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博報堂を辞めてまでやりたいこと。

1.はじめに

こんにちは。つりもとです。

初めての投稿なので文章が変なところもあると思いますが、
一生懸命書くので、どうかあたたかい目で読んでいただけると嬉しいです。

僕は2015年に博報堂という広告代理店に入社しました。
2015年といえば東京五輪のロゴ問題があった年です。

まさかあの時に東京五輪が延期になるなんて夢にも思ってませんでしたが、東京五輪が終わる頃には会社を辞めてるかもしれない、という予感はどこか頭の片隅にあったかもしれません。

2021年春。6年勤めた博報堂を退職しました。

なぜ退職したのか、そして退職してまでやりたいことは何かをお話したいと思います。

2.社会を変える、広告のチカラ

国民的テレビ『8時だョ!全員集合』という番組をご存知でしょうか?

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1969年から1985年まで16年間、毎週土曜夜に放送されたザ・ドリフターズが出演する番組で、リアルタイムで見ていない僕でも記憶に残っているほどのお化け番組です。

特に「ババン〜ババン〜バン〜バン♪」という曲は有名ですよね。
番組のエンディングで流れる曲なんですが、その時、加藤茶さん必ず言うセリフがあるんです。

「風邪ひくなよ〜!お風呂入れよ〜!歯みがけよ〜!頭洗えよ〜!また来週〜!」
(参考動画)02:16あたり
https://www.youtube.com/watch?v=M_PJnYXqdc8&list=PLWizcSYz-0hMjreAl1HOWD-7phpmigU1X&index=20

ここに「歯みがけよ〜!」とありますよね。

実はこれ、当時番組の提供をしていた『ライオン株式会社』の広告戦略だったんです。

当時の日本では、寝る前に歯磨きをするという習慣が根付いていませんでした。そこでこの国民的番組の一番最後にセリフを入れることで、たちまち子供たちを中心に広がっていきました。

結果、今では寝る前に歯を磨くのが当たり前になっていますよね。

広告は社会を変えるチカラを持っている。

学生時代にこの事例を知った僕は広告業界を目指すようになりました。

3.入社から全力疾走。そんな時コロナがやってきた。

入社後は営業職に配属となり、主にトイレタリー企業を担当をしていました。

広告の仕事って何をやっているのか、あまり知られていないですよね。
僕もはじめは「CMをつくるとこ」ぐらいのイメージでした。

でも、広告の仕事は本当にいろんな種類があるんです。

例えば、
-学会のお偉い先生にインタビューして製本する
-親子向けSNSキャンペーンの当選商品を考える
-新商品発表会のイベントで原稿を書く
など、お得意先の業務をサポートしたり。

はたまた、
-新商品開発のマーケット調査
-デジタル広告の配信設計
-10年間のブランド戦略
などザ・マーケティングの仕事をしたり。

たくさんの人に買ってもらうために何をすべきか。
チーム一丸となって、あらゆる方向の業務に取り組む、とてもやりがいと醍醐味のある仕事でした。

その分、なかなかハードな仕事量です。。。
深夜3時にタクシーで帰宅→風呂で1時間の仮眠→始発の電車で出社→また深夜にタクシー帰宅・・・
鉄人耐久レースばりの生活が続くこともしばしば。
※入社当時の話です!今は働き方改革によって改善されています!

全身が震えるような失敗も山のようにしてきましたが、その分、世の中を動かしているという広告の仕事にやりがいを感じ、入社から全力疾走でかけて抜ける日々が続いていました。

そんな、2020年春。コロナによって強制的に業務がストップ。。。

緊急事態宣言によってほとんどの仕事が延期またはキャンセルとなり、これまで予定でビッシリ詰まっていたスケジュール表は、急にポッカリと空いた「何もない時間」ができました。

何をすればいいかわからない日々が続く。そんな時に、会社の先輩に教えてもらったのが「NewsPicks」というニュースアプリでした。

4.「自分のために使う時間」って楽しい

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NewsPicksを初めて見た時は衝撃的でした。

まず、特別番組が全部面白い!

