということである。
シリアルキラーとサイコパスでは見ている側面が違うという事。
社会の一員としてある程度折り合いをつけて生きているサイコパスは「非犯罪的サイコパス」や「成功したサイコパス」などとも呼ばれるらしいが、前述の通り社長など社会的にある程度の成功を収めた者などが該当するだろう。
ただ、実際には社会と折り合いをつけて生きているか、折り合いがつかずに社会性を捨てたかの違いしか無いため、その特性は被っている面も多いというのも実情である。
パワハラを平気で行う上司などが顕著な例と言えるかもしれない。
(果たして本当にそうかは分からないが)

閑話休題。

あいや待たれい。
CVについて全く話してないのだがどういう事だ。
サイコパスで白熱しすぎじゃん。
橘こむぎさんのショタボイスについてまずは話させてもろて()

という訳で、とりあえず4人のCVについてまとめて話してしまおう。
まずは鳴島海里役の橘こむぎさん。
ショタボイス好き。
違う。
ショタから離れたいのだが????
ショ……じゃなくて鳴島の役についてだが、冷静な面と激昂する場面での2面性は素晴らしいの一言。
冷静さの中に不思議と引かれる魅力があるのはサイコパスらしさがあってピッタリだった。
しかも無邪気さを兼ね備えた感情の発露はやはりショタに定評のあるこむぎさんらしいと言えるだろう()

次に真城充役のKAZUMAさん。
オカマ役がぴったり過ぎる……なんだこの男……。
声だけ聴くと完全にオカマ。しかしキャラクターの顔を見ながら聴くとイケメン。
この揺らぐ境界線のようなどちらにもなれる声……いいよね。
それで居て、本来の性格(鳴島との一騎打ち)での男らしい声が出る演じ分けが素晴らしい。
二枚目かと思われる声が野太いゴリラのような男を思わせる声に変わるのは聴いていて思わず「おぉ」と声を上げたぐらい。

そんで次、佐古健太郎役のみや。さん。
安定したイケメンの演技最高。
ちょっとイライラした時のヒステリックな感じの声とか鳴島が仲間になると決めた時の嬉しそうな声とか佐古という高圧的だけど、ちょっと寂しがり屋な感じのキャラにピッタリだった。
ちなみにみや。さんのショタボイスも好きだよ。(唐突な告白)

そしてサイコパス枠の最後、東律華役の棗いつきさん。
とりあえず言うことは一つ。目が死んでるだけですでに解釈一致してる。(お前言うに事欠いて)
まあ、それはそれとしてサイコパスの演技最高に似合う人なのでピッタリだった。
あの感情無さそうな虚無演技から、佐古の死んだふりの時の冷静そうな演技も、首が絞まったフリの時の演技など死にかける演技も定評がある。
と思えば、大胆にも人を殺して楽しむあの悲鳴に似たような喜ぶ様の演技は筆舌し難い良さがある。
「ああ、この女は間違いなく狂ってる」ってそう思わせる演技だった。
この配役を決めた人には150を点満点あげたい。

「棗いつき」にはやはり《虚無》が似合う……(厨二病)

とりあえず、これで背反編で元々運営側だった人間と生き残った人間は紹介できたな。
次はその他の犠牲者にスポットを当てていこうと思う。


誰から行くかは迷いどころなのでとりあえず倉崎茉莉から。

アイドルというものはいつもヘラっていてドロドロとしているものである。
by 私

いやいや、アイドルってのは輝いているものだと言う諸君。

倉崎、いじめられてるみたいだが????(威圧)

さてさて、倉崎はおおよそアイドルという仕事が向かないタイプの人間である。
元々そこまで精神的に強い方ではないのだろう。
アイドルでグループとして活動していたらしいが、同じメンバーからいじめにあっていたと言う話が本当であるなら、あまり自分の意見を言うタイプではないと思われる。
とは言え、デスゲームに参加した時の感じを見ると、何らか自分の意思はあり、それについて曲げないような頑固な一面もあるように思う。
はっきり言って、他人に嫌われるタイプだろう。
おどおどしてるように見えて、他人の意見を受け入れずその明確な理由は言わないとなると相手からすれば相当不快だろう。
しかしながら自分の意見はあるので、自分の意見を言うまで少し時間の掛かる人間なのかも知れない。
よくありがちな不和ではあるが、同時に中々解決の糸口が無い不和でもある。
根本的に人との会話スピードや感じることが違うのだろう。
感受性が豊かと言えば聞こえが良いが、傷つきやすいという意味でもあるので、そう言った面ではアイドルは辛い事だっただろう。
ただ、どうにも腑に落ちない気がするんだが、この女案外思い込みが激しい感じがする。
自分の中での常識や指標が1番正しいと思ってそうな感じが。
駄々をこねる様な一面も見えて、実はこの女のそう言う自己中心的な面こそがいじめにあう理由だったのでは?と思わなくもない。
そう言う意味ではこの女はアイドルという職業に向いていたのかもしれない。
「私の理想のアイドル」を「私が望んだ形」で「私を使って」作り上げる。
無自覚な自己中心性ほど厄介なものはない。
ある意味いじめられて当然で、色んなもののせいにして死ぬのは必然なのかも知れない。

