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小袖の手(こそでのて)

「小袖の手」とは身請けされなかった遊女の死後、死皮となった小袖から手が伸びるという妖怪だが、遊女は籠の鳥=籠女とも呼ばれ、手が伸びた小袖の後ろは今や正面にも見える。その上に置かれた鶴亀燭台も手が伸びれば滑る事もあろう。「かごめかごめ」とはこの妖怪を歌った歌なのかもしれないとふと思った。

鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』より「小袖の手」

石燕の解説文には“昨日施憎裙帯上断腸猶繫琵琶功絃”という漢詩が引用されているが、かごめかごめの「鶴と亀」を「弦と瓶」と読み替えれば琵琶を連想出来る。また鶴亀燭台は主に浄土真宗の大谷派、高田派、仏光寺派で多く用いられる様だかそこにも何か意味があるのかもしれない。

「うまれては苦界 死しては 浄閑寺」という花又花酔の句にある浄閑寺は浄土宗の寺なのでこの鶴亀燭台を使う浄土真宗とは宗派が合わない。

浄土真宗に弔われた遊女といえば日本人最初の検体者で真宗大谷派の念速寺に葬られた美幾が思い浮かぶが残念ながら年代が合わない。


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