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Flareはチャマに向けて書かれた曲だったのか?

今から約1年前、2021年2月11日

BUMP OF CHICKENの新曲『Flare』が発表された。
意味を直訳すると「ゆらゆらと揺れる炎」となるが、歌詞に何度も出てくる「灯火」という言葉がきっと正しいところだと思う。
さらに歌詞を解釈していけば、この「灯火」は「小さな命=僕達一人ひとりの命」なのだと分かる。
ジャジーな雰囲気のあるアルペジオから、フィンガースナップに藤くんの歌声が合わさる。
コロナ禍を生きる人々へ向けた、藤くんなりの励ましの唄が心に染みる。

この曲が公開された日、2月11日はBUMP OF CHICKENにとって最も大切な日の一つである、結成記念日だ。
しかも、この年2021年は結成から25周年、四半世紀の節目であるから、大々的に祝われると誰もが思っていた。

半年ほど前までは。

2020年9月18日
この日はBUMP OF CHICKENが主題歌『Gravity』を提供したアニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』の公開日だった。
そんなめでたい日に、ネット上にあるスキャンダルが出回った。
週刊文春の記事でとりあげられたのは、BUMP OF CHICKENのベース、チャマこと直井由文。
そもそも、BUMP OF CHICKENのメンバーは全員未婚だと知らされていた。
同年8月にボーカルの藤くんこと藤原基央が結婚報告をした時はたまげたし、同時に心から祝福した。
「これで、あとの3人も結婚してくれたら安心なんだけどなぁ」なんて、どこから目線か分からない思いを抱いていた。
ただ、みんながみんな祝福したわけではなかった。
藤くんガチ恋勢もいるとは聞いていたが、その手の人達の怨嗟に近い声も聞こえてきたし、別にそれも人によっては当然の反応だよなぁとは思っていた。
そして、その祝福しない人々の中には、もうどうしようもないほどの恨み辛みを抱える人もいた。

それが、チャマの不倫相手だった。

え?なに?実は結婚してた?子持ち?
そんで不倫???は???

当時の僕はこんな感じである。
情報量が多すぎる。

週刊文春にタレコミを入れた女性から出てくる、不倫の証拠写真やら、LINE画像やら。

まぁ初期の段階で僕は、ちょっと混乱したのもあって「ああ、チャマ見た目通りだったんだ」とかよくわかんないことを思ってた。
翌日になって、BUMP OF CHICKEN公式よりチャマの無期限活動休止が発表されて、ようやく「現実かこれ」と認識した。

その翌週末、BUMP OF CHICKEN公式より、毎週日曜深夜3時からやっている公式ラジオ『PONTSUKA!!』でメンバーから話があると告げられる。
当然聴いた。
藤くんが泣きそうな声でポツリ、ポツリと喋る。
「メンバーもチャマのプライベートを把握できてなかった」
「私生活について厳しい言葉をかけた時もあったが、つたわっていなかった」
なんで3人が謝ってるんだよと、藤くんが苦しんでるんだよと、憤りを感じた。
極めつけは
「BUMP OF CHICKENとしての活動を辞めるところまで話をした」
という一言。
全身から血の気がサーッと引いていった。
ただ、それは次の瞬間
「活動を続けることがリスナーへの贖罪になる」
という旨の言葉で、安堵へと変わった。

BUMP OF CHICKENがなくなるなんて、想像もしたこと無かった。
知らない方のために補足すると、BUMP OF CHICKENは4人のメンバー全員が千葉県の佐倉市出身で、幼馴染だ。
学校が違かったりクラスが違かったりで、疎遠になることやお互いに関係がない時期もあったが、それでもバンド結成以前から繋がりのある4人で歩いてきた。
僕は勝手に、この人達はおじいちゃんになってもバンドを続けて、ステージに立てる限り立ち続けて、声が枯れるまで歌い続けてくれると思っていた。
なんかそんな気が勝手にしてた。
40年近く連れ添ってるんだから、あと40年それを続けてくれるだろうと。

こんな簡単に、1つのバンドが潰れそうになるんだと、本当に怖いと思った。

ラジオは30分も経たずに終わった。
チャマのやった事の謝罪、経緯の説明。
BUMP OF CHICKENとしての活動は、チャマ抜きで続けること。
だいたいこんな内容だった。

BUMP OF CHICKENは寿命の長いバンドだが、そもそもメディア露出が少なすぎて、この件が世間を騒がせたのはせいぜい数日程度だった。
正直、ラジオが配信された頃にはもう話題になってなかったと思う。
公式側の対応があまりにも迅速だったから大した炎上にならなかったとも言えるが、まぁ実際にはテレビ露出が少なくて報道しても「へぇ、BUMPのベースってこんな顔してたんだ」くらいで終わってしまうからだろう。
マスコミはすぐに興味を無くしてくれた。

ただ、ファンの僕らにとっては大問題が残った。
3人での活動って、どうするの?
新曲出すの?
ライブ.......は、コロナ禍でしばらく出来ないとして、MVは?

