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6機目:「ワーク・デザイン」

「安定した職」「終身雇用」「十分な年金によって支えられた老後」等々、かつて人々が信じたストーリーは、もはやない。

今私たちは、信じるに足る「21世紀の物語」を探している。
状況は、思った以上に待ったなしだ。

と前書きで始まる本書、「ワーク・デザイン~これからの働き方の設計図」(長沼博之 阪急コミュニケーションズ)

「成長産業はもはや、雇用を生まない。」
この、見たくない現実を突き付けてくる。

この本は2014年に発売された。ロボット革命、クラウドソーシング、などなど。現代のテクノロジーは、人からロボットへ、コンピューターへとどんどんシフトしていくと今も言われている。

そして、まさに、インターネットショップ(ECサイト)のような無店舗経営(今やこの言葉も死語か)に代表されるように、成長産業はもはや、雇用を生まない。いや、雇用に依存しないからこそ、成長産業なのだ。

たとえば、コンビニエンスストアやファーストフード、レンタルDVD等の店でのアルバイト募集の張り紙や求人を目にするのは、それらのビジネスが非正規雇用に支えられていることの証明である。

~~~以下、本文より引用

現代における成長産業はそもそも雇用を生みにくい。これまでは製造設備を自社で持つことが当然であったから、そこに雇用が生まれた。

しかし、現在生まれている成長産業のベンチャー企業は、できる限り仕事を自動化しようとする。

グーグルにしても、アマゾンにしても、フェイスブックにしても、コンピューターによって、支えられているモデルである。

また、大きな雇用を生むためには、その仕事は多くの人ができる仕事でなければならない。高度な専門知識を必要とするものではなく、ある程度コード化された単純作業が含まれなければならない。

しかし、それらの仕事はロボットによってオートメーション化されたり、
賃金の安い海外へアウトソーシングされたりしているのだ。

~~~ここまで引用

「成長産業はもはや、雇用を生まない。」

ということは、「いい就職」を目指して努力することは、だんだんと無意味になってくる。

著者は言う。
「今、私たちは生産性や働き方、創造性といった概念の優先順位や社会的評価を変えなければならない転換点にいる。」と。

これまではいかに少ない労力で多くの生産を上げるかが社会の課題であり企業の目標だった。

だから、企業はオートメーション化を進め、自分たちの強み(コア・コンピタンス)以外はアウトソーシングする流れを作り上げていった。その結果、先進国では人員過剰が起こると同時に従業員の幸福度も低下した。

「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司 あさ出版)に出てくる企業の多くがオートメーション化・コンピューター化していない製造業であるということからもこれらのことが言える。

そして、これからは「創造性」の時代だ。

今、人々は物理的に「欲しいもの」がなくなってきている。一方で精神的充実をもたらすものへの興味は、ますます高まっている。

近年新たに生まれて注目を集めているのは、「人」が極限的に少ないか、お金になる、ならないにかかわらず「人」が極限的に多く「参加する」モデルだ。

これらの事業・活動に対しては、生産性や利益率を追及するだけではない新たな評価基準が必要なのだ。

と、このように続いていくのだけど、まさに、自分たちがうっすら感じていることを言語化してくれた素晴らしい1冊。

予測できない未来。
このまま勉強を続けていても、大丈夫なのか?
「いい就職」をすればいいのか?

そんな問いにズバッとくる1冊。

「成長産業はもはや、雇用を生まない。」

だとしたら、自ら創るしかない。
自らの仕事と、自らの人生を。

ひとりで、という意味ではなく、
地域の資源や人々を含めた、「私たち」で。

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