そんで、この倉崎茉莉役の千野いあさん。
そう言ったおどおどしてるようで無自覚に人をイラつかせる様な演技が非常に良かった。
危機的状況で泣きわめくやつ程鬱陶しいものはないし、そう言った役は無自覚に、匂わせる程度に、人の神経を逆撫でするような演技をしなければ行けないので、可愛いだけでは駄目だったりして中々難しかったのではないだろうかと思う。


次、お友達の蜂谷絢子。
この人はあまり背景が分からないが、理屈っぽいと言うか、自分の思想信条と言うよりも常識や世間というものに合わせて生きているタイプ。
それであれば私は間違っていないと言う盲信もあるように思う。
茉莉ちゃんと似た者同士だね!()
ヒステリックな面があるように思えるが、実際にはヒステリックと言うよりも他者を敵だと思って事前に威圧している様な感じがある。
興奮と言うよりも自己防衛と言ったほうが正しいかも知れない。
それ故、真城と鳴島に対して警戒していた後に誤解を解いてしまえば案外人を信用してしまうようなチョロさがある。
「好きの反対は無関心」という言葉があるように、この蜂谷絢子と言う人間は実は興味津々で他人のことが気になって仕方ないタイプなのである。
それ故に人の目も気になってしまい、常識的行動、世間一般的に普通と判断できるものを指標にして行動するのだろう。
そうしてとある理由で自縄自縛に陥って悩みのタネになるというのは愚の骨頂と言わざるを得ないが。
そう。彼女は常識に縛られて生きているのである。
だからこそ、彼女は自分が「倉崎茉莉のことを好きである」という感情を押し殺すのに必至になっている。
そして同時に疲れてもいる。
常識と違う自分はおかしいのだとでも思っているのだろう。
とは言え、この性格では相談できる人間も居なかったのだろう。
結果、こうして辿り着いて、死ぬことになるなんてなんとも皮肉なものである。
彼女は自分の人生を自分で縛り上げた上に、最終的には自分の首を絞めることになると言うある意味自殺と言っても過言ではない死に方で少し可哀想な人だ。
安らかに眠って欲しい。

ただ、最後に墓掘りのようではあるが、この蜂谷絢子と言う人間を私的にもう少し掘り下げたい。
友人である茉莉が大好きで、世間とのギャップなどに苦しんでいたように思われる絢子であるが、これは自分の元に常に置いておきたいと言う欲望で、単純な支配欲だろう。
自分の常識の範疇、手の届く範囲に人を置いておきたいという欲。
騙されやすく、少しバカで、色んな物事に不安を抱えて、何かに付けて自分が慰めないと、自分が傍に居ないと生きていけないと思わせる茉莉は蜂谷絢子にとって最高のお人形だったのだろう。
この女は倉崎茉莉と言う人間が好きだったのではなく、ただ単純に自分という優位性を大事にしていただけであろうと私は思うのだ。
(可哀想と言いつつ死体蹴りをするの許して)

そして蜂谷絢子役の彩透瑠津さん。
頭が硬そうで、常識に縛られていて、何事も正しい道があると信じ込んでいる自己矛盾の塊の様な役を上手く演じられていてよかった。
極限状態で錯乱した時の常識はずれの行動を取った(殺してくれと懇願する)シーンと合わせてるとそのアンバランスさがより一層際立っていて、素晴らしかった。
彩透瑠津さんは内心が不安定な役柄得意なのかも知れない。

ところで、瑠津さんの役について語るの2回目なんだけど、2回目もキャラクターボコボコに言ってるのなんとも言えない。
許されると思いたい(許して)


お次は瀬戸雅也。
見た目陰キャ、喋っても陰キャ、しかも高圧的でちょっとしたらすぐキレる。
典型的な頭悪いのに自分が1番だと思ってる無能。
何にしてもリーダーシップを取りたいという感じ……と言うよりもこちらも支配欲が強いタイプと思われる。
作中でも分かる通りに佐古くんとは同族嫌悪故に相性が悪い。
おそらくこちらも誰か下に居るのが苦手で、自分が1番だと思いたいんだろうと思うけど、こちらに関してはどうにも佐古くんよりも能力は劣るように思う。
サイコパスと言うよりも状況に流されやすいタイプと思われる。
「殺していい場所だから殺しました」と状況のせいにして自分は悪くないと言う免罪符が無いと何も出来ない。
自分の意思決定というよりも環境がそうだから良いんだという感じ。

