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妖精のスイミン

スイミンは、

心地よい眠りへ導いてくれる妖精だ。


目には見えないけれども、

そこら中にいたりする。

導いてくれる、とは書いたものの、

必ずしも眠りを約束してくれる訳ではない。

気まぐれで、

人や生物などに近づいて、

眠りに落ちる魔法を掛ける。


スイミンは、睡眠が得意だけど、

例えば、

不眠の人は苦手だったりする。

なるべく近づかない。


寝つきのいい人に近づいて、

すっと寝入るように

魔法を掛ける。


目に見えないので、

どんな姿で、

どんな風に動くのか説明できない。


ではなぜ私が、

スイミンを知っているかと言うと、

夢の中で声を聞いたことが

あるからだ。


「ぼく、スイミン。

 ときどき夢の中で遊んでるよ。

 今日は、きみの夢に

 お邪魔してます。」


声としては聞こえず、

脳に直接語り掛けてくる。


「最近、スイミンの数が減ってるんだ。」

それだけ言って、

スイミンは寝てしまったようだ。

スイミン自身は、

睡眠が得意か否かは分からない。


寝言を言っている。

よく分からない数学の公式の証明を

聞いているうちに、

私の夢は暗転して、

気が付いたら目覚めていた。


意識、無意識の世界にも

居るようで、

実体を持たず、空間を占めないようだ。


睡眠という言葉が出来る前から

存在していて、

それがそのまま、

睡眠という言葉として

現実の世界に定着したらしい。


コミュニケーションが嫌いで、

自分の話しかしない人であろうが、

聞き上手であろうが、

相手に関係無く、関わりを避ける。

かと言って、

まったくコンタクトを取らない訳でもなくて、

お構いなしに、

夢の中で話をすることもまた、ある。


スイミンに関する情報はそれくらいで、

あやふやな存在として、

記憶に残るのだった。


こちらの話すことは、

スイミンに伝わっているかは分からず、

スイミンは、

自分の話したいことを話すだけのことの

ようにも思われる。


夢の中で語りかけてくるのみで、

現実世界に居るかは知らない。

そこら中に居るような気が

されるけれども。


あるいは、

私の想像の産物に過ぎないかも

しれぬとも思うけれども、

語り掛けてくる以上、

少なからず記憶として残るのだった。


今朝、目覚めて、

昨晩は夢を見なかったので、

スイミンの語り掛けは無かった。

私は朝食の目玉焼きを焼きながら、

ふとスイミンのことを想った。


「スイミンって、こんな

 目玉焼きみたいな形かなあ。」


終わり。


(942文字)



こんにちは。つると申します。

noter ピリカさんの企画に

応募したいと思います。

ショートショートを書く企画の

ようです。以下に note です。

フォローさせていただいています、

kesun4 さんの note で、

知るに至りました。

kesun4 さんも応募なさったようです。

kesun4 さんのショートショートは

こちらです。

小説を書くのは、生まれて2度目になります。

結局、私小説風になってしまいました。

想像を駆使して、

フィクションを書かれる小説家さんて、

凄いなぁと、

自分で、今回トライしてみて、

思いました。

枯れ葉も山の賑わい、ではないものの、

末席に加えていただけると幸いです。


それでは、またです。

とても楽しく、ゆるく

書かせていただきました。^^

感謝です。m(_ _)m


        つる かく

お着物を買うための、 資金とさせていただきます。