本の処方箋・第1錠「レイヤー化する世界」
「やりたいことがわからない」の社会学と並行して、参考図書を紹介していきます。名付けて「本の処方箋」。
※本は主に新潟市西区JR内野駅から徒歩3分・内野四つ角にある「ウチノ食堂」内で設置・販売したいなと思います。
今日は、「レイヤー化する世界」(佐々木俊尚 NHK新書)を紹介します。
僕はこの3年くらい、ようやく歴史に興味を持ってきました。今まで全くやってこなかったのに。構造的に見ると、どうなんだろう?っていう問いが大きくなってきているからかもしれません。
「レイヤー化する世界」の中で、佐々木さんは、国民国家の神髄は、「ウチとソトを分ける」というところにあると言っています。
自国と他国を分ける。その中で、「最大多数の最大幸福」を目指す。
しかし、そんな時代も22世紀まではもたないだろうと佐々木さんは言います。
テクノロジーとそれを基盤にした超国家企業が、プラットフォームという<場>をつくることによって国家のように「上から」支配するのではなく、超国家企業は「下から」ひとりひとりを支え、また支配するのです。もはや国家には税金を納めません。
レイヤー化された世の中。それは、さまざまなレイヤー(居住地、出身校、趣味・・・)における要素を持つ個人と個人の時代です。
この本の一番の希望は、そこにありました。「場は、マジョリティとマイノリティを逆転させる。」
そうなんです。マイノリティのほうが<場>では、(特にSNSのような場)価値を持ちます。強くつながることができるからです。
そもそも、「国民国家」も仮説にすぎないのだ、ということ。その中で自分はどうふるまうか考える。そんな風な視点を手に入れること。
それって「考える」の出発点のような気がします。
また、この本は「自分」について考えるためにも必読の1冊。
「じぶん」シリーズの1冊でもあります。
「自分とは何か」(平野啓一郎 講談社現代新書)
と併せて読みたい。
また「じぶん」を知るというテーマでは、
「認められたいの正体」(山竹伸二 講談社現代新書)
「孤独と不安のレッスン」(鴻上尚史 だいわ文庫)
「非属の才能」(山田玲司 光文社新書)
このあたりも紹介できればと思います。
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