つれづれにっき

小烏丸が大好きで、調べ始めたらとんでもない深みにハマりました。刀工、歴史、歌舞伎や能に…

つれづれにっき

小烏丸が大好きで、調べ始めたらとんでもない深みにハマりました。刀工、歴史、歌舞伎や能に至るまで、小烏丸についての逸話や気づいたことを、徒然なるままに書き留めています。質問事項や指摘はコメントにお願いします。

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小烏丸展示情報

小烏丸は現在、皇室に御物として大切に保管されています。もう一つある江馬小烏丸も飛騨国分寺にて保管され、非公開です。 しかし、これまで沢山の刀鍛冶が名刀「小烏丸」を写しとってきました。ここでは日本各地に現存する小烏丸(写し)や小烏造りの太刀に関する情報を紹介しています。 ・筆者が現地にて確認したもの ・口コミにより展示情報があったもの に関して、公式サイトや直接問い合わせで確認した情報となります。(軍刀のひとつ、元帥刀も小烏丸の姿を模しているため加えています) ただし、訪問の前

    • 【レポ】新橋演舞場/新作歌舞伎刀剣乱舞

      2023年7月2日〜27日にかけて、新橋演舞場(東京都中央区)にて新作歌舞伎として上演された、新作歌舞伎刀剣乱舞『月刀剣縁桐』。 主演・三日月宗近役の尾上松也が初めて演出を手がけ、見事「伝統芸能」として刀剣乱舞の世界観を映し出したとして大きな話題を呼んだこの作品には、6振の刀剣男士が顕現した。 実はこの歌舞伎本丸における刀剣男士、原作ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」の設定とは異なるセリフ・描写が多くあり、歌舞伎独自の解釈をもって顕現している。 今回も(筆者が推している)小烏丸

      • 映画刀剣乱舞ー黎明ーにおける小烏丸考察

        2023年3月31日公開の「映画刀剣乱舞ー黎明ー」に、小烏丸が登場。筆者も4月に複数回拝見し、色々な気づきを得られたため、稚拙ではあるが小烏丸に特化した考察を述べてゆきたい。 脚本や演出については多数の意見がある本映画だが、ここで紹介するのは本当に小烏丸だけの話である。脚本についての話は全くしていないのでご了承願う。 以降、考察とともにストーリーに触れるネタバレを多く含むため、未鑑賞でネタバレは見たくないという方は後日読み進めていただけたら幸いだ。 ストーリー原作ゲーム「

        • 【レポ】五百亀記念館の小烏丸写し

          2023年1月末。Twitterにおいてフォロワーさんが投稿していたことをきっかけに、愛媛県西条市にある五百亀記念館で開催中の企画展「彫金師・玉岡俊行展~鏨技~」に小烏丸写しとその拵が展示されていることを知る。 写しが展示されることは特に珍しいことではない。しかしながら、今回、精工な造りの拵があるということで、早速五百亀記念館にアポを取り3月1日〜2日に訪問させていただいたので、レポートとして詳細をここに残す。 五百亀記念館とは?まず、展示の内容を紹介する前にこの記念館の

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        小烏丸展示情報

          【レポ】たからづか能/紅葉狩

          以前の記事で、能の紅葉狩から派生し歌舞伎や文楽においても作品化され、大衆に広まっていったことを紹介した。 この能→歌舞伎→文楽という変遷の過程で成り立ったのが「平維茂が持っている太刀=小烏丸」という描写であり、室町初期に成立したとされる能においては小烏丸だとは言っていない。 筆者も改めて「能の紅葉狩では何がどう異なっているのか」を確認するべく、2022年9月2日23日(金・祝)、宝塚ソリオホール(兵庫県宝塚市)において上演された「たからづか能」に足を運んだ。 非常に面白い違

          【レポ】たからづか能/紅葉狩

          【お知らせ】 来年5月発行の「刀剣プレゼン&エッセイアンソロ第四弾」に参加致します。 小烏丸をベースに紹介する予定ですが、読んでみたい情報などあれば、ぜひコメントいただけますよう、よろしくお願いします。

          【お知らせ】 来年5月発行の「刀剣プレゼン&エッセイアンソロ第四弾」に参加致します。 小烏丸をベースに紹介する予定ですが、読んでみたい情報などあれば、ぜひコメントいただけますよう、よろしくお願いします。

          【レポ】天国三輪神社を訪ねて

          刀工・天国の痕跡がこの近辺にあると言うことで、2022年9月10日残暑の中にも秋らしい風が吹きはじめた、奈良県高市郡高取町にお邪魔した。かつてこの地にあった「天国三輪神社」についての事前調査の内容については、前回の記事をご覧いただきたい。 高取町の観光案内所「夢創館」へ さて、尼ヶ谷にある天国三輪神社に長年訪問してみたいと考えていた筆者。ようやく位置を推定できはしたものの、人がほとんどいない山中にあるということで、遭難や事故の可能性も否定できず、突撃訪問は憚られた。 と

          【レポ】天国三輪神社を訪ねて

          ”尼ヶ谷の天国”を探して...

          以前の記事で紹介した、小烏丸を打ったと言われている古代の刀工・天国。遺跡として著名なのは奈良県宇陀市にある「天国の井戸」だが、もうひとつあったとされていた高取町の清水谷近辺の遺跡は時代の流れによりわからなくなっていた。 高取町出身の友人の協力を得ながら、なんとか情報を集めたので、今回その進捗をこの記事にて紹介する。 「あまくに」と「あまがたに」今回調べていたのは奈良県高市郡高取町南部の清水谷にかつてあった「尼ヶ谷」という集落。高取町に問い合わせてみたところ、169号線が通る

          ”尼ヶ谷の天国”を探して...

