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THE BOYS&GIRLS "陰も日向もツアー" w.Maki ライブレポ


新アルバム「陰も日向も」を引っ提げ、札幌、名古屋、大阪、東京4箇所を巡る対バンツアーも最終日。名古屋のMakiを呼んで、渋谷クアトロにて行われた。
Makiとボイガルのパワーに改めて驚かされたツアーファイナルのレポート。


Maki

元々ボイガルの対バン相手がMakiと知った時、いつか聞こうと思っていたこと、JAPAN JAM4日目にMakiの出演が決まっていたこともあり、4/15に渋谷タワレコで行われた、陰も日向も発売記念のインストアライブの際にMakiのCDも購入した。
JAMでも期待以上のパフォーマンスを見ていたため、どんな対バン相手よりも楽しみにしていた。

19:04頃 SEの「Around The World」が流れるとメンバーが続々と登場する。Ba&Voの山本響は片手に500缶のビールを2本持ち登場し、「Makiです!ボイガルにツアーファイナル呼んでもらいました!ツアーファイナルは俺たちしかいないっしょって思ってきました!」と高らかに宣言する。

イントロが流れると歓声が沸く。そして山本の「クアトロ聞かせて!」の合図とともにいきなり大きなシンガロングから始まる「」からスタートする。
Makiが「対バン相手側」を感じさせないのは、単にMakiの人気によるクアトロに集まったMakiファンの多さではなく、ボイガル同様、小細工無しの真っ直ぐな正真正銘のロックンロールを奏でるからであり、フロアにいるほとんどの者の琴線に触れるからであろう。
ダイバーが続出する中、ラスサビ前、山本は「こんな単純で分かりやすい音楽ないっしょ!声聞かせてくれ!」とさらに煽る。
」で初っ端からぶちかました後の「シモツキ」、「」でも勢いは止まることがない。

休憩と言える時間はなく、山本がビールを1口2口飲み、再度ボイガルへの感謝を述べる。
そしてライブハウスについて話す。「誰かを傷つけるんじゃなく、楽しもうよ。男は男らしくカッコよく、女は可憐で可愛くいような?」と笑顔で確認を取るとセッションへ。
"あなたと居た春"という歌い出しの「春と修羅」では山本が何度もフロアを煽る。
「後ろ見えてるからな!分かんなくてもいいよ!一緒に楽しもうぜ!」と叫ぶと、クアトロ全体が揺れる。

「暑いけど、ボイガルが札幌から涼しい風を持ってきてくれました」として始まった「秋、香る」はJAMでも聞いたが、秋だからとか言ってられないくらいの名曲だ。春から秋の季節繋がりだったが、フロアはずっと熱いままである。
そしてその「秋」の曲が続く、「斜陽」もJAMで聞いたショートチューンだが、ライブハウスで見る「斜陽」は数十ものダイバーが居るだけでなく、サビのところで全員でジャンプをしたりと全くの別物のようだった。


山本は「初めてMaki見たって人はいる?」と聞くとフロアの2~3割ほどが手を挙げる。
「意外と見てくれてる人いるんだね。分からなくてもいいよ。一緒にやろう」と言うと再び
斜陽」2回目ということもあり、倍の声量を纏う"夕焼け"のシンガロング。そしてサビで再び全員でジャンプ。
「対バン相手側」がここまでフロアを巻き込むのは簡単では無い。しかし、山本を始め淡々と楽しそうにいつも通りに演奏するMakiに強さを感じる。

ここで山本は2缶目に突入し、「いつものいいっすか?」と言いビールをマイクに近づけて缶を開けると、SE使った?と思うくらい綺麗なエコーの聞いた開栓音がクアトロに響く。
その後、「みんなも酒飲んだ?酒はいいぞ〜」とマイペースな山本。「酒飲みながらでも聞ける曲が出来たんで」
として演奏されたのはやはり「Record Dogs」"お互いに上手くやっていこうぜ" "酒のつまみくらいにはなるさ" と正にお酒を片手に聴きたくなるミドルテンポの新曲は、JAM同様にオーディエンスは肩を揺らして音楽を楽しむ。
そして「今日ボイガルのおかげでMakiが見れたこと、Makiのおかげでボイガルが見れたこと、それは『Lucky』なことだよ!」としてJAMと全く同じ流れの「Lucky」でも「Record Dogs」同様ミドルテンポである。正直、この2曲以外はアップテンポの曲だからか、この2曲が鮮明に残る。
ゆったりした曲に山本のMCで和らいだフロアの緊張感を引き締めるかのようにして「嫌い」へ。意外な選曲だったからか、どよめきが起こる。
曲途中では一聴するとマイヘア椎木を少し感じる語りのようなフレーズは、山本の独特なリズム感、音程で放たれる。そして短く言葉を切って直ぐに声を張り上げて歌うのは、山本にしか成せない技である。