不安だらけだった。
正直、3人での活動をずっと応援できるかどうかが僕には分からなかった。
それは、BUMP OF CHICKENリスナーのみんなが感じてたことだと思う。
不安で眠れない夜は、いつも藤くんが優しく歌ってくれた。
ただ、BUMP OF CHICKENに不安にさせられる日が来るなんて思ってもなかった。

ラジオ放送のあった、翌日。
BUMP OF CHICKEN公式が新曲『アカシア』が9月29日に発表されること。
そして、まさかまさかのポケモンとコラボしたスペシャルMVが公開されることがアナウンスされた。

情報量が!多すぎる!
僕は多分キレてた。
リスナーの半分も多分キレたし、そして全員「よかった」とも思った。

僕もそんな感情だった。
ただ、心の隅っこで「こんなの、チャマがいの一番に喜んで嬉しそうに話してくれるやつじゃん」と思っていた。

そして翌日、僕はテレビの前にかじりついてYouTubeのポケモン公式生配信を見届けた。
近年でもあまりなかった、ストレートなロックサウンド、軽快なメロディー、ポケモンとの冒険を彷彿とされる、それでいて藤くんらしい歌詞。
描かれるアニメーションは、ポケモン赤緑から、最新作ソードシールドまでの歴代のジムトレーナー、主人公、四天王にチャンピオン.......。
素直に泣いた。
ちょっと今思い出しても泣ける。
凄いもんを見せられた。
その圧倒的な熱量が込められたアニメーションと、突き抜ける爽快なメロディーに、心に深く刺さる歌詞。
この曲について話すと1時間くらいはゆうに語れるし、MVを一時停止100回くらいしながら話さないといけないので割愛するが、一言。

『凄かった』

もう、めちゃくちゃ安心した。
何より、あのポケモンがBUMP OF CHICKENの不祥事があった直後にも関わらず、予定通りにコラボを実施してくれたのが超嬉しかった。
僕らがBUMP OF CHICKENを見捨てず、好きでい続けるように、同じ事を考えている人が、少なくともこんなに心強い存在であることはあまりないだろう。
彼らの25年間は、色んな人が見てくれてたんだと、また泣いた。

完全に余談だが、僕はこのMVを見てオメガルビー以来6年振り、新作ポケモンとしてはダイヤモンド以来実に14年振りにポケモンを買った。

ぜひ全人類見てくれ。

11月にはアカシア/Gravityの両A面シングルに加えて、前年のライブ『aurora ark』のライブ映像が発売。

藤くんが、東京ドーム公演最終日のアンコールで言ってた。

「バンドのカッコいいところ見せてやるよ」

もうね、最高だよあんたたち。
一生着いて行こうと思った。

リアルタイムでバンド解散危機を乗り越えて、チャマが戻ってくるまでの間活動を続けるという決断を出したバンドが、かっこ悪いわけない。
僕らは現在進行形で最高にかっこいいBUMP OF CHICKENを見せられていた。

そこからはあまり音沙汰がなく、年が明けた2月。
リスナーはまたざわつき始めた。

待ち受けるは2月11日、結成記念日にして25周年記念の超大事な日。
このタイミングで、25周年を大々的に祝うのか?
チャマは謹慎から5ヶ月ちょっと。
まだ早い気もするし、25周年に復帰するのも、なんか違う。

BUMP OF CHICKENがした決断は、新曲『Flare』の発表だった。

そして、冒頭に戻る。

結論として、大々的に祝われることは無かった。
当然リスナーは祝った。
Twitter上には祝いの言葉と、チャマの復帰についてが溢れた。
そして、ある『説』が囁かれだした。

『Flare』はポルトガル語で『chama=チャマ』だから、この曲は休止中のチャマに向けて書かれた曲では?と。

これは結構論争を産んだ。
なんで突拍子もなくポルトガル語が出てくんだよ、と思うかもしれないが、実はこれにはちゃんとした理由がある。

当時僕は知らなかった話だが、2015年のBUMP OF CHICKENのラジオ内でリスナーから「Chamaはポルトガル語で炎という意味がある」というお便りが届いたことがあったのだ。
まぁ『flare=chama』ではなく、あくまで『flare=灯火≒炎=chama』なのだが。