昔、「ミルグラム実験」と呼ばれる今日でも大変有名なものがあった。
イェール大学のスタンレー・ミルグラム氏によって行われた社会心理学の実験。
「アイヒマンテスト」とも呼ばれるそれは、簡単に言えば「閉鎖的な状況における権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したもの」と言われるものである。
端的に言えば、「人は環境と権威的な何かによる誘導があれば平気で人を殺すことが出来るか?」という事を証明する実験であった。
おそらく、知ってる人も多いと思うが「スタンフォード監獄実験」もこのミルグラム実験の派生系である。
(※最近この「スタンフォード監獄実験」は不正があり、わざとそう演じたと呼ばれる部分があると暴露されており、本当かどうかは怪しいところではあることは留意)

この実験の内容については割愛するが、これはナチ戦犯の1人である「アドルフ・アイヒマン(アイヒマンテストはここから来てる)」と呼ばれる男の人生からその心理状況を解明するために行われた実験であるが、結果的に人は「権威と環境が整っていれば文字通り平気で人を殺すことが出来る」と言う結果を弾き出した。
実験の結果だけで言うと約6割の人間が、目の前で苦しんでいたとしても約4割の人間が、人を殺すことが出来るのである。

この瀬戸雅也もその内の1人の様に思える。
アイヒマン程真面目でも従順でも無いし、どちらかと言うとおかしい人に分類されそうではあるが、そうあることを望んでいる一般人の様に思う。
自ら望んで殺したいと思い参加したと言う面はもちろんあるが、佐古という「気に入らない人間が死んだと言う事実」と、「気に入らなければ殺しても大丈夫な場所だ」という環境と、更に「ゲームマスターと言う存在に従う必要がある」という権威があるからこそ瀬戸雅也は殺しに対してのハードルが無くなったのだろう。
だからこそルールを遵守したのにも関わらず首輪が外れないと言う事実に困惑して、激昂した。
きっと「やれと言うからお望み通りやってやったのに、出れないんじゃこんなに苦労したのに意味がない」と思っていたはずだ。
故にこいつはあくまでも少し捻くれて意地の悪い「一般人」だという事だ。
本人はきっと納得しないだろうが。

最後にアイヒマンの逮捕後の言葉の中で好きな言葉を持って瀬戸雅也の考察を終えたい。

私の罪は従順だったことだ

瀬戸雅也はある意味従順で、世間への不満はあれどもこの中では普通の人間だったように思う。
果たして瀬戸雅也の罪はどこにあるのだろうか。

と言う訳で、カッコつけたところで瀬戸雅也役のINORIさん。
高圧的で、神経質な役を演じていた訳だけど、このなんとも言えない人をイラつかせる態度。
それがお前が周りから嫌われる理由だぞって言いたくなるそんな役を見事演じていた。
発言一つでも声の張り詰め方で表現が変わるからムカつく事この上ない演技凄い。


そして最後はまとめて行こう。
辻本樹里と水口大和。
まあ、分かりやすい。
典型的なDQNカップル。
こちらは蜂谷、倉崎と違い、お互い示し合わせて参加した感じらしい。
どちらも殺したい人で参加。
水口大和はバイトに遅れるとなど言ってた通り、人を殺すことよりも怒られることを嫌がると言う人間。
荒事には割と慣れているのだと思われる。
辻本樹里も同様。
水口は瀬戸、鳴島、真城に対して、「辻本を殺したいから連れてきた」と言っていたが、おそらくその場で作り上げた嘘である。
なんとなく冗談半分で参加したのに殺さないと出れないから「面倒だし、近場で殺しやすいやつ選ぼう」って感じの場当たり的な感じで決めたのだろう。
このなんとも言えない知性の欠片もない対応は流石と言える。
ただ、辻本を面倒だと思っている部分に関しては事実なのだろう。

辻本と言う女は典型的な面倒な女である。
感情的で、直情的、更に口うるさいと来た。
その上、悲劇のヒロインのように自分のことしか見えていないというあまりにも救いようのないタイプ。
そりゃ面倒すぎて捨てられるわって誰もが思う様な女である。
我欲が強いので、自分の思い通りにならないと癇癪を起こして喚き散らす。
おそらく幼少の頃からそう言ってわがままを通して来たのだと思われる。
面倒と思われようが、自分の思い通りになれば良いのである。
あくまでも自分が中心で、それ以外は自分の都合のいい存在だと思っている。
ある意味縛られない自由な生き方である。
結果として色んな所で敵を作って、その度に強い男に縋って生きるという感じなのだろう。
なんだかんだ自分以外目に入っていないように見えて実は見えているので、相手の事を見て危険を察知して生きてると思われる。
野生の勘だとは思うが。
そうした存在である辻本は当然彼氏である水口にも面倒だと思われていたという事である。
水口自身は不良とは言え、なんだかんだ案外優しいのだろう。
人に頼られると断れないタイプで特に女には弱いと言う。