山本が敢えて強調してタイトルコールをした「boys & girls」はやはりこの日の為の曲だと思ってしまう。
"君と僕が笑う"  "僕達は輝いて" "巡り来るこの夜に 悲しみと踊り出す" といった歌詞がやはり今夜のMakiとボイガルを表しているように思ってしまう。

休憩を挟み、ボイガルとMakiについて話す山本。「ボイガルとは…(2019年)RADが最初…?でしたっけ?」と下手のフロアにいるシンゴさんに聞く山本。(頷くシンゴさん
名古屋に来た時にボイガルと夜飯を共にするほどの仲だというエピソードがあり、
「ボイガルから刺激を受けてきたし、だからこうやって呼んでもらって嬉しい。"どうかまた "会えますように」

どうかまた"どうかまた"のシンガロングが巻き起こったのは「平凡の愛し方」である。山本に目線が行きがちだったが、ここではDr.まっちの緩急があり、力強い演奏に目がいった。そしてこんな力強くドラムを叩いてるというのに、どうやってコーラスしてるの?と思ってしまう。
ラスサビの"どうかまた"では山本が歌わずとも、フロアに大合唱がこだまし、メンバーも満足気な顔をしていたのも印象的であった。

「Makiでした!次のボイガルも楽しんで帰ってください!まぁ、体力残させる気ないけど!」と言い残して最後は山本自ら歌い出す、代表曲「ストレンジ」の際のフロアは間違いなく最高潮であり、ダイバーが大量発生する。
あまりにも飛ぶので前の客との間隔が空きそうで心配になるくらい。
最後はGt佳大がフロアへダイブして締めくくった。

このレポの前段で何度かMakiを「対バン相手側」という表現をしたが、それが正しくない表現だと思った。
対バンは「主催」と「呼ばれた側」に区別されるが、やはり今回のような両者とも本気でぶつかり合う、理想的な対バンではそのような表現が不適切であろう。大変申し訳ない。

JAPAN JAMで見たMaki、やはりホンモノのロックンローラーであった。山本が何度も言っていた「知らなくてもやってみよう」を全員が体現し、Makiに夢中になった50分であった。


Maki   セトリ

1.虎
2.シモツキ
3.風
4.春と修羅
5.秋、香る
6.斜陽
7.斜陽
8.Record Dogs
9.Lucky
10.嫌い
11.boys & girls
12.平凡の愛し方
13.ストレンジ



THE BOYS&GIRLS

陰も日向もリリース記念のシンゴさんのタワレコ弾き語りライブ以来、バンドだと2月の最高すぎた炙りなタウンとのツーマン以来のボイガル。もちろん新譜の演奏も楽しみだが、久々のボイガル自体にワクワクしていた。


お馴染みのSEから、この日は「上手くやっていこうぜ」と書かれた白T姿のシンゴさんが登場すると、ほかのメンバーもゾロゾロと登場する。

「北海道札幌代表!THE BOYS&GIRLS!」

そしてシンゴさんが聞いた事のないメロディーと歌詞を歌い出す。すると先程演奏されたMakiの「ストレンジ」をワンフレーズだけ歌う。
そういえばMakiの出番の前半から上手側のフロアに立ち、ノリながら歌っていたシンゴさん。
そして1曲目はアルバムよりバラード曲「ガール」であり、Makiと対極的な幕開けである。
バラードであっても声を張り上げていきなり全力投球のシンゴさん。いつも通りのボイガル。それが本当に嬉しい。

