マガジンのカバー画像

つれづれつづり

149
それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。
運営しているクリエイター

#つれづれつづり030

ふっと手を差し出すような

20代でそこそこ遊んだ自分は、30歳を前にして「ちゃんと」付き合いたいと思い出す。「ちゃんと」ってなんだ。当時、周りには結婚して子供が生まれる友人が増えてきた。自分にはそれと同じことはできないけれど、似たようなことはできる。家族みたいなものが欲しかったんだと思う。 その「ちゃんと」を追いかけて恋愛をする。当時はmixiというSNSが全盛期で、日記を見に行ったり、足跡を残したりしていた。そこからひょんな事で一人の人と付き合うことになる。きっかけが出会い系でもないし、ハッテン場

からむ手/からませる手

高校時代、先輩に恋をしていた自分は叶わないことがわかっていた。 だからそれを恋だと思わないようにしていたんだろう。 熱く重い恋でしかなかったのに。 大学に入ってローンを組んで買ったパソコンがゲイの道を大きく切り開いてくれたといっても過言ではない。とはいえ意気地のない自分は、ネット上でやり取りはするものの実際に会うのに躊躇していた。当時の自分に言ってやりたい。何ビビってんだ。その真面目な仮面をかぶった臆病さが自分を滅ぼすことになるぞ、と。 「初めての相手は好きな人としたい。

手をつなぎたい

子供の頃、憧れていた恋愛の形があった。 子供の頃だから恋愛って何だとかなんてちっともわからなかったし、世の中には色んな恋愛の形があることも知らなかったし、その色んな形の中でも少数派に自分が当てはまるなんて思ってもみてなかったから、自分はその恋愛の形に憧れた。 その恋愛の形は、テレビでよく見る老夫婦だった。 軽快なメロディに乗せて若い男女が歌いながら楽しく踊る。それを見ている老夫婦が、影響されてリズムに乗りながらお互いを見つめ合ったり、手を取り合って踊る。 チャーミグリーンと