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久々に手書きをしてみると面白いことを思い出す

先日、久しぶりにノートを買ってみた。
このブラットホームの note ではなく、紙でできたノートブックの方です。
理由は特にない。たまたま本屋に併設された雑貨スペースを覗いてみて、そういえば白紙のノートが一冊も家にないことを思い出し、とりあえず買っておこうと手に取ったまでだ。

ご存知の通り、僕が持っているノートはとても無駄使いされている。
最初の10ページくらいだけを使って、いや、ひどいものだと 3〜4ページ程度しか使っていないノートがいくつかある。
心機一転、なにかあるとノートを買うのだが、今はノートを使ってメモすることがほとんどなく、最初だけ使って、あとはデジタルデバイスに集約されてしまう。

いや、ノートさんほんとごめんなさい。

性懲りもなく、結局また新しいノートを買ったわけです。

ノートでも手帳でもいいけど、継続して自分の記録を取り続けられる人のことを本当に尊敬します。
定点観測ができるのって、いろんな意味で面白そうだなと思います。
ただ、僕はこの辺の長続きができた試しがないです…。

そういえば、新しいノートを買う時に、思い出したことがある。
僕が小学校の時の担任の先生のことだ。
その先生は武田先生というのだが、武田先生はいつもノートに情報をまとめていた。
もちろん、僕たち生徒に中身をあけっぴろげに見せてはくれなかったのと、小学生には読みにくい小さな手書きの文字だったので、内容の詳細はわからない。
ただ、授業の合間にこまめになにかをノートにメモする姿はよく覚えているし、いろんな書類を糊でぺたぺたはっていたので、日を追うごとにどんどん分厚くなっていくノートが、子供心になんだか憧れでした。

それと同時にもうひとつ思い出した。

武田先生は、とっても熱心な先生だったように記憶している。
教室には、オルガンの他に先生のフォークギターが常に置いてあって、よく先生のギターを伴奏にクラス全員で歌を歌っていた。

いま思うと、もうほとんど先生のテンションで歌の時間が始まっていたように思う。

算数の時間なのに、んーなんか天気悪いからとりあえず歌おう!
道徳の時間だけど、とりあえず歌おう!
みたいな。

しかも、月光仮面の歌とか、キングコングの歌とかも歌う。
完全に先生の子供時代のアレですよね。

それでも、僕にとっては強制される感じはまったくなかったし楽しかった。
声が小さいとか、音がずれているからやり直し、なんてことはまったくない。
歌わないからといって怒られた、もしくは怒られている人がいた記憶もまったくない。
というか、歌ってなかった人いないんじゃないかな。

しいていえば、歌っているとテンションがあがりすぎて、なんか気持ちいいから、もう一回頭から歌おうぜ!的なやり直しはあった。

ただ、自分の好きなように伴奏に合わせて歌ってるだけで良い時間。
そんな時間が僕は結構好きだったなぁ。

余談、その後入学した中学校では、なにかにつけて合唱をさせられる学校だったのだが、すげー高圧的に、声が出てないからやりなおし!とかさせられた。
声出るまでやるぞ!とかで終わりが見えない時間で、しかも同じ曲をずっと繰り返し「やらされる」超絶苦痛な時間だった。
合唱の響く学校とかがスローガンだったらしいが、知らんがなっていう気持ちでした。


実は一度だけ、高校生くらいの時に、武田先生のご自宅に電話をかけてみたことがある。
引越しのタイミングで色々整理していたところ、当時の連絡網が見つかり、そこに先生の自宅の電話番号が残っていたのだ。
そこで僕は、絶対覚えてないよなー、と思いつつ、ちょっとドキドキしながら電話をかけてみることにしたのだ。

電話口には、奥様が出られた。

僕は、突然申し訳ありません。何年か前に武田先生にお世話になっていたものです。かくかくしかじかで連絡をしました。武田先生はいらっしゃいますか?

あいにく先生は留守だった。

ただ、奥様から、実は僕が所属していたクラスの子からも最近連絡があったんですよ。と教えてもらった。
それを聞いて、先生が留守だったことはとっても残念だったのだが、体がじんわりと暖かくなったのを覚えている。
そして僕は、お礼とまた連絡をしますとだけ言って、電話を置いた。

その後、それから僕は武田先生には連絡をしていない。

もし先生がまったく覚えていなかったら、どんな話しをすればいいのか。
そんなことを考えてしまって、だんだんと月日がたち、そのうち連絡網がどこかにいってしまい、連絡先がわからなくなってしまったのだ。

時すでに遅し、僕には先生の連絡先を失ってしまっていました。

本屋さんに並んでいる、薄いノートを手に取ろうとした時、ふと

そういう大事なことは、すぐにノートにメモしておけば忘れないんだよ。

分厚いノートを抱えた先生に、また教えられた気がしました。

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