僕が麻雀をやめるまで-京都編-


前回はこちら

今回は後編です。
今現在、仕事をやめて無職になって、時間なら永遠にあるはずなのに前回更新から3週間も経過してしまいました。
ニートの時間感覚とは恐ろしいものです。

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前回のあらすじ
雀荘メンバーとして働き始めて、そのブラックすぎる職場環境に必死でついて行きながらほぼフルタイムで働き続けた僕の手元に残ったのは、家賃を払えるギリギリの給料だった。
これでは生活にならないと始めた居酒屋もまたブラック。
そしてまた家賃ギリギリの給料。雀荘のメンバー稼業は、早くも2ヶ月目にしてゆき立たなくなりつつあった。
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2019年8月
振り込まれた給料を見て、僕は絶望した。
生活が成り立たないのもそうだが、実はもっと困った事態に直面していた。

8月末〜9月頭に控えた京都旅行である。
この旅行自体は半年ほど前に計画されたもので、参加メンバーはネットで知り合ったゲーム友達6人。その中の若干1名に幼馴染のMが紛れ込んでいたが、それ以外のメンバーはほんとにネットで知り合っただけで、会ったことがあるのも半分くらい。
ただまぁ、ほんとに毎日仕事帰ってきてすぐ通話部屋に入って喋りながらゲームしたり作業したりというのを1年近くしてきたこともあって、なんかもう家族みたいな距離感の仲間だった。
オフ会(ネット上で知り合った人とリアルで会う事)もやりたいねー。でも福岡住みとか静岡住みとかいて難しいよねー。なんて話もしていて、それがなんだか気がついたら現実となっていて、場所は福岡と東京の間ということで京都になった。
また、京都にはコミケ時代の知り合いが運営していた洒落た古民家宿があり、そこを貸し切って2泊3日の泊まりがけオフ会と相成ったわけである。
この計画を立てた時は当然仕事をしていたので、特に金銭面では何も心配していなかった訳だが、今現在の状況は非常にまずい。
脳内には、は・じ・め・ての♪ア●ムがチラつくが、返すあてのない金を借りる訳にも行かない。
仕方なく、僕は給料を前借りできないか雀荘の店長に頼んで見ることにした。これがダメならもうアコ●しかない。
とおもったら、割とすんなり前貸ししてくれた。僕の給与明細を見て、生活が苦しそうなのは何となく察してくれていたみたいだった。
すんません、あの時生活費ってことで借りたと思うんですけど、めちゃくちゃ遊びの金でした。

という訳で、何とか旅費を確保することに成功し、いざ京都へ。
東京の仲間3人を拾って、車で向かう。途中静岡でもう1人拾って、そのまま京都へ。車で5時間かかった。
僕がずっと運転してた。
車で向かうことを提案したのは僕だが、この時ばかりは心底後悔した。もうしばらく車は運転したくなかったが、3日後にまた運転しなければならないことを思い出して絶望した。

旅行はとにかく楽しかった。気の合う仲間たちと、ひとつ屋根の下過ごす2泊3日。ゲームして、喋って、飯食って、酒飲んでと遊びまくった。
京都に3日も居たにもかかわらず、観光を一切しないで過ごしきったのだから、まぁ充実した3日間だった。

そして帰宅。また5時間運転した。もう二度と車で京都に行くものかと誓った。

東京に帰ってきた9/2の夜。帰路を同じくした僕と幼馴染のMは、なんかまだ解散したくねぇよなぁ、的なノリで解散場所から電車で15分くらいの僕の家で宅飲みをする事にした。
んでまぁ、なんやかんやあって付き合うことになった。
ちょっとあの、この話は掘り下げると僕が働いてる大泉学園ジークって雀荘の常連並びにメンバー達に大いにからかわれる気しかしないので、ここまでにさせてください。
あんま面白い話でもないです。ただなんか、この旅行のちょっと前くらいからいい感じになってて、結果両思いだったってだけです。以上。

という訳で、京都から無事帰ってきた僕は、旅の思い出と彼女をゲットしてまた日常へと戻っていった。
この頃になると、僕は夢で跳満放銃してうなされるようになったり、自称麻雀上手い常連客が3人も4人も後ろから熱心な"ご指導"をしてくるのにうんざりしてたり、麻雀を純粋に楽しめなくなってきてた。

そして9月の給料日。恐れていた事態が訪れた。
アウトオーバー。つまり、給料0である。
前借りが普通に痛かった。オーバーした金額は2万程度だったが、それでもマイナスに変わりなく、当然無いものは出せないので給料は0。
しかも、来月は-2万円の負債を抱えた状態でのスタートである。毎月5万以上麻雀で負けている人間にとって、この2万の負債は痛すぎた。

僕はまた、Sに相談した。
相談というか、話を聞いて欲しかっただけというか。
僕の中ではもうほぼ答えは決まっていて、後は誰かにほんの少し背中を押して欲しかっただけなのかもしれない。
Sは彼女のMの事も前から知っていたし、付き合いだしたことも話してた。
薄々、このまま適当な生活を続けてて良い訳ないとも分かっていた。
Sは「辞めるならすぐ辞めろ。今店長にLINEしろ。迷ってたらまたズルズル続けることになるぞ」と僕に言った。

正直、辞めるのは少し迷った。別に次の仕事が決まってからでもいいし、せっかく慣れてきたところで辞めるのはもったいない気もしたからだ。
ただ、Sの話す珍しくマジなトーンに気圧されたとこもあって、また普段から優柔不断な性格をしていることからも、今決めないと、という思いが働いて、僕は店長に辞める旨をLINEで伝えた。

こうして、僕の雀荘稼業は2ヶ月とちょっとで幕を閉じた。
この時、別に麻雀を嫌いになった訳では無いけど「しばらくいいかな」というメンタルにはなった。働いてる時はあまりにも必死で、その必死さも自称麻雀上手な常連達の前では否定され続け、自分の麻雀に自信が持てなくなっていた。

僕が憧れた、佐々木寿人の迷いないリーチは、この頃の僕には出来なくなっていた。
それは「リーのみ愚形だから」とか「点棒状況的に」とかそういった話ではなく、両面待ちでないリーチを打って手牌を開けた時、誰かに非難されるのが怖くなっていたからだった。

こうして僕は、麻雀を辞めた。
正確には雀荘に行くことを辞めた。

せっかく覚え始めた点数計算とか、牌効率とか、そういった麻雀を覚える時間は楽しかったから続けた。
ネットでノーレートのゆるい麻雀だけで過ごす日々は退屈だったが、まぁそもそもフリー打つ金も無いわけで、僕は仕事を探しながら麻雀の練習に明け暮れた。

という訳で、本筋はここでおしまい。
次回はエピローグ的な話になります。

次回最終回
『僕が麻雀をやめるまで〜住所不定無職編〜』に続く。

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