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劇団5454(ランドリー)がやってくる。

代表の弦巻啓太です。

劇団5454を札幌に呼びたい。札幌の演劇ファンや演劇人に観てもらいたい。そう思ったのは数年前になる。

劇団5454の舞台で初めて観たのは『溢れる』と言う演目だった。
映像で拝見したのだが、そのポップな出立ち、技術のある出演者たちの揃い方、キャッチーな導入から、東京の演劇でよく見る「とりあえず商業的に整えられた」舞台の一種かな、と警戒心が働いた。正直に言えば。

違った。

全然違った。

もちろん、よく整えられていたし、演出の上手さ・丁寧さは観ていて時間をきれいに忘れさせてくれたし、出演者の技術はものすごく高かった。一言で言えば、完成度が高かった。誰に見せても楽しんでもらえるようなエンターテイメントだった。

でもそれだけじゃなかった。

むしろその完成度の高さでなかなか気づきにくくはなっているが、内側には紛れもない真摯な想いと、人間(登場人物)への温かい目線があった。


12/1〜2『宿りして』劇団5454が初の北海道公演!


完成度が高く、脚本の物語も変化球を巧みに織り混ぜものすごく面白い。見所はいっぱいある。でもこの劇団が一番観てもらおうとしているのは、人間に他ならない。演劇で人間や取り巻く社会を描き、観客と結びつこうとしている。

一番驚いたのが登場人物の一人の若い男性が、自宅で同居する妹とたわいない話をしながらお酒を呑むシーンだ。

びっくりした。

ちゃんと兄妹に見えた。

余計な説明は一切ない。兄と妹であることを観客に説明するような家庭のエピソードや過去などは一切出てこない。でもその時点で、ちゃんと兄妹に見えた。ほぼ、いるだけで。

何がすごいの?と思うだろうか。
すごいんですよ。
ちゃんと兄妹に見えるって言うことは、

同棲する恋人には見えない、

ってことなのだ。

当たり前のように思うだろうか?
演劇人ならこの難しさに気づいてもらえるだろうか。
とにかく、自分はそこで衝撃を受けた。
人間が、人物がちゃんとそこにいた。この劇団は、完成度の高い商品を届けようとしているのではない。そこに生きる人間の姿を届けようとしている。


12/1〜2『宿りして』劇団5454が初の北海道公演!


人間で物語を描く。
その真摯なスタート地点と、豊かな作品として辿り着いてるゴールに感動した。
この劇団を札幌に呼びたい。そう思った。

その後、『ト音』や『嫌い』といった作品を見て、ますますその確信を深くした。
物語はトリッキーな着想や、アクロバティックな展開を見せても、フォーカスは常にそこにいる登場人物に、人間にあった。
そして今年の3月、若手演出家コンクール最終審査で劇団5454が上演した『宿りして』は、その集大成ともいうべき、純度の高い舞台だった。交流会で知り合ったのをいいことに「秋の大文化祭!」 への参加をオファーした。

現在YouTubeの劇団5454のチャンネルで過去の公演のダイジェストや、予告編を見ることができる。

どの映像もとても洗練されていて、
彼らの創作物へのこだわりが感じられる。
舞台映像もとても魅力的だ。

でも。

実際の舞台を観た特権を握りしめ(今風に言えばマウントをとって、え?もう今じゃない?え、嘘、じゃあ何が今?)声を大にして言うが、劇場で体感する劇団5454はもっともっともーーーっとすごいのだ。

何がすごいのか。

それはここまで述べたような諸要素の魅力が詰まっているが、
そんなこと(観てる間は)一度も頭をもたげないくらい面白い、と言うことだ。


12/1〜2『宿りして』劇団5454が初の北海道公演!


観ている間、舞台に引き込まれ、登場人物に感情移入し時間を忘れて観てしまう。エンターテイメントとして充実してる、そんな劇団なのだ。

劇場で演劇を見る楽しさが溢れている劇団です。
面白いことは保証します。
そしてもし、演劇を通して人間や人の営みに触れたいと思っているなら、間違いない舞台だと断言します。
この貴重な機会にぜひ劇団5454を劇場で体験してください!!


劇団5454の作・演出、春陽漁介さん
劇団5454の皆さん


公演情報

劇団5454『宿りして』

所詮、私の授業なんて、仮眠時間としか思われていない。
古典教師の小野は、自分の仕事に自信も情熱もやりがいも持てずに、淡々と授業の時間をこなすだけの日々。ある時、そんな小野に異変が訪れる。
仕事も私生活も全てが楽しい。それからと言うもの、世界が変わったように見える。
「宿りして 春の山辺の寝たる夜は 夢のうちにも花ぞ散りける」
美しい光景の余韻が続く、夢のような現の生活。
紀貫之の幻想的な歌を題した劇団5454の隠れた名作。

劇団5454とは
「5454」と書いて「ランドリー」
脚本家、演出家の春陽漁介を主宰として、2012年4月旗揚げ。『青空の下になびいている真っ白いTシャツのように、日々当たり前に見えている風景をリフレッシュさせたい。日常の汚れた気分を“ゴシゴシ(5454)と洗い流したい”』というのが劇団名の由来。作風は、人間の心理的な部分から作られるヒューマンコメディー。
全ての作品にオリジナル楽曲を起用をし、台詞とメロディーが融合した、ポエトリーリーディングが作品の価値を高めている。また、舞台美術は、抽象的でシンプルな作品が多く、照明の演出により映画さながらの展開スピードが強み。
現在は、劇団員7名で活動中。

脚本・演出 春陽漁介(劇団5454)
音楽 Shinichiro Ozawa

出演
榊木並、森島縁、窪田道聡、及川詩乃(以上、劇団5454)
岸田百波、高品雄基

日時
12月1日(金) 19:00
12月2日(土) 11:00
※開場は開演の30分前。
※上演時間約75分。

会場
生活支援型文化施設コンカリーニョ
札幌市西区八軒1条西1丁目2-10 ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結)
TEL:011-615-4859
Googleマップを開く

スタッフ
マネージャー:堀萌々子(劇団5454)
協力:さっぽろアートステージ2023実行委員会、札幌劇場連絡会(TGR札幌劇場祭2023 大賞エントリー作品)
宣伝美術:横山真理乃(劇団5454)
主催:一般社団法人劇団弦巻楽団
後援:札幌市、札幌市教育委員会

劇団5454『宿りして』のほかにも、至極の作品が目白押し。「秋の大文化祭!2023」をぜひお楽しみください!

お問い合わせ
一般社団法人劇団弦巻楽団
メール:tsurumakigakudan@yahoo.co.jp

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