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5機目:「一歩踏み出せば昨日と違う自分になれる」

「一歩踏み出せば昨日と違う自分になれる!」(ジョン・クランボルツ/ライアン・バビノー 日本文芸社)
「クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方」(海老原嗣生 星海社新書)

「キャリア」というか、「キャリア教育」そのものを考えるきっかけとなったのは、スタンフォード大学、ジョン・クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」(いわゆるキャリアドリフト)でした。

いま、学校で行われている「キャリア教育」は「キャリアデザイン」という考え方に基づいて行われています。端的に言えば、目標設定・達成型キャリア形成です。

なりたい職業(仕事)を決め、そこに向かって逆算していま何をするべきか。そうやって積み重ねていけば、自分に合っている仕事にたどりつく、というものです。

「キャリアデザイン」は目標を決め、達成していくというキャリアプロセスを踏んでいきます。この理論が機能するには、前提条件が必要であると思います。

1 最終目標に設定した仕事がずっと無くならない。
2 キャリアは「積み重ね」られていく。
3 効率化・合理性が機能する。

いま、何のために、これをやっているのか?を問い続け、あらたに目標を再設定しなおす。そんなことが必要です。

世間的な例でいけば、プロスポーツ選手のように、幼いころから、そのスポーツ一筋で世界を目指して訓練するというのがそれに当てはまります。

一方でスティーブジョブズが言っているように、

「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」

というような考え方が、クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」、いわゆる「キャリアドリフト」と呼ばれます。

ここで浮かぶ不安は、「キャリアドリフト」では、後からつながるかもしれないけど、本当につながっているのか?と不安になることです。

僕は、キャリアドリフトのゴールは、「お客に出会うこと」だと思っています。ゴールといっても達成ではないのですが。

仕事の本質は、顧客を幸せにすることです。

その顧客とは誰か?
自分にとっての顧客とは誰なのか?
考えることです。

そのためには数多くの「顧客候補者」に出会うことです。あるいはそれは、過去の自分自身なのかもしれません。

もしかしたら、医者になりたいと志した少年は幼いころ病弱で、優しいお医者さんに救われたかもしれない。

もしかしたらいま国連で働いているお兄さんは、幼いころテレビで見た紛争地域の子どもたちの映像に、強く心を痛めたのかもしれない。

そうした過去の自分や自分の強烈な体験により何とかしたいと思った人が、顧客として設定されます。

顧客さえ設定されてしまえば、あとは彼らを幸せにする方法を考え、それが金銭的価値を生み出せる仕事であればその仕事をしていくということです。

お客が設定された時点で次の問いのステージに行きます。
どうやってそのお客を幸せにするか?

ドラッカー博士の言葉を借りれば、「顧客にとっての価値は何か?」です。

僕の場合は、悩める中高生にとって、学校の大人だけではない地域の大人との出会いが生まれる場が価値があると直感したのは2002年。

そこから9年の時を経て、2011年にツルハシブックスをスタートするわけですから、「価値」がなんとなく見えても、何度も試行錯誤を繰り返していく、「仮説」を立てて、実行してみる、そして振り返る。つまりドリフトしていくということです。

そうやってだんだんと自分なりに顧客を幸せにするための仮説が見えてくる。

もちろん、顧客は、変わっていくこともあるでしょう。
しかしそのときも同じプロセスを踏んでいくだけです。

行動し、顧客に出会う。
顧客にとっての価値を考え、実行してみる。

それを繰り返すことで、天職という仕事に近づいていくのではないかと僕は思います。

「ホスピタルクラウン」大棟耕介さんのように、天職という職業があるのではなく、仕事の中には天職だと思える瞬間があるのだと僕は思っています。

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