1本40分程度の動画が、様々な業界やテーマをもとにトップで活躍されている方々が議論するという内容で、どれもあっという間に時間が過ぎるほど濃い内容の番組が揃っています。

Youtubeでもダイジェスト動画が観れるので、興味のある人は是非ご覧ください!
https://www.youtube.com/c/NewsPicksOriginals

<おすすめ動画>
・GOの三浦さんが広告業界の未来を語る
https://www.youtube.com/watch?v=NvEzgGf0KqU
・芸人の西野さん、中田さんが登場。オンラインサロンの極意
https://www.youtube.com/watch?v=i40NO4OADGM
・個人ブランドを立ち上げる。D2Cのお話。
https://www.youtube.com/watch?v=CQ2OCe8ASHI

なにより衝撃的だったのが、世の中には自分と同年代の経営者がいる、という事実です。

学生時代に立ち上げたベンチャー経営者だったり、独立した起業家だったり、複数社の役員を担う投資家だったり。

サラリーマンである僕の目には、彼らは皆、コロナという未曾有の荒波にもまれながらも、貪欲にチャンスを掴もうとする『ソルジャー』のように映りました。

自分がガムシャラに走り続けていた世界の外側にはこんなにも広がっているんだ、という感動とともに、羨ましさや憧れといったような複雑な心境になったのを覚えてます。

そして同時に、これまで自分のために時間を使ってこなかったことを改めて反省しました。フルスロットルを言い訳にして、外の世界に見てみぬフリをしていたのかもしれません。

幸か不幸か。コロナがきっかけで、僕は「自分のために時間を使う」ことの楽しさを知り、もっといろんなことを学んでいきたい、小さくてもいいから何か新しいチャレンジをしてみたい、と強く思うようになりました。

5.はじめての挑戦。ちょっとした挫折。

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何かやってみよう!
そう決心し、NewsPicksのオンラインスクールに参加しました。

【NewsPicks NewSchool 】
https://newschool.newspicks.com/
NewsPicksが運用するプロジェクト型スクール。業界を代表するリーダーの方々の講義形式で学べます。

僕が参加したのは「D2C実践」プログラム。
D2Cを日本に広げられた佐々木康裕さんと、クラファン「Makuake」共同創業者の坊垣佳奈さんが講師を務めいただきました。

全10回、6ヶ月続くプログラムで40人ほど参加されていて、参加者のほどんどが自社ブランドをもつ経営者の方々でした。

講義だけでなく、参加者の意見交換も活発に行われ、会社で知ることができないリアルなものづくり現場の声を知ることができ、とても満足度の高いプログラムでした。

そんなある時、参加者の1人と食事にいく機会がありました。

彼は老舗店舗を引き継いだ同世代の青年社長で、今後自分の店をどうやって成長させていくか悩んでいるとのこと。SNSを活用してもっと新しいサービスに挑戦していきたいという相談を受けました。

その時に聞かれたこの質問が、今でも忘れられません。

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広告マンの視点を求める相談だったのですが、僕はうまく答えることができなかったんです。

僕は「はだかの王様」状態だった、とその時気づきました。

これまで大手企業を担当し、予算は数百万〜数千万円規模で、商品はどれもヒット商品。既に何万フォロワーのいるSNS、毎日10万人以上来るホームページがある。

今までの自分は、すべてが出来上がった環境の中で仕事をこなしてきました。そして、専門職の先輩の知恵に頼りながら、チームで仕事に取り組んできました。

そのため、予算30万円は適切なのか、インフルエンサーがいいのか、そもそもInstagramをやるべきか、「ひとりの広告代理店の営業マン」として説得力のあるアドバイスを語ることができませんでした。

「こうした方がいいかもしれない」という抽象的なことは言えるものの、それは教科書通りのアドバイスに過ぎず、自分の無力さを痛感しました。

いったい自分は何ができるんだろうか。。。
「広告代理店の営業」という肩書がない自分は何者なのか。。。

2020年秋の一幕。
そこから悶々と悩む日が続きます。

6.「ない時代」から「ある時代」へ

そんな時。

大学時代の友人から声をかけてもらいました。彼は「クラフトコーラ」というブランドを世に生み出しており、たくさんのファンに愛されている素晴らしい商品を作っていました。

世の中になかった「クラフトコーラ」という概念を創り出し、新たな価値を生み出していました。

約半年、一緒に併走させてもらい、とても魅力的で素晴らしい経験をしました。それは「時代をつくっている」ことが感じられことです。

クラフトコーラがない時代と、クラフトコーラがある時代。
現在は「クラフトコーラがある時代」だからこそ、目の前のお客さんが満足して喜んでくれている。

そんな現場を体験し、自分も新しい価値を生み出して「ある時代」をつくりたい!という気持ちがどんどん強くなっていきました。

7.髪の毛がなかった大学生活を振り返って

自分は何ができるのか。
自分の半生を振り返ると、やはり大学時代が一番強烈な経験でした。

20歳の春。僕は突然、円形脱毛症を発症しました。順調な大学生活だったのに、突然あらわれた脱毛。原因も分からず、どんどん症状が悪化し、ついに頭全体にまで広がっていきました。