とは言え、ここはデスゲームの会場である。
そりゃ当然、自分が死ぬなら話は違う。
だからこそ場当たり的にこいつでいいやと思ったんだろうが、実際に殺される場面に遭遇するとそれはそれで良心の呵責が出てきてしまった。
見た目悪いようでもお人好しなのである。
結果自分が殺されて、辻本も殺されるというお粗末な結果を生んだのだ。
あの世で後悔して、そのあと武勇伝にしてそう()
辻本は多分生まれ変わっても「意味分かんないし」って言いながら思考することを避けてそう()

水口大和役の中嶋有志さん。
辻本樹里役のユキトさん。
どちらも素晴らしい演技だった。
辻本なんてその自己中心性がありありと声から伝わるし、水口はなんとなくお人好しな面が抜けない声で、比較的この作品で分かりやすい犠牲者の役だろう。
だが、なんだかんだ作品での盛り上げ役でもあるので、山場にはしっかりと盛り上げてもらわなければ行けない。
その因果応報を思わせる様で、その実このゲームの明確な「悪くない被害者」という面とのバランスはしっかりと捉えている感じだった。
ユキトさんとかもう頭の悪そうなギャルの演技ドンピシャで個人的に好き。

かなり語ったが、まとめていこう。
何となく見ていて分かると思うが、水口、辻本、瀬戸、倉崎、蜂谷は制作にあたっての本当にただの一般人枠と言うところなのだろう。
この作品、特に背反編では顕著だが、その辺りが明確に区分けされていて犠牲者の「一般人」と狼の「サイコパス」と言う図式がちゃんと成り立つのである。
すぎょい……。
サイコパスだけが集まって殺し合いをするわけではないのだ。
そう言う意味で背反編は「狼が餌を食べる話」のように感じたりするのだ。
恭順編だとその辺りが更に複雑になっており、誰が死んでもおかしくないという感じになるので、ある意味狼はゲームの外にいることになるのだ。
背反編は何についての背反か迷うところであるが、世間や人生、人、あるいはゲームそのもの、その他様々なものに対しての背反であると思うが、1番は鳴島が鳴島自身への背反であるように思う。
今までの自分への背反。

それが俺のこれまでの物語

そしてここからが新しい俺の物語

こう書いてある通り、この背反編では鳴島自身についての文となっている。
一般人に溶け込むことをやめて、そして新しいシリアルキラーとしての自分の物語への始まりなのだと。

そして、この分は続編である恭順編である、芹澤にも掛かっているのだ。

ここからは続編である恭順編について語っていこうと思う。
(背反編でサイコパスだったりなんか語りすぎてやばい文字数になってるからもっとサクッといきたい)
(本当にいけるかは知らない)


こちらは芹澤の独白から始まる。
タイトルがButterflyとなっている通り、鳴島のAntとはわけが違う。
飛び出して逃避することに対しての独白。
ただ、皮肉なのは飛び立てもせずに羽を毟られて地に落ちているのがなんとも言えない。
潰した方と潰された方、鳴島と芹澤のあからさまな対比なのである。

あれからゲームを管理する側に回った鳴島は上手くゲームを進化させた。
首輪も嘘だった所から本当に絞まるようになった。
より殺し合いを促進させるように人の絶望を感じられるように進化させたのだ。

この恭順編におけるサイコパスの枠は紫藤、法花だと思われる。
都築も割とサイコパシーな面がある気がするが、こちらはどちらかと言うとソシオパシーと呼ぶほうが正しいかも知れない。
恭順編ではゲームマスターがおそらく鳴島となり、その協力者に芹澤、都築、常盤木の3名が入った形となる。
結果的に全員死ぬことになったが、これは最早鳴島の想定通りと言うべきかもしれない。
結果として蟻は踏み潰されるのが良いのだから。


まずは芹澤から行こう。
元フィギュアの選手で怪我により引退を余儀なくされ、結果として飛び立てなくなった事により絶望。
おそらくそんな時に死にたがりとして参加。
結果として生き残り、ゲームマスターサイドの人間として働くようになる。
彼はフィギュアの選手として「使えない」ことに対して恐怖心を抱いている。
その為、自分を「使える」と言ってくれたゲームマスターに対して依存しているようだ。
だからゲームに参加して、「使える」事を証明し続けたいといったところだろう。
まるで犬のような存在である。
基本的に他者依存で成り立っているのだろう。
誰かに褒められることで努力できたから、当然「褒められない=駄目な奴」と言う図式なのだろう。
きっと普通に生きることに慣れたなら、まともに生きていけただろうと思う。
芹澤に関しては本当にただの可哀想な人である。
やっていることは最悪だが、彼に関しては食い潰される側という印象しかない。
髪の毛に関しても挫折した頃の自分とは違うと言う意味が籠もっているのかも知れない。

それが俺のこれまでの物語

そしてここからが新しい俺の物語

この文には鳴島としての一面があるが、同時に芹澤と言う人間が、方法は別にして挫折から立ち直ったという側面も含まれているのだろう。
お互いに全く違う面なのに同じ文で構成されて見る角度を変えると意味も変わるという仕様。
正直好き。