昨年のツアーで発表され満を持してアルバムに入った「フロム・ア・ナローボックス」
では、フロア全体が前方に向かい、ボイガルのライブでは中々見ない多さのダイバーが発生する。
クアトロという大きな箱ということもあり、"フロム・ア・ナローボックス"の大合唱は今までで1番音圧を感じたが、シンゴさんは耳に手を当て🤷という表情で更に煽る。
初期曲「24」のアンサーソングとも思われるシリアスな歌詞が多い「34」も最高に盛り上がる。

Ba.三角さんが即興でベースを鳴らし始めると
シンゴさんが「いいねそれ。身体が勝手に踊っちゃう!辞めて!笑」と踊り出して始まったのは
こちらもアルバムより「心のまま」。北海道のローカル番組のタイアップ曲。子供が主役の番組ということもあり、分かりやすいメロディーと歌詞。タワレコの弾き語りで聞いた時には無かったGt.カズマさんのギターソロには激しさがあった。バラードから入りながらアルバム曲だけでMakiファンも巻き込んだ1ブロックだった。

MCでは「ボイガルのワンマンだとあって2.3人ダイブがあるけど、Makiの見た?もう100人も1000人も居たじゃん?Makiこええ〜!!」と笑いを誘う。
「今日はMakiと居れるのもあと1時間くらい?あと1時間でMakiとはもうお別れということで」とジョークを飛ばしフロアは爆笑する。

久々に演奏された「フェイバリットカラー」はいつもより速い。なにかMakiからの勢いをそのまま受けたかのように、今まで見た事のない盛り上がり方をしていた。
サビ前になるの「Makiがやってたみたいに、跳んでみよう!」とシンゴさんが言うとジャンプしながらサビの大合唱。圧巻だった。
改めてこの曲のもつエネルギーに驚く。

流れるようにさらにギアを上げるように 「ライク・ア・ローリング・ソング」へ。ここでも大合唱と見たことの無いダイブの量を感じた。
シンゴさんのギターから始まる「路の上」を聞くとなにか「メル」を思い出してしまうのは私だけだろうか。

MC
ツアーファイナルということもあり、前3公演を振り返るとともに渋谷クアトロについて話す。
「メンバーが脱退するって決まった最後のツアー、クアトロでやってその時はソールドした。コロナ禍の時、場内BGMでも使ったD.W.ニコルズっていう最高のバンドとやった。その時はコロナ禍で人数制限もあったけど、ソールドはしなかった。今日もソールドはしてない。」

「ソールドするしないは重要じゃないけど、クアトロでやる時は緊張する。覚悟を持って来ました。」と話すシンゴさん。
確かにソールドはして無かったが、フロアもその上のバーカウンターの方までビッシリと人は埋まっていた。それはMakiという強力なバンドの存在もある。
クアトロは相当大きな箱だ。売り切るのは難しい。しかしこの日のボイガルは見てきた中で最高だった。
間違いなく休日のクアトロのアクトをするべきバンドであった。

そんな熱くもユーモアを混じえたMCのあとに来たのは「ロータリーを抜け出せ!」。
全ての歌詞が今のボイガル、今のワタナベシンゴの現在地を表している。MCで「もう35になったけど、まだまだ期待の若手で伸び代があると思ってる」と言っていたが、この日のパフォーマンスが誇張無しでそれを本当に感じさせる。
よーいドン」も「ロータリー〜」と同じく昨年からある曲で、会場が一気に沸騰する曲だ。
ここでもサビで「跳んでみよう!」と呼びかけるシンゴさん。「俺も跳ぶ!メンバーも跳ぶ!」といって全員でジャンプする。
"ここで散るには 早すぎる"
今まで1番の"ディスイズマイウェイ"のシンガロングに心が震えた。

続くは「陽炎
メンバー脱退があり、現在のシンゴさん1人の体制になってから出来たはじめての曲。
私がボイガルにハマるキッカケになった曲。個人的に思い入れが強すぎるこの曲は毎度胸が熱くなる。
この日の「陽炎」も最高にかっこよく熱かった。更にサビ前の「これが俺の決意の曲だ!」というシンゴさんの魂の叫びに涙が溢れてしまった。

