私の不妊治療2nd②「諦観の採卵術」

内膜炎の治療方法にはいくつかあり、
これを試してダメなら次、その次はこう…と最初に説明を受けましたが
私の場合は無事、抗菌薬2週間内服だけで治り、治療が終了しました。
ただ、それが分かるまでに2カ月かかりました。

“薬を飲み終えてから2週間後あたりの内膜が厚くなったタイミングで検査する”予定で
その2週間の間に生理が来て終わっているとの見込みだったのですが、
生理周期が不定期すぎる私、検査ができるはずだったタイミングと生理開始が完全にバッティング。
生理が来てしまえば当然内膜が薄いので検査できず…さらにGWとかぶってしまい、
やっと検査ができたのが内服終了から1カ月。そこから検査結果を聞くのにさらに2週間。

内服~完治の確認まで2カ月と…時間がかかり過ぎたように思いました。

 
しかし、内膜炎が終わってしまえばもう次は採卵。
検査結果を受け取った約1週間後に刺激スタートとなりました。

採卵は大体生理14日目辺り、と事前に説明を受けていましたが、これまでの採卵はD11(全滅)と、D17、D19…
普通より時間がかかるタイプなので、どうせ延期になるんだろうと考えていました。
しかし実際に自己注射をもらいに通院したのは2回だけ。実際に採卵日が生理14日目と決定したときは驚きました。
以前は3回も4回も通院してたけどな…全然違うんだな~…。

 

採卵②と採卵③の時は、朝一で病院に行って採卵するものの、病院を出るのは午後4時頃でした。
恐らくOHSS予防のため、点滴につながれ、意識が朦朧としている時間も短くなかったので、夫も休みを取ってずっと病室にいてくれました。

 

一方今回は付き添いの話もなければ、昼前には病院を出てもらうとのこと。え、そうなの?そんなすぐ歩ける??帰れるかなぁ…?という不安もありましたが、
実際ここのCLに通う人はみんなそうしているのだろうと、夫には「仕事休まなくていいよ」と伝えていました。

 

しかし採卵当日に事件は起こります。
採卵日は麻酔を使うため車の運転が禁止されているので、意気揚々とバスに乗り込み駅へ向かいました。
駅についてみると改札から駅のホームまで、いつもよりずっと人が多く、電光掲示板には赤い文字がずらり…
何やら大阪方面への電車が止まっている様子…へぇ~災難だなぁ…と思いながら自分は反対側のホームに降りたのですが、こちらでも駅員さんが忙しそうにマイクに向かって話しています。
踏切がどうの、ダイヤが大幅に乱れているだの…
それでもすぐに電車が来たので、目の前の電車に乗り込みました。

アナウンスを聞いていると、信号のため発車を見合わせているようでしたが、信号が青になれば発車するのだから、すぐ動くだろうと思っていたんです。
でも一向に動く気配がない…5分動かない時点で怪しいと思いました。

経験者のみなさんはご存知の通り、採卵日は薬で自然排卵を止めている状態。
排卵してしまえば採卵はキャンセルです。
自費診療の時に比べれば刺激に使った費用は端金ですが、今回はお腹がぱんぱんで吐き気もあり、苦しい日々が続きました。それが水の泡になるなんてやはり受け入れがたい。時間は有限。リミットは何時なんだろう…

一度ホームに出てCLに電話をかけましたが、10時からしか電話はつながらないという自動音声に繋がるだけ。詰んだ。
通じないと分かっていても何度も何度も電話をかけてしまいました。


CLでは車でも行ける距離なので、仕方がない、タクシーを使おう、と思い立ち、駅の外に出ました。
しかしいつもは何台ものタクシーが溜まっている乗り場にタクシーは1台もおらず、タクシーを待つ人の列ができていました。詰んだ。 

電車はいつ動くか分からない。
でもそこで立ち尽くしている間に電車が来たら元も子もない。
また電車に戻りました。既に半泣き状態。
その間絶えず夫にLINEを送っていました。夫は結局仕事を休んで家にいました。
ただのサボり(笑)なんて思っていましたが…

今から!車で!駅に来い!!!!!!

何ならもっと早くに呼び出しておけばよかったのですが、彼はあまり運転が好きではないので、
よしそれなら俺が連れて行ってやる!任せろ!という能動的な気概を期待できません。
八方塞がり、お前が動くんや!!!という状況でやっと動き出してくれました。

駅に着いた彼から運転席を奪い、CLに向かって制限速度ギリギリで爆走。
CL前で車を乗り捨て(夫に預け)、パンパンに張って重いお腹を抱えながらやっとの思いで受付へ。

結果的には30分程度の遅刻で済みましたが…
どんな戦場を超えてきたのか、はたまたバーゲンセールの激戦を経てラス1の特売品を持ちレジに馳せ参じたのか、というような迫真の表情だったと思います。

「今日!!採卵!!!なんですけど!!!!電車が!!!動かなくて!!!!!!!」

でも、受付の方はニッコリ。「大丈夫ですよ、すぐご案内しますね」
緊張が解けた瞬間でした。手術前なのに。(笑)

