a sea route 2021年春の新譜「フローズン・コレクト~冷凍少女~」感想

お久しぶりの感想投稿。
あまりに聴いて無さ過ぎてM3が2回分溜まってるとかいう異常事態。
ボイドラ面白いから聴きたいが、聴くタイミングというか聴いてから感想の流れが億劫みたいな所もあったりする(正直者)。

という訳で、今回は21年「春」M3で出たフローズン・コレクトの感想書いていこうと思います。

これは続編に当たる物語なので、可能であれば前作の冷凍少年から聴いて欲しい所。
時系列的にも前作の冷凍少年の後になるので。
とりあえず美少年は心の栄養になるのでサクッと摂取するのが望ましい(?)

とりあえず公式と販売してるBOOTHのリンクね。
って思ったけど、冷凍少年が無い……。
スマン……もっとさっさと聴いていれば……。
また、何かの拍子に復活したりする可能性があるあるなので、もしその時が来たら買ってみるよろし。

という訳で、ここからネタバレなのでご注意下さい。



英国によく似た都市郊外に、二軒の建物がある。一つは「プレズア館」、一つは「リジュア館」という名の孤児院であり、リジュア館には少女のみがいる。
リジュア館にいる最年長でリーダー格のリナは、バニラからしばらくリジュア館を取り仕切ってほしいと頼まれる。
理由は、プレズア館に警察が行方不明男児の捜索に来たからだということが判明。そんな時に聞いてしまう、バニラとデュイムの会話。

生粋のお嬢様ながら復讐にもえるアンジー、
盗みが得意で陽気なローラ、
読書好きで記憶力がいいイオ、
バニラを母と慕う浮いた存在のガブリエラ。

リナは彼女たちと共に、“ある秘密”を明らかにしようとする。

これは、“ある人の”人生を、生命を、冷凍し冷凍される者の物語。

――私は、私がやるべきことをやるだけ。

「行方不明男児の捜索」がアイルたちを指すのであれば、前作の冷凍少年から少しだけ時間が経っている。
物語の舞台はリジュア館。
文字通り、少女たちの物語。

主人公であるリナたちは、最初全く何も知らない状態から始まる。
ある程度は疑いがあるにせよ、当初は本当に何も知らなかったんだろうと思われる。

リナはバニラさんから「自由」と引き換えにリジュア館を仕切ってほしいと言われる。
この時点で既に怪しんでたリナの洞察力は凄い。
まあ、バニラさんが既に挙動不審だった感は否めないが。

少年たちの行方不明が取り沙汰される様になり、世間も警察もマスコミもおそらく様々な所で憶測が飛び交い、様々な所で怪しまれていただろうと思われるが、バニラさん自身かなり擦り切れた状態だったんだろう。
だから自由と引き換えに全てを終わらせることに目を向けていた。
もちろん、自分が死ぬことも含めて。
バニラさんは人を食べると言う食人行為は癖の延長線上にあると言った。
何かを噛む癖がそのまま人の骨を噛む行為に至るまでの道のりは中々どうして拗れてる様に思う。
人にはそれぞれ癖がある。
唇を噛む癖、爪を噛む癖、とりあえず口に入れると言う行為は赤ん坊の頃から続いている癖だ。
親の愛情不足と言う所は定かでは無いが、なんにしても大人になっても尚噛み癖が収まらない人は何らかの愛情不足であったり、ストレスが負荷があったりして、その不足した部分を発散するため誤魔化すために行われる。
バニラさんもそうなんだろう。
その結果、子供が死んだという事実にストレスがピークに達して、まともではない思考がそのまま外に現れたのかもしれない。
元々、あまりストレスに耐性が無いのは見て取れるので、仕方ないのかもしれない。
あまりに褒められた行為では無いが、彼女の心情を鑑みるにその時点よりも前には既に正常な判断が出来なかったんだろう。
仕事の疲れか、それよりも他の理由か、何かまでは死んでしまったので分からないが。
孤児には様々な問題を抱えた子供が多い。
ネグレクトなどありきたりなものから、身体的、精神的な障害抱えた子供、児童養護施設などに送られる子供は正直まともな子供は居ない。
劣悪な家庭環境、望まれていない子供、そんなありきたりながらも醜悪な人間の親たちによって育てられていたのだから。
これに対して、失礼だなどと言う輩も居るだろうが、そんなやつは現実が見えていない。
こんなにまともなのになんて口が裂けても言えないだろうし、それが言えるやつは外から見ていたか、近くにいるのに人の心が分からないか、まともに見てないかのどれかだ。
なので、バニラさんの心の弱さでは孤児院で働くこと自体避けるべきだったと言う他ないだろう。
その程度にはストレスが大きい仕事だと思う。
なので、本当に「自由」を手に入れてよかったなと思ってしまう。
この世はバニラさんみたいな人にとっては生きづらすぎる。
その良心の呵責も孤児に対する愛情も、色々なものを含めて凄く人間らしく生きた人だったと思う。
冷凍少年の時の感想にバニラさんを人間だとアイルは捉えていたみたいな所が歌詞にあったと書いてたけど、それはその通り本当にアイルが正しかったんだなと改めて思った。

バニラさんから任されたリナは最初ちょっと周りとは浮いて大人びているような印象があったが、その通り彼女は間違いなく浮いていた。
最年長云々ではなくて、人を殺すことに抵抗がない。
手段として正確に人殺しを選べる。
殺し屋の娘は伊達じゃない。
その洞察力も図抜けていて、いつも冷静に修羅場をくぐり抜ける事が出来る。
アンクさんとやりあっても普通に殺してしまえるだろう事は良くわかった。
自分の身体についての理解と、相手を罠に嵌めるために準備を欠かさない。
そんな盤面を揃えて迎え撃つことが出来るリナにとってはどんな状況でも容易いんだろう。
そんな余裕がある少女。
デュイムさんが釈放されることも織り込み済みで毒を送りつける女なんてそりゃ警戒するに決まってる。
デュイムさんの「綺麗な物」の枠には絶対に入らないのは間違いない。
ある意味デュイムさんの勘の良さを褒めるべきかもしれない()
ジャケットの小瓶はおそらく毒だろう。
冷凍(死)へと向かうアイルとは違い、余裕のある表情とその手の毒は未来を切り開く自信と自らそれが行えると言う自負があってこそなんだろう。
そういう意味で、この生と死の対比になっているジャケットは非常に良い。
しかもアイルには冷凍用のカプセル近くにあり、リナの後ろには友人が居る。
ここも対比になっているね。
おそらくカプセルにはアイル以外の友人も入ってて、アイルもそこに入る未来を閉ざされた世界。
リナの後ろには友人たちがちゃんと生きている皆で未来を開く世界。
アイルたちはかわいそうだけど、これで報われたと思うと良かったのかもしれない。

メインテーマの曲も良い。
今回は「テラリウムの外側」というタイトルだが、前作が「滲んだ景色」だ。
涙で濡れた景色故に滲んでいるのか、カプセルの中に閉ざされるから滲むのか、そしてそのガラスケースの外側へと向かう少女たちとの対比も非常に良い。
良く出来てる。

女はやはり強い。
というか、リジュア館の少女たち優秀過ぎる。
どうなっとるんや……。

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