私の不妊治療⑩「逆転」

(この記事からほぼリアルタイム更新になります)

2/1 排卵有無の確認のための採血をした。
何もしなくてもなかなか排卵しない私、その心配はあんまり感じていなかった。
内膜は…7mm、ギリギリ移植が出来る厚さだった。

2/5の初期胚移植が決まった。


いざ初期胚移植の日、培養士さんが胚の説明をしてくれる。
2個解凍された前核期胚の内、1つが順調に育っていて2日目で4細胞。
これを移植しますとのこと。

もう片方の説明が無かったので聞いてみると、
実は多核胚でした、と。
「おいおい多核胚凍結してたんかい」と率直な感想を抱きながら
多核胚率が異常に高いという現実をまた目の当たりにすることになった。


移植胚がどんどん減っていく不安。
でも今日移植する卵は順調な卵だから、と信じるしかなかった。


3日後には胚盤胞を移植。
この時は培養士ではなく院長が説明に来た。
今回移植する胚盤胞は5日目G2。グレードを付けられるほどの胚ではない。
もう一つ6日目胚盤胞3CBがあるけれど、今回は日数を優先しました、と。

この胚盤胞2つは、HCGを使って重度OHSSになる程身体に鞭打った時の採卵の結果。
G2が何なのかそれまでよく分かっていなかったけれど、
たったの2つの胚盤胞でグレードがそれじゃぁ、あんまりよくなかったんじゃないか、と思わずにはいられなかった。


でも、その日の私のお腹の中には、順調に成長していた初期胚がいる。
何より二段階は普通より妊娠率が高いはずだ、大丈夫だと信じないと。


最初の移植の時もそうだったけれど、移植後はなんだか移植したことを忘れる。
自転車乗ったりしてないか、バイクに乗ったりしてないか、ふとドキッとすることがある。