そんで芹澤悠生役の由比春都さん。
声質が元々幼い感じなので、この芹澤と言う役柄を演じる上でその不安定な子供のような二面性をしっかり演じていてよかった。
大人に見えてもなんだかんだ子供なのだという側面が抜けきらない子犬のような懇願もいい感じ。
ショタボ下さい。(失礼)


じゃあ次、洲上に行こう。
ロリコン教師。
いや、なんにしてもそりゃクビやろお前。
何を考えてるんだ。
インテリクソメガネ……と言いたいところだが、インテリではない。
ただの馬鹿である。
基本的にクソ真面目だが、時間に正確というかうるさいだけで、おおよそ高圧的以外は特に取り柄のない人間である。
直情的で、自分は間違っていないと言い張る所を見るに責任を追求することは好きだが、されるのは怒鳴って殴って済まそうという人間のクズ代表のような感じである。
サイコパシーな感じがするが、こいつはただ単に動物的な本能に忠実で、チンパンジー程度には知能があると言えばわかりやすいか。
自分は教師であるというだけで選ばれた存在だと言う若干の選民思想を感じる。
その背景にはロリコンであるところと色々結びついていそうである。
何にしても女性絡みで馬鹿にでもされて、元来の性格から自分が上だと思っていた所にカウンターでも食らって余計にロリータ趣味に走っている様に思う。
まあ、つまり気持ち悪いってことですね。
紫藤が言っていた通り、普遍的に気持ちが悪い。
自分では常識人だと思っているかも知れないが、1番常識外れな性格してる。
時間に厳しいのもそれが唯一自分が守れる常識なのかもしれないからあれだけ文句言うのかも知れない。
めちゃくちゃ書いちゃった!(テヘペロ)

洲上徹役は神崎智也さん。
イケボの使い方間違ってる……。
いや、だからこそロリコン教師というとんでもないゴミでもまともにゲームに参加出来るレベルに押し上げてると言っても過言ではない。
もう神崎さんじゃなかったら、序盤で殺してるわ()
そのぐらいにはこのキャラクターのバランスを担ってる気がする。
声優によって助けられるキャラクターって居るんだな……。


そんじゃお次は小吹美佐緒。
軽薄そうと言う印象だったけど、実際に声を聴いてみたら案外違っていた。
これは軽薄なんじゃない。
幸が薄いんだ。
彼女はおそらく酷く精神的に病んでいる。
何が理由か分からないが、少なくとも顔に関しては当たっている様に思う。
作中でも法花によって整形を言い当てられていてた。
元々顔にコンプレックスがあり、整形を繰り返したが、結局自分のギャップは埋まらずに苦悩したのかも知れない。
個人的な印象としては愛情不足のように思えるが、もしかしたら整形を繰り返したことで、顔の良さを褒められる度にそれが逆に隠さなければ行けない秘密になってしまい、余計に重しとして伸し掛かってしまったのかも知れない。
整形を誰にも打ち明けることが出来ず、それを言い当てられたがゆえに法花に対して唯一自分を分かってくれる存在だと認識したのだと思われる。
なんとも不憫な人だと思うが、なんだかんだコンプレックスは人の心を蝕んでいく。
本当なら打ち明けられる存在が友人だったり、親兄弟だったりするのだろうが、それも彼女にはいなかったのだろう。
人は1人では生きていけないのだと言う事を、分かっていてもどうにもならない人も居るのだと言う事だ。
ある意味、こんなところに来て自分の事を少しでも分かってくれる存在に出会えたことは良かったことなのかも知れない。
彼女の人生はきっと最後の最後にやはり法花によって救われたのだと思う。
殺した紫藤があまりに最低ではあるが。

小吹美佐緒役の開道結子さん。
幸薄い演技が非常に良かった。
最初イラストで印象を軽薄だと判断していた自分としては声を聴いた瞬間に「あ、これはキャラクターイメージ全く違う」ってなったので声って偉大だと思う。
彼女の不安そうな声は何となく印象に残るのだ。
私が少し小吹と言うキャラクターに同情しているところもあるとは思うが、そんな同情と言う感情を引き出してくれたこの声は素晴らしいものだと思う。


お次は紫藤寛人。
今回のゲームのサイコパス枠。
完全に頭のおかしい人。
人の死体を使ってなんか芸術作品でも作っているんだろうか。
美容師と言っていたが、スウィーニー・トッドか?
まあ、紫藤の場合は殺すことが目的と言うよりもその後が目的という方が正しいのかも知れない。
紫藤は完全なシリアルキラーだ。
しかも目的が殺すことではない。
どちらかと言うと戦利品の誇示。
人を殺して自分が優位に立ったという優位性の誇示だろう。
だからこそ殺すために手段を選ばないし、殺す際にはしっかりと殺すために演技もする。
鳴島とは違い殺し方などには興味がなく、あくまでも「勝った」という部分にフォーカスしているように思う。
過程は大事だが、別に結果殺せるなら必要のない部分なのだろう。
だから騙されやすい閨には分かりやすく甘く接していたのだと分かる。
美容師という仕事柄色んな人間と接する機会が多いので、その中で引っかかりそうな人間を選んで既に何度か殺していた可能性もあるだろう。
そのぐらいにはこのゲームに馴染みがある。
と言うか殺すことに対しての抵抗感がない。
このタイプもだが、幼少期の虐待などから歪んでいる可能性は高い。

