見出し画像

対馬にコミュニティナース着任


ライター:佐藤雄二

《地域住民が支えあう医療や介護を目指して 対馬市島おこし協働隊コミュニティナース着任》
 東京23区よりも大きい面積を有し、高齢化率が昨年度末で35.5%、地区によっては50%を超えるところもある対馬市では、市民が可能な限り住み慣れた家や地域で自分らしい暮らしが全うできるよう、地域包括ケアシステムの構築を重点施策のひとつに掲げている。
 この施策を推進するため、健康寿命を延ばす普及啓発活動や、在宅医療負担軽減につながる支援などを目的に、医療や福祉の視点から地域における活動や住民の支援に取り組むコミュニティナースを対馬市島おこし協働隊として2名公募しているところ、1名採用が決まり1日着任した。
 着任したのは、神奈川県相模原市出身の野田真未(の・だ・ま・み)さん(28)で、野田さんは4年間相模原赤十字病院で勤務後、へき地・離島医療研修で平成29年に長崎県対馬病院で勤務したほか、カンボジアで手術室看護師としても活躍した経歴を持つ。カンボジアでは言葉が分からず、患者さんがどういう症状を持っているのかが分からず戸惑ったが、そこで自分が病気しか見ていなかったと感じ、少し覚えた言葉とともに表情や身体の観察を通してその人自身を見ていくことにより、何がつらいのかが分かっていったということを経験した。対馬でもその人自身を診る看護を住民に展開していきたいと話す。
 島おこし協働隊としては、地域に足を運び、地域行事や健康相談などに携わりながら住民の医療に対する関心や知識を高めることや、住民と医療や介護などの専門職との隙間を埋める役割が期待されている。また、今後訪問看護に携わりながら、そこでの活動や経験を中学生や高校生など色々な方に話し知ってもらうことによって、対馬の医療人材を確保する取り組みを支援する予定だ。任期は最長で2021年3月末まで。
 野田さんは着任式の場で「(整形外科の)看護師として活動していく中で、手術をしリハビリをしてようやく家に帰れるとなった時に、患者さんから家に帰るのが不安、家に帰っても誰もいないといった言葉が聞かれ、看護師として働くだけでなく、地域から住民を支えられる存在になりたいと思った。美しい海や歴史、島ならではの助け合いの精神など当たり前のことが強みだということを対馬の方にぜひ知ってもらいたい。」と抱負を語った。
 地域包括ケアシステムの構築を推進している桑原直行対馬市医療統括官は「野田さんが着任したことで、地域の人たちを動かす原動力が加わる。住民側に立って、われわれ専門職、行政とうまくつなげてほしい。」と話した。
 今年度においては、引き続きもう1名公募を行っている。募集要項は市のホームページにて掲載(http://www.city.tsushima.nagasaki.jp/web/tsushimanews/post_1948.html)。

【補足】
●面積の比較
 対馬市の面積 約709㎢
 東京23区 約619㎢
●対馬市の高齢化率
 平成30年3月31日現在 35.5%(人口:31,054人)
●対馬病院とカンボジアの勤務について
 NPO法人ジャパンハートによる研修プログラムで、半年間対馬病院、半年間がカンボジアで研修を行ったとのことでした。
http://www.japanheart.org/join/medical_experts/nurse_long/
●対馬市島おこし協働隊の活動期間
 委嘱期間は年度末までで、最長で3年度です。
●野田さんの所属
 対馬市健康づくり推進部地域包括ケア推進課(厳原庁舎)
●問い合わせ先
 0920-53-6111(対馬市役所厳原庁舎の代表番号)
 ※しまの力創生課、地域包括ケア推進課(医療介護連携室含む)とも同じ番号です。
 ※協働隊の応募に関する問い合わせは、メール、FAXのみで受け付けとのことです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?