asearoute「白雲病の住処」SS感想(ネタバレ)

※この感想は「白雲病の住処」本編は勿論、SSも通過済を強く推奨します。

下記のリンク先で白雲病の住処SSについて書いているので、しっかり読んだ上でお願いします。

現在は限定公開ですが、いずれフリー公開になる予定みたいなので、待つ人はもうちょっと待ってもろて。


と、言う訳でね。

今現在午前3時半。

白雲病のSSが公開されて、読みたかったからと言って今読んでしまって、「今読まなくてもいいじゃんアホだなぁ」と思いながら感想になる。

今回のSSは本編を聴いていなければ何にも分からんのでネタバレで良いのか怪しいところはあるんだけども、これはハルシとサイカの二人がまだ白雲病の都市伝説を聴く前のお話。

「和服の女が現れて自分の子供を探している」

そんなありきたりな都市伝説。
でも、それは本編を聴けばすぐに分かる答え。
正直この時点で胸が詰まる思いだった。

「ありきたりな都市伝説の裏には悲しい物語がある」

そう考えると、今現存する都市伝説にもそう言った裏があるんじゃないかって勘繰ってしまう程に。

二人の少年がそんな都市伝説に思いを馳せていたからか、にわか雨に降られる。
そして現れる件の都市伝説。
シュウとシグレを探しているのだ。

「そうねえ。どこに行っちゃったのかしら、シュウ……シグレ……大事な大事な私の子……夕飯いっぱい作ったのに……」

次に来たこのセリフで更にやられてしまった。
心が痛い。
結局誰も知らないのだ。
白雲村の事も、白雲病の事も、シュウとシグレの事も。
だからこそ胸が痛む。
母の思いの強さが分かってしまうから。
私は事情を知っているから。
だから余計に辛いなぁって思ってしまった。

深夜って感情が乱高下して感傷的になるから怖い()

そして消えていく母親。
最後には話しかけた二人にも優しく声を掛けて消えていくのだ。
その言葉の重さと優しさと辛さと全てが分かってしまうから更に辛くなる。

母は雨とともに現れて、雨とともに消えていく。
雨はあちらとこちらの境界線をいつも曖昧にする。
彼ら彼女らに逢うのは決まって境界線が曖昧な時だ。
本来、人間なら肉体という鎧で感情を覆い隠せるのに、あちらの者はいつも肉体がないためか感情を良くも悪くも剥き出しで現れる。
それが余計に心に刺さるのだ。
正直な感情を叩きつけられている気分になるし、事実その通りなのだろうと思う。

そうして弱まった雨に紛れてバスは現れる。
ちょっとした時間の魔法。
恐怖と哀愁の漂う歪んだ時間。
そんな中で、知らない言い伝えと新しい都市伝説が産まれるのを待つのだ。

驟雨に紛れながら。


やっべクソ恥ずかしい気がするのに今は全く恥ずかしくねぇ!(午前3時半)
色々格好つけた文章になったけど、おおよそ言いたいことが分かるだろう。
須藤さんの書く文章は、作る作品は、いつも切なくて綺麗だから好き。
短い中にもたっぷりと詰まったSSで本当に好き。
こう言うの大好きなんだよなぁって思いながら胸が締め付けられる思いで読んでしまった。
ずるい。須藤さんはずるいから今度なんか私にお返しして!(お前またそう言うこと)

そうそう。
私らしく一点だけ。
金魚の言い伝え。
「金魚が村を滅ぼす」ってのは間違ってないなら、金魚が発症する「白点病」に「白雲病」をなぞらえて伝わったんじゃないかなって思う。
「野生の金魚は居ない」=「金魚が居るという事はそれだけおかしい事」
「金魚は白い斑点が身体に現れると病気」=「白い斑点が現れた人間も病気」=「白雲病」という感じの図式で。
昔の人はその「白い斑点が現れる人間(白雲病)」ってのを「白い斑点が現れた金魚」という形で言い伝えたんじゃないかなって。
「人間」と言い切っては村でパニックを起こしかねないから。
パニックを起こしたら村は滅ぶから。
だから直接「人間」とは呼ばずに「金魚」って呼んだんじゃないかなって。
それも「上流から流れてくる(病気を外から持ち込む)金魚」って事で。

そんな感じで思った午前4時でした(白目)。


a sea routeさんの作品は他にも素晴らしいのでこちらで

今回の作品の本編はこちら

夜更しはアカン()


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