          平家もう一つの宝刀・抜丸とは

          2022年8月26日、Twitterトレンドに「抜丸」が突如現れた。これはPC ブラウザ&スマホゲーム「刀剣乱舞」において登場する刀剣男士として抜丸の実装が発表されたためである。 以前の小烏丸考察記事で紹介した、「禿(かむろ、かぶろ)」という台詞。対を成す立ち姿、同じ目の下の刺青。色違いとも思われる衣装。共通項が多い彼は、もう一つの平家の宝刀であった。 筆者もところどころに彼の逸話を確認していたので、8月29日夕方の実装予定に先駆けて、彼の来歴を紹介してみよう。 記述があ

          平家もう一つの宝刀・抜丸とは

          刀剣男士・小烏丸はどの小烏丸?〜祖が子ども姿のワケ〜

          これまでnoteでは小烏丸に関係する逸話や来歴を取り上げてきた。 筆者は元々刀剣男士・小烏丸のオタクファンであるから、この話題を紹介できるまでになれて非常に嬉しく感じている。 以前、ツイッターにおいてこんな質問をフォロワーさんが投げていた。「なぜ小烏丸は子どもの姿なのだろう」と。 スマホ&PCブラウザゲームの刀剣乱舞ーONELINEーでは、「刀剣男士」というが故に男性という性別の括りがあれど(美少女や美女に見間違うほどの刀がいるが一応男性である)、少年・青年・壮年と取れる者

          刀剣男士・小烏丸はどの小烏丸?〜祖が子ども姿のワケ〜

          伝説の刀鍛冶「天国」とは?

          平家の宝刀、小烏丸を鍛えたという刀鍛冶「天国」。 7、8世紀ごろ、現在の奈良県宇陀市周辺で活躍していたと言われ「刀工の祖」や「銘を切った初の刀鍛冶」だとされる。しかし、伝説だけが強く残っており、銘も本人が切ったかどうか疑わしい。 このため、専門家も存在に首を傾げつつ彼の名前を挙げているに過ぎない。学問的にもあまり深掘りされることなく今日まで来ているが、この記事では諸説ある天国の逸話について、筆者が調べうる限りの情報をもとに推論を述べてゆく。 天国の足跡をたどるさて、天国の存

          伝説の刀鍛冶「天国」とは?

          【レポ】文楽人形の刀剣男士

          前回紹介した、国立文楽劇場「夏休み文楽特別公演」ではPCブラウザ&スマホアプリゲーム「刀剣乱舞ーONLINEー」とコラボし文楽人形として刀剣男士の「小烏丸」が制作・展示された。 実はこれより以前に、同じくコラボ文楽人形として「小狐丸」も制作されていたので、比較しつつその特徴と技巧を紹介しよう。ちなみに、2体とも演目では利用されない。つまり展示だけに利用されている人形だ。 国立文楽劇場で上演された紅葉狩の演目についてはこちら 文楽人形「小狐丸」最初にコラボの文楽人形として制

          【レポ】文楽人形の刀剣男士

          【レポ】国立文楽劇場/夏休み文楽特別公演

          先日の国立劇場「7月歌舞伎鑑賞教室」のレポート記事に続き、今回は国立文楽劇場で実施された「夏休み文楽特別公演」についての紹介を行う。 前回の記事はこちら 同じ「紅葉狩」の演目だが文楽特有の演出に変更、調整されて上演が行われている。比較した詳細と刀剣乱舞ONLINEとのコラボレーション情報については、以下の記事でまとめて述べているので、参考としてほしい。 さて、今回の夏休み文楽特別公演は3部形式となっており「第1部 親子劇場」「第2部 名作劇場」「第3部 サマーレイトショ

          【レポ】国立文楽劇場/夏休み文楽特別公演

          【レポ】国立劇場/7月歌舞伎鑑賞教室

          先日、以下の記事で「紅葉狩」という演目で描かれる小烏丸について、簡単ではあるがご紹介させてもらった。 とはいえ、東京・国立劇場で観劇した「7月歌舞伎鑑賞教室」の内容は、概要に触れるだけで、内容が薄いように思えてならないので、今回は”観劇レポート”として、どんな内容の公演だったのか詳細をご紹介しよう。 「刀剣乱舞とのコラボというのは知っていたけれど、生憎行けなかった」という人も、ぜひ読んで欲しい。 詳細を語っているが故に、長い記事になってしまったことはご容赦を…… 解説「歌

          【レポ】国立劇場/7月歌舞伎鑑賞教室

          「紅葉狩」における小烏丸

          歌舞伎や文楽においても、小烏丸は平家の名刀であり また不思議な力のある神剣としても描かれており、 江戸時代以降、広く民間にもその名が広まっていたことがわかる。 ここでは日本における伝統芸能の中で、 どのように描かれてきたのか紹介をしていこう。 能「紅葉狩」の概要、背景について 歌舞伎、文楽共に物語のベースになっているのはいずれも能における「紅葉狩」である。 主人公は平安時代中期の武将である平維茂。 ※維茂は小烏丸を朝廷から受け取った貞盛の養子 作品を産んだのは、室町時代の猿

          「紅葉狩」における小烏丸

          三振りの小烏丸

          「小烏丸」と調べると、真っ先に出てくるのは皇室の御物として残る小烏丸だろうと思う。平成10年に東京国立博物館でも展示されているため、そのイメージが最も強いのが事実だ。 だが、この1000年の間に同名の刀はなんと三振り(場合によっては四振)もあることをご存知だろうか。 後々、混乱をきたさないように予めここで整理して述べていきたい。 1、平家の小烏丸『平治物語』『源平盛衰記』『平家物語』といった古くからある軍記物によく登場するのが、平家の宝刀として伝わった小烏丸である。 ※源

          三振りの小烏丸