MC
ここでは5分以上はシンゴさん話したんじゃないか。それくらい伝えたいことが沢山あったんだと思う。
「テレビでもラジオからでもCDからでも、自分を助けてくれる音楽があるといいよね。」と言ったシンゴさん。

「ボイガルがそう言ってたからって、ボイガルの曲をそう思って聞かなくていいからね。」と言っていたが、新譜でもやっぱりボイガルが好きだなって思ってしまうし、ライブを見るとボイガルが自分を裏切らないって確信した。

"あなたがやってるロックバンドが居てくれて良かった"と思ってしまうな。

長いMCの後に流れたのは「声にならねぇな」は、アルバム曲だが聞くのは3回目。
1月の延期分と2月の炙りなタウンとの対バンぶり。MV曲だったことを考えると、シンゴさんの中でも大切な曲だと伺える。
私もアルバムの中で一番好きな曲である。
"もう限界かな 今まで何度もチャンスはあったよ 辞めれるチャンスは" とドキッとする歌詞がある。
しかし、"だけどその度に君がみつけてくれた"と繋がる。この歌詞を歌いながらオーディエンスに力強く指をさすシンゴさん。
ファン1人1人を大切にしてくれている。だからずっと応援したいと本気で思えるのだ。

最後は「ボーイ
新アルバムに入っているが、既にボイガルの代表曲になってるこの曲。この曲にしか出せない高揚感があり、前奏が流れただけでエンジンがかかるような。
ライブで聞くとよりシンゴさんに背中を押されるような感覚がある。

本編で演奏されたのは12曲だったが、Makiが作った熱に乗せられるかのように、私が見てきた中で過去最高に攻撃的なボイガルのライブだったような気がする。


アンコール


ここでは秋のライブについての告知があった。
「もう対バン飽きたからワンマンやる。……いや嘘嘘!対バン飽きてない!笑」と再び笑いを誘うシンゴさん。

「やっぱり今年はアルバム出したってこともあって、この曲を聞いてもらいたい気持ちがある。あと、去年リニューアルした札幌のKlub Counter Actionっていう最高なライブハウスで同じことしたんだけど、次回のツアーは『ボイガル以外のグッズを着用』するようにします!秋のツアーはみんなボイガルの服着てきちゃダメだからね!」

と聞いた事のないドレスコードのツアーが決まった。
今回も札幌(SPiCE)、名古屋(ロックンロール)、大阪(Bronze)、東京(O-Crest)の4箇所でやることを発表。
どれも300前後のキャパでありながら、公演後の手売りチケット発売するとアナウンスがあった。


アンコールは「ハローグッバイサンキュー
去年はこの曲を引っ提げてツアーを回ったボイガル。この曲はボイガルらしさを感じる。
"ハロー!グッバイ!サンキュー!"の大合唱は初めてボイガルを見た人でも楽しめるし、何より盛り上がる。
1番が終わると、「クアトロ!いい感じだ!」と叫ぶシンゴさん。
拳を上げ、肩を揺らしながら、見たことないダンスをしながら、それぞれの楽しみ方で盛り上がるフロアを見るとこっちまで楽しくなるし、この曲こそボイガルの真骨頂だと感じた。

最後までボイガルらしさ全開で走り抜けた、"陰も日向もツアー渋谷"。
この日も自分のために歌ってくれるように感じた。

改めてこの日の対バンがMaki×ボイガルでよかった。この日までいきててよかったと本気で思えた。
Makiのボイガルの強さ、それは言語化し難いがかなり似ており近いが、若干異なる。
Makiがアツアツにした後、その熱に乗せられるかのようにボイガルの熱さ、激しさがより際立っていた。
やはり対バンはどちらかがではなく、この日のように先頭が最高のパフォーマンスをすることで、続くバンドがより一層最高になる。

掛け算の化学変化を肌で実感した最高のツーマンであった。


THE BOYS&GIRLS セットリスト

1.ガール
2.フロム・ア・ナローボックス
3.34
4.心のまま
5.フェイバリットカラー
6.ライク・ア・ローリング・ソング
7.路の上
8.ロータリーを抜け出せ!
9.よーいドン
10.陽炎
11.声にならねぇな
12.ボーイ

en.ハローグッバイサンキュー




秋ツアーのフライヤー

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