この話、BUMP OF CHICKENのコアなリスナーの間ではそこそこ有名な話だったらしく、この新曲発表にあたって噂が流れだしたらしい。

僕としての見解、結論として、ただの偶然だと思う
確かにこの曲、歌詞をよくよく読むとチャマのことを歌っているように思えなくもない。
ただ、それはこの曲が「今(コロナ禍)を生きる人々」へ向けて書かれた曲だから、広く共感を得られる=誰にでも重ねやすい、というのが影響していると思う。

まぁ、1ファンとして、この曲がチャマに向けて書かれた、という事実が認められれば認められたで、それもまた嬉しいことなのだが.......。

一先ず、今現在になっても公式からのアナウンスは何も無い。

ただ、僕は今になってこの曲がチャマへ向けられた曲である説をすこーーしだけ推している。
何故か。

それはMVにある。
2021年の5月、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の主題歌『なないろ』が発表された。
このMVは林響太朗監督により2人の女性が空を落ちていく演出で構成され、メンバーの出演はない。

2021年2月『Flare』が発表された際には、チャマを抜いたメンバー3人がスタジオでレコーディングしている風景のような、BUMP OF CHICKENファンには見慣れた(といっても、リボン以来2回目)MVだったこともあって、メンバーが誰も出演しないMVは少し物足りなさもあった。
まぁ、これは林監督の作家性が強く出ているのもあるし、これはこれで曲の雰囲気がよく出てて僕は好きだ。

2021年、6月6日にチャマの活動復帰が発表され、同年11月5日に『Small World』が発表され4人が出演するMVが公開された。
同11月14日はBUMP OF CHICKEN初となるオンラインライブ『Studio LIVE Silver Jubilee』を公開。
12月22日には『Studio LIVE Silver Jubilee』よりポケモンとコラボした楽曲『アカシア』のライブシーンを切り取って公開。
さらに、12月23日には『なないろ』のパフォーマンスMVと題してそれぞれ4人が出演するMVが公開された。

なないろに至ってはまさかの『MV2回目』にBUMP OF CHICKEN界隈はちょっとだけざわついた。
シンプルに4人揃った姿が見れるのは嬉しいが、今まで例がないだけに、やはり次に期待するのは『Flare』MVの撮り直しである。

絶好の機会であると思われる2022年2月10日、25周年の最終日には何もアナウンスがなく、翌日2月11日、26周年にも何もアナウンスはなかった。

最も、この日は元々25周年記念の有観客LIVE『Silver Jubilee』が予定されていた為、コロナの影響で延期となったとは言えLIVEの準備を進めていたメンバーにそんな時間は無かったのかもしれない。

そしてその後も特に公式からFlareのMVについて言及はなく、新曲『クロノスタシス』が発表されて今に至る。

恐らく今後もFlareのMVが撮り直されることは無いだろう。
それは単純に機会がなかったとか、そもそもMVを2回撮る事が例外的なのだから、何でもかんでもやる訳では無いとか、色々あると思う。

でも、チャマが活動休止中に発表された楽曲『アカシア』『Flare』『なないろ』の中で『Flare』だけ、3人の演奏映像しか公開されていない。

この事実は、やっぱりファンとしてちょっとだけ『チャマに向けて書かれた曲だから、チャマがいないMVのままで良い』という説を押してみたくなる。

そしてこの説、実はずっと否定はされてない。
ネット上では『雑誌のインタビューでコロナ禍を生きる人々に向けた曲だと言われてる』『作曲が2020年7月、チャマ報道が9月だから時系列がおかしい』とか言われているが、この曲についてあれだけ騒がれた割にノーコメントを貫いてる。
BUMP OF CHICKENのラジオ番組におたよりが届いてもいいとは思うが、まぁあえて読まれてないでしょう。
というか、チャマのしたこと自体は間違いなく許されるものではなく、実際に被害にあった女性、チャマのお嫁さんのことを考えれば迂闊に触れられない話題でもある。

そんな話だからこそ、よくよく見て追いかけた人だけが気がつくようにひっそりと『答え』を残してくれているのでは.......なんて、1ファンの妄想だ。

いやほんとにやりそうじゃない?
毎度毎度CD出す度に隠しトラックという名のおふざけをしてみたり、CDの収録時間が語呂合わせになってたりとか、僕たちの知るBUMP OF CHICKENってずっとそんなことをしていたわけだから。

言いたいけど言えないことだからこそ、わかる人にだけわかるようにしているのが、なんともBUMP OF CHICKENらしいのかもしれないな.......なんて妄想をついしてしまうのでした。

長くなりましたが、以上となります。
これだけ長文で語った割に、聞かせたかったのは僕の妄想という、なんとも中身のない時間にお付き合いくださった方々、ありがとうございました。

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