ETV特集『半藤一利「戦争」を解く』

点数は付けない。
純粋さが狂気を生む。熱狂が戦争を生む。ただ一筋に一意専心、皆が同じ方向を向き始めたら注意しなければならない。これは本当に大事な教訓であり、いつまでも語り継がれるべき言葉である。

森毅も「ファシストは澄んだ瞳で現れる」と言った。「全員が掃除の時間に真面目に掃除するクラスは怖い」とも。「正義と称するもの」から生まれる純粋さによる苦しみは、学校をはじめとする社会の至るところに、さまざまに形や規模を変えて現代も変わらず跋扈している。人間は愚かにも何度でも同じ過ちを繰り返すという事実は歴史が十分に証明しているが、それでも「どうせいじめはなくならないから」「どうせ戦争はなくならないから」は怠慢でヤケクソになって構わないという免罪符にはならないだろう。いじめがひとつでもなくなれば、戦争がひとつでもなくなれば、ただそれだけでも、多くの無用な苦しみや悲しみは世界から消える。

多様性が叫ばれ始めたこの時代に、その「多様性」が持つ真の意義をいまいちど確認したいと思った。もしかしたらこれは、パンドラの箱に残された最後の希望にすらなりうるのかもしれない。

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