紫藤寛人役の天合正太郎さん。
冷静そうに見えたり、優しそうに見えたり、あるいは狂気を露わにするなどおおよそバランスが崩壊しまくっているキャラクターではあるが、そこはやはり天合さん。
素晴らしい演技で全部乗り切っていて素晴らしい。
こういうバランスの崩れた情緒のおかしいキャラクターやらせたらピカイチ。
流石過ぎる。


お次は閨まりあ。
ですわよ系お嬢様。
17にしてこの「ですわよ」は貫禄のある「ですわよ」ですわ。
彼女は作中一、なんでここに来たのかわからないタイプ。
彼女なりに苦悩があったように思うが、どちらかと言うと家出してきましたと言われたほうがしっくりくる。
家で両親とのひと悶着があったのかも知れない。
そんな中で何となく見つけたこのゲームに面白半分で参加表明したら、本当に連絡が来て、無視すればいいのに多分持ち前の責任感みたいなもので参加してしまったのだろう。
生真面目と言うか、疑うことを知らないと言うか。
本当に裕福な家の生まれなのだろう。
常識の無さやそのチョロさから伺えるのはあまりにも純粋培養なヒヨコ同然の可愛らしさである。
到底生き残れるとは思えない。
まだまだ夢見がちな少女のままである。
彼女にとっての理想の王子様と言う幻想からは抜け出せていないのだろう。
それ故に騙されて殺されるわけだが、両親もその事が分かっているから言い聞かせようとして失敗した結果こうなったと考えると不憫でならない。
絶望を知らずに生きてきた世間知らずなお嬢様をこんな闇の中に放り込んだらそうなるに決まっていると。
順当に死んだと言えるだろう。
この作品は皆どこか捻れている訳だが、彼女だけは唯一正道を行くまともな人だと思う。
年齢的なものや家庭環境も大きいだろうが、彼女の名前が「まりあ」と言う通り、1番綺麗な人なのだと思う。

閨まりあ役の結崎有理さん。
ですわよ役完璧過ぎる……。
こういう役柄がよくお似合いになるので素晴らしい死に様だった。
死に役とお嬢様役は有理さんに任せておいたら大体うまくいく。
清楚が死んでるの好き。
解釈一致。

もっと死んで欲しい
(おいお前)

いつも好き。


お次は都築葉月。
丸眼鏡の三編みと言う昭和漫画スタイル。
ただ、おそらくこれはそう言う風にしてるだけで、普段はもっと現代人らしい感じなのだろう。
彼氏に借金を背負わされて絶望してここに来たという話だったが、思いの外生き残って借金を返すために参加しているということで、案外強かな面もある。
存外、このゲームに参加しなくても普通に返済していけたような気がしないでもない。
割と平気で人を殺すことが出来るので、サイコパスっぽくはあるが、狂気というよりも仕事という感じでこなしている様に思う。
他人の命よりも金と言ったところだろう。
割と諦めの早い所と裏切らなかった所を見るとなんだかんだ芹澤に対して仲間意識と同情をしていた様に見える。
自分のやっていることが悪いことであるという罪の意識もちゃんとあったのだろう。
それ故に駄目だと分かった段階で早々に切り替えて死を選んだのだと思うが、この豪胆な性格はゲームに参加したから出来たと言うよりも元来の性格な気がしている。
やはりなんだかんだ強い女性であったと思う。
この女を騙した男あまりに策士過ぎる……。
ベテラン詐欺師と付き合っていたのか?

都築葉月役の雪城あゆむさん。
なんとなくイラストのイメージで、倉崎茉莉タイプかと勘違いしていたが全くそんなことはなく、ほわほわした天然系の可愛いお姉さん声で驚いた。
最初から最後まで調子の変わらない役ではあったが、あんなに周りがぶっ壊れ演技をしている中で1人だけ変わらずの調子の演技は中々難しかったのでは無いだろうか。
それが余計にこの作品での異様さを際立たせていて非常に良かった。