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毎朝起きると枕元にはごっそり髪が抜けている。人の目が怖くなり、どんどん閉じこもっていく自分。周りの人には絶対にばれたくない、という執念めいた気持ちがあり誰にも相談できない日々。

-なんで自分がこんな目にあうのか
-健康だった昔の自分が羨ましい
-死ぬことはないけど死ぬほど辛い

大学の授業や友人の前では、常に帽子をかぶって平然に振る舞っていましたが、ひとりになると不安と絶望で押しつぶされそうになる。。。

何より辛かったのは、友人との旅行やキャンプなど、本当はとても行きたい行事ごとも「帽子とりたくない」「銭湯入れない」などの理由で自分を押し殺して断ざるを得なかったからです。

試行錯誤のもと、スキンヘッドにする決心をして治療に専念。
約3年間を経て今では回復しましたが、当時の絶望感は忘れられません。

8.新しい風がYoutubeに吹いていた

脱毛症経験者の自分に何ができるのか。

あらゆる方向を探っていると、脱毛症をカミングアウトしながらも、自分らしさを発信しているYoutuberの方々を発見しました。

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【さらshaarasa】さん
https://www.youtube.com/channel/UCStDYf26p1LiR34_5_KrKGw
【Make up GYUTAE】さん
https://www.youtube.com/channel/UCcwh0T2Fqxo9NHrpqKBrwIw

「す、すごい!」

悩みをオープンにしながら、自分の好きなものやこだわりを楽しく紹介している様子がとても眩しく、そしてカッコ良かった。
誰にもバレずに隠すことに必死だった自分にとって、Youtubeにありのままの自分を前向きに発信する姿に大きな勇気をもらいました。

時代が変わろうとしている。

SNSで繋がれるようになり、だれもが発信できるようになったからこそ、
これまで隠したいと思うようなことも、個性として受け入れられる世界ができつつあるのではないかと感じた瞬間でした。

9.『革新的ウィッグブランド』で『やわらかい境界線の時代』をつくりたい

自分の経験からも、ウィッグは「使う人」と「使わない人」で大きな境界線があるなと感じています。
「使わない人」のほとんどは、ウィッグに触れる機会がなく、試着する経験もなく、日常生活でウィッグのことを考えることがないかと思います。

特にウィッグというのは「自然に見える」ように作られているので、そもそも外見からはわかりにくく、知るきっかけがほとんどないものかもしれません。

僕自身、大学時代に脱毛症になるまでは、ウィッグとは無縁の生活だったため、いざ自分がウィッグが必要な状態になった時に、そこには高いハードルがあり、結局かぶることができませんでした。

まず、医療用ウィッグは10万円程度します。高いものだと50〜60万円もするんです。学生時代の自分に買えるはずもなく、、
また男性だと特にそうなんですが、自分に似合う髪型が全然なく、どうしてもコスプレ感が出てしまいます。
そして何より「バレるかもしれない」という恐怖をどうしても拭いきれませんでした。

ふと、今思うのは、もしウィッグにこれまでとは違う価値が世の中に根付いていれば、当時の自分も悩むことなくウィッグをかぶった生活ができていたのかな、ということです。

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ここで、アメリカに『hims&hers』という、育毛剤やED薬を扱うヘルスケアブランドを紹介させてください。

本来、薄毛やEDは薬を使っているのも隠したくなるようなものですが、『hims&hers』はその洗練されたパッケージやブランドの世界観によって、SNSに「私はこれを使ってます!」とコンプレックスをオープンに投稿するユーザーが多いとのこと。

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アメリカではボディポジティブ(ありのままの自分を愛する)という考え方が広がってきており、その追い風もあると思われますが、『hims&hers』は”隠したいもの→前向きになれるもの”という価値の転換が素晴らしい事例です。

日本では『メガネ』がわかりやすい事例です。
これまで、かけているだけでマイナスなイメージがあった『メガネ』ですが、2000年代にzoffやjinsといった革新的なブランドの登場によって大きな価値転換が起こりました。

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”目が悪い人が使う道具”であったメガネが、いつしか、”自分らしさを表現する武器”となったのです。

そして、PC作業用、スポーツ用、お出かけ用、自宅用など、その自分らしさを様々なシーンで実現できる多種多様なメガネが登場してきました。

もちろん、ウィッグを取り巻く世界も変われるはずです。

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隠したいものから前向きになれるものへ。

僕は、これまでの常識を変えていくウィッグブランド』をつくることで、
使う人も使わない人も「ウィッグっていいよね」と思えるような、そんな
『やわらかい境界線の時代』をつくっていきたいと思います。


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