津島修嗣

オカルトパンクな小説を書いたりします。 ジャンルは多岐に渡る。 よろしくいただければ幸…

津島修嗣

オカルトパンクな小説を書いたりします。 ジャンルは多岐に渡る。 よろしくいただければ幸いです。

最近の記事

黒犬No.06

 黄昏と夜とを別つように、丸みを帯びた有機体が西の空へ堕ちてゆく。  対龍迎撃専用飛空挺。  その格納庫に並んだ九つのケージから〈猟犬〉と呼ばれる対龍種強化型外骨格に身を包んだ一団が宙に放たれる。  エイリアンさながらのつるりとして鏡面めいた黒い頭部、棘の生えた獰猛な四肢。そして咒詛防御仕様の刻印済甲冑が全身を覆っている。    視界は良好、ノイズも許容範囲。  僕らは速やかに〈灰の坩堝〉を降下して此度の厄災の震源地ーー虚龍の巣へと近づいていく。  僕らに名前はないが識別

    • ストロボライト

       荒野。排気で黒々と濁った空の下、カーラジオがレース開始のニュースを告げる。 『さて、紳士淑女の皆様。今日最後のレースはジミーナ村落vsサン・モン市街区! 番狂わせの大物喰いがみられるか、要チェックだ!』  雷鳴が轟き、雨が近いことを告げている。といっても一級市民以上の客は安全なテラスからレースを眺めるだけで、天候など関係がない。  一方、都市最下層ではレース前の最終調整が行われていた。 「おめーらみたいなクソ集落がおれらの街と勝負たぁいい度胸じゃねぇか!」 「うる