次は春日井礼子。
見た目の印象は派手。
どうにも「何らかの女優」をやっているらしい。
あと地方出身だからか方言が出ていた。
昔の芹澤について知っており、「推し」という言葉を出してくるので見た目とのギャップがすごかった。
この人自身はどういった理由での参加なのかは分からないが、少なくとも非常に一般人らしい一般人であった。
オタクらしさもあったが、適度に擦れていて、適度に真面目で、なんだかんだ普通の人といった印象。
仕事について思い悩んでいたように見える。
芹澤への迫り様など存外元気で、なんだかんだ生き残る方法を自分なりに模索していたのだろう。
とは言え、失敗に終わったが。
ぶっちゃけ洲上入れなくても良かったのにね。
それが彼女の限界というか、仲間は多いほうが良いって言う発想だったのだろう。

春日井礼子役の音枝優日さん。
見た目派手な女性の役がよくお似合いになるお声なので超ぴったりだった。
しかも少しオタクな一面を見せるので、その辺りのギャップの良さなどもお上手だった。
これだけ書くとなんか派手な女性のキャラクターイメージが付きがちだが、いたちゆーとさんのASMR動画などのお声を聴くとまた違った印象を与えてくれるのでおすすめ。
方言はどこの地方のだろう?詳しくないけど音枝さんがピッタリだった感じだと音枝さんの出身地なのかもしれない。


次は法花歩夢。
死は救済だ()
くっそ見た目が派手な自称教祖。
死を救済だと言う厨二病。
ただ、法花はなんだかんだ人を見る観察眼が鋭い。
人の急所を的確に突いて、相手の心を掴むことに慣れているんだろう。
小吹のようなタイプはまんまと引っ掛かる。
詐欺師は色んな所に馬鹿らしい尊大なビラやメールを配って粉をかけるが、普通は引っ掛かるわけがないと無視される。
だが、詐欺師の目的はそんな人間には無く、そんな馬鹿なものでも真面目に受け取ってしまうやつを目的にしているのであると聞いたことがある。
法花はそう言った馬鹿を見抜く観察眼があるのだと思う。
あるいは嗅覚と言えばいいか。
少なくとも自分の事を馬鹿にせずに真に受けるやつの炙り出しには成功している。
あっけなく終わってしまったが、元々頭の回転が早いタイプなのだろう。
それに話術もある。
あながち教祖というのも間違いではないのだろう。
彼に誤算があったとするならこのゲームに参加したことだろうか。
こんな所に居るよりももっとまともに簡単に人を殺せただろうに。

法花歩夢役のほよくぬさん。
お歌で知った方なので演技は初めて聴くのだけれど、歩夢の見透かしたような演技と演説は大変良かった。
このキャラクターは頭が良くなければ行けないのだが、同時に序盤では他のキャラクターには頭が悪いように見えなければ行けない。
周りに馬鹿だと思わせつつもその実、頭のいい役と言う演技をする普通に難しいと思う。


やっと最後まで来た。
常盤木真吾。
The・かませ。
圧倒的なモブキャラ。
絶対死ぬのが分かってる人。
見た目の印象で「死ぬだろこいつ」と思わせながら声を聴いたら「絶対死ぬじゃん」って確信に変わるあまりにも珍しいキャラクター。
とは言え、なんだかんだ首輪の設計をしたりと頭がいいのだと思う。
しかし、拗らせたコンプレックスと偏った知識故に特化型の優秀な人間で全くもって扱いに困る存在である。
ぶっちゃけこいつ使い捨て前提だっただろって思うレベル。
何故か生き残ると思い込んでいたり、自分は選ばれた人間だという選民思想の偏りが激しい。
どこまで行ってもその拗れたコンプレックスをどうにかしないと切り捨てられる側だぞと誰か教えてやってくれ。
あ、死んでたわ。
と、なってしまうあまりにもあまり過ぎて若干不憫な人であるが、ゲームを加速させたところだけは褒められていいと思う。
後は首輪の設計もか。
凄い。
でもまあ、もういらないよねって思われてたんだろうなぁ……。

常盤木真吾役のらっど。さん
めっちゃ合ってたの凄い。
モブキャラじゃんって思わせるのにこんなにキャラ立ちした演技出来るのマジで凄い。
あと狂乱してたり、まりあを刺した時も自分に言い聞かせたりしてるところが迫真だった。
ああ、こういう奴居るよなぁって思ってしまうレベルでしっかりと常盤木演じられてた。