案の定電車が動かなかったことで他の患者さんも同様に遅れてきたそうです。
人によっては振替輸送で別路線を使ってきたとか。採卵当日に一番合ってほしくないこと……。

 御存知の通り私はPCOSで卵が沢山ある人間なので恐らくその観点から手術の順番は遅め。
到着してから40分ほど経ってやっと手術室に運ばれました。

 

手術中の記憶はありません。なんであんなにすぐ意識がなくなるんでしょう。
誰だったかいつだったか「麻酔に何秒抗えるか」と試した人の話を聞いたか見たかした気がする…
実際何秒覚えてられるんだろう。1,2,3,あ、もう無理おやすみ。

 

以前のCLでは手術室~個室まで車いす移動で、車いすに乗り降りする記憶は断片的にありました。
でも今回は起きたら手術前にいた先ほどのベッド。
私という巨体を女性ばかりのここのスタッフがこのベッドに移したの?
看護師さんて本当にパワフルだな~……なんて思っていたら腹部に激痛!!!
何これ何これ、私知らない、痛い、無理、ナースコールッッッ!!!握らされていたナースコールを連打しました。連打しても意味がないと知りながら連打しました。

「どうされましたか~」と看護師さん。
お腹が痛いです、と声に出すのも一苦労。その他の問いかけに対してろくに返事もできず過呼吸になっている私にすぐ座薬を入れてくれました。

「15分くらいで楽になるからね~」
15分!!??15分も耐えるの!!??嘘やろ!!??
とショックを受け余計に過呼吸になってしまい、だいぶ背中をさすられましたが、数分でだいぶ痛みは取れました。

 
改めて時計を見ましたが術後15分くらいでナースコールを押したそうです。もちろん痛みの原因は採卵で針を刺しまくったからです。
以前のCLではこの時間はまだ深い眠りの中。
痛み止めも点滴されていたのでこの激しい痛みを知らなかったんだと思います。
その後1時間くらい寝かせてもらいましたが、たったの1時間。
診察室行って、会計して、帰るように言われたのですが、割とまだ頭ふわふわくらくらするんですけど……。
その点前医、術後の痛み対策や安静の管理はちゃんとしてくれていたんだな~としみじみ感じました。

でもOHSSを経験しているので、思い返してみれば痛みの程度はOHSSと同じかそれ以下だったし、
OHSSは痛み止め飲んでも入れてもずっと痛かったので、やっぱりOHSSにならないのが一番だと思いました。

 

 

採卵結果、23個とれて2個が変性卵。21個をスプリットします、と。
ほうそんなもんか~という感想しか出てこなかったです。多くもなく少なくもなく。
採卵前の通院の際に、2段階にするかとかSEET法をするかとか、色々な説明・確認がありましたが、
そのたびに自分の受精結果はどうせ良くないから、という思いを吐露していました。
卑下しているわけではなく、事実としてそうだから。
ただ、もちろん先生からすれば、ここでの採卵受精培養は初めてなのだから結果は分からない、という前提で
受精率が70%程度あることや胚盤胞到達率が50%程度あることの説明をしてくれましたが、そう上手くはいかない、と覚悟できていました。
いい意味で諦めていたんだと思います。

 

翌週培養結果を聞きましたが、案の定胚盤胞は2つだけで低グレード。
顕微授精にも関わらず受精率は50%を大きく下回り多核受精胚が出る始末。
初めての試みといってもいい体外受精(ふりかけ)は全滅。

でもこの結果に私は納得できていました。そんなもんだと。

45個採って全部顕微授精をして胚盤胞が1つだった時のあの絶望から、私は強くなった。
逆に、先生や胚培養士の方の方が、ショックを受ける結果だったかもしれません。

 

それに、今回のこの結果は自分の予想通りだったことに加えて、
自費診療の時にはなかった特典が2つもあることが、私の心を支えてくれました。
★限度額万歳! 
 10個以上の顕微授精、培養…保険診療と言えども普通なら高額なところ、
 限度額を超えていたので0円!
 今年の限度額の算定基準になる去年の4-6月は私ほとんど働いておらず。 
 刺激開始~培養結果の説明まで6月中に終えたので、
 限度額を大きく超えました。
★医療保険万歳!
 採卵術、移植術だけでなく、体外受精・顕微授精の受精管理料や、
 培養管理料、凍結管理料まで対象だって!?
 先進医療特約もつけててタイムラプス培養や2段階移植も対象!?
 いくらか返ってくるなんて素敵すぎる。

保険診療になるとこんな感じになるんだ。
ガースーに精いっぱいのありがとうを送りたい。
自由診療VS保険診療の費用明細については移植後改めて記事にしたいですね。

 

初期胚を含めて3つの凍結卵が出来たので、次回は移植になります。
息子も2段階移植で授かった子。
2人目治療を初めて既に1回2段階移植試しているし…
2段階で行こうと考えています。

 

ここでも生理周期が遅すぎて、リセットタイミングが合わずお盆前までの移植が難しくなってしまいましたが、8月には卵を迎える予定です。

 

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