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心 その3(1820字)

高校生時代の話を書きます。

中学時代までで、心身共に疲れてしまって、
高校時代はまったくやる気がありませんでした。

単位を取るのもぎりぎり。
出席も、後半になると遅刻常習犯になりました。

エピソードを一つだけ書きます。

同じ学年の子で、半ばボスキャラが居ました。
昔で言う番長みたいな子。

背は小さめだけど、筋肉もりもりで、
体格は小太りだけど全身筋肉みたいな子。

顔も切れ長の目で、大きく、威圧感がありました。
特に暴れる訳でも無いのがかえって
怖い存在でした。

手下らしき子を5,6人は引き連れていました。
表面的には友だちなんだけど、
口は出せなかったようです。

わたしのいじられる番が来ました。

トイレでちょっかいを掛けられたり、
プールで頭を沈められたり、
書道の時間に、
私の書いた紙をストーブの上に
置かれたり。

内心はびくびくしていました。
あからさまな暴力は無かったけれど、
怖かった。

ただ、ひるまないようには
頑張りました。
相手にしない。

表向きは、「仕方の無い奴だなぁ。」と
いなす姿勢を何とか保ちました。

ある種の心理戦みたいなものだったかも。
喧嘩をしたら、まず負けるのは
決まっていますから、
心の面で負けたくなかった。

今でいうところの、
「マウントが取れるか。」ということでした。

相手にしない、の一点張りで、
特に問題になることもありませんでした。

向こうも、私のことを弱い奴と
思っていたことでしょう。

かといって、下手に手を出したら、
奴の威厳みたいなものは、
そういうのを威厳と言うかはともかく、
落ちることになる、と私は勝手に
思っていました。

相手を下に見る、ことに
全力を傾けました。
それは心の中だけのことだけど。

やられっぱなしだったけど。
実際の所、私はそれ以外、
動けなかった、といった方が
適当でしょう。

じきに、向こうは相手をして
来なくなりました。
少なくとも対等のつもりだった私と、
おそらく、相手にするほどの奴じゃないと
呆れられたか、放っておかれたかも
知れません。
まあ、勝てない相手なので、
私が情けない、ビビりということになるのでしょう。

実は、こういう場面には
高校時代以外にも何度か遭遇することに
なります。

どの場合も、『相手にしない』。
無視とかもしない。相手にしつつ、
相手にしない、という
言葉にすると、よく分からないかもですが。

彼は大人になって、どうしているだろうかと、
この文章を書いていて、ふと思うことが
あります。すぐに消えるけど。

高校には野球部がありませんでした。
それがさらにやる気減退にもなりました。

表面的には飄々を懸命に装いつつ、
つまらない3年間を過ごしました。

誰も相手にしていなかった。
私は休みたかったのでした。

10月になって、みんないそいそと
大してできそうにもない赤本
(大学の過去問題の載った本のこと)
に目を通し始める中、
私は、試験に出る英文法、という
参考書を出して、勉強していました。

クラスの誰彼に嘲笑されました。
今ごろ、何やってんだこいつ。

自分の学力は地に落ちていたので、
基本から勉強するつもりでした。
大学受験は迫っていたものの、
仕方がありません。
やれる時にやっておく。

もっとも、受験に間に合う筈も無く、
一年浪人することになります。

家族、主に父ですが、
予備校に通わせてくれたのは
今になって思うと感謝でした。

できるだけのことはしてやる。
できないことはしない。

父は私立の大学はダメと言いました。
国公立しか認めん、と。

私は、順序として、まず自分が
何に興味あるかを考えました。
それに合う学部を選びました。
偏差値もなるべく低い所を探しました。

小論文一つで、受けられる学校を
見つけました。
私は作文を書くのが好きでしたので、
予備校で一年間、その教科だけは
一所懸命勉強しました。
他の教科はすべて放って。

地方の大学でしたが、
晴れて受かることができて、
私は、やっとそれまでの、
しがらみみたいなものから
解放される、と安堵しました。

母は涙を流しました。
父は、
「お前、上手いことやったな。」と。

いろんな事から逃げられると
思ったのでした。

(つづく)

☆彡

私自身は、今回の話はつまらないと
思っています。
つまらない高校時代であったから、
お話もつまらないものと思うからです。

ただ、お読み下さります方へは
感謝申し上げねばなりません。

書かせて下さり、
大変ありがたく思っております。

お読み下さります方へ感謝です。

次回は大学時代の事を書かせて
いただきたいと思います。

みなさまのご無事を。m(_ _)m

つる かく


心 その1(1993字)はこちらです

心 その2(1717字)はこちらです


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