というわけで、ここまで来たよ。
全キャラクターの考察というかなんかそんな感じでくっそ長々と書いてしまった。
書きすぎだわ。

いやぁ、それにしてもデスゲームって最高ですねぇ……。
こう言ったデスゲームってなんか知らないけど集められて、状況的に嘘でしょって言うような条件で生き残りを強いられるんだけど、例に漏れずこちらのゲームも脱出するための条件が厳しい。
んで、こういうのって自分から応募、あるいは拉致、その他何でも良いんだけど、実際に直面すると状況的に冗談だと思って皆最初は静観する。
そうなると折角のデスゲームなのにゲームが始まらない。
これは当たり前にある人間の社会性が生んだ心理だとは思うんだけど、ここでその箍を外す良い演出になるのが「本当に死ぬかもしれない」って状況を作り出すこと。
この背反編の作中で言えば、東律華の首が絞まること。
この首輪は一度つけたら外れず、何かあれば自動的に首が絞まると言うシステムになっていると言っても、前述の通り冗談だと思ってしまう。
そこで実際に首が絞まってる所を見せると皆不思議と今の状況が非日常であると自覚し始める。
人によって差異はあるが、大体目の前で実際に首が絞まるのを見たら現実を受け入れざるを得ない。
こういう場合、大きく箍が外れるのは社会規範やルールと言ったものを厳格に遵守してしまいがちな人間で、作中で言うと瀬戸や洲上が見かけ上は分かりやすいだろうか。
逆に現実逃避ばかり続けていたような倉崎は逃げ込む方法を知っているので箍が外れにくい。

こうした心理状況を上手く作り出して加速させるんだけど、それを更に恭順編では進化させてもっとスピード感を出したんだろうね。
最初からトップスピードで人殺しが始まるように。
鳴島の殺しに対する執着凄い…。
あと、多分これ臓器売買とかに手を出してるよね。
このゲームはビジネス化してる気がする……。

とまあ、こんな感じで作品の感想を長々書いたけど、予想はどうだったでしょうね。


私は真城黒幕の佐古生き残り、後は死ぬって予想だったんだけど、黒幕だけ正解してた感じですね。
単純な予想とメタでほとんど死ぬと思ってました。
まずこのゲームは時系列的に背反編、恭順編の流れになっている。
という事は、背反編で生き残った誰かが恭順編に現れる可能性があると言う事。
それが今回は鳴島だった訳だけど。
そしてこう言ったデスゲームで私が印象に残っているのは映画の「バトルロワイヤル」とゲームの「シークレットゲーム」。
見たこと無い人いたら申し訳ないんだけども、バトルロワイヤルでは1で生き残ったやつが2で出てきます。
反乱軍として。
そしてシークレットゲームでも同じ。
ただ、シークレットゲームは時系列では2→1なので、1の最後に出てきた反乱軍が2での生き残ったメンバーということになる。
そしてこのゲームでもそうなるんじゃないかと予想したんです。
首輪が進化しているのを見るとおそらく時系列に狂いはないので、背反編の人間の誰かが現れそうだと言う感じで。
そこから反乱分子として現れそうな人間とした時に目についたのが、佐古健太郎だったという訳ですね。
だからゲームの最後の最後にこのゲームを終わらせるために現れるのではないかと。
ただ、そこはiDearoom。
間に合わずに全員死にそうだなって思ったので恭順編は全員死ぬ予想でした。
ここは当たりかな。
そして、この生死予想。
シークレットゲームでもPS2版ではBETシステムとして存在していたんです。
生き残りそうな人間にお金をかける。
いわゆる富裕層の娯楽と言う感じで。
で、結果的に1ルート目は主人公以外全員死にました。
だから間違いなく、生き残っているのはほとんどいないんじゃないかと言う予想の確信にもなってました。

あと、真城黒幕に関してですが、背反編の中に黒幕がいるというのは恭順編では裏に引きこもってる可能性を考えたんです。
私の予想では背反編の生き残りが黒幕の所に来ると言うシナリオだったんですが、背反編に居ないのに恭順編でゲームに参加してるとは考えにくい。
なら黒幕が居るのは背反編で、そのあとゲームマスターとして地下に潜るのでは?って予想をしていたからです。
そこで、背反編で生き残りそうな人間以外で怪しいやつと言えば、蜂谷絢子か真城充だったんですね。
この二人以外は見た目の印象が強いんです。
陰キャっぽい瀬戸やDQNっぽい水口、辻本、メンヘラっぽい倉崎とあからさまな東。
鳴島を除いたら全員キャラが濃いんです。
だから可能性を考えるなら佐古、鳴島、蜂谷、真城の4人から。
佐古は生き残り予想なので除外して、残り3人。
ここからは更に勘です。
このキャラクター一覧を見た時に1人だけあからさまに振り返っているような奴が居たんです。
それが真城。
ほかは正面か横向きなのに1人だけ顔を横に向けて振り返っているような仕草に見えたんです。
除外した恭順編の小吹なんかもそうなんですが、恭順編は生き残らない予想だったので結果真城ということになった感じです。

私はそう言うメタ読みをして何となくで予想してた感じでした。


と言う訳で、感想に関しては終わりたいと思います。
非常に面白い作品でした。
4時間半と言う時間があっという間に過ぎ去るほど面白いものは中々無いと思いますね。

感想死ぬほど長い……。
馬鹿なんじゃねぇかな……。
感想といっていいのかこれ……。

終わり


iDearoomのBOOTHはここ

今回の作品「メリー・デッドエンドゲーム」はここで

M3参加される人ならDL版でM3参加時にパケプレゼントってやつを買うとお得だったりするぞ。
まあ、これ読んだ人は間違いなく聴いてるから意味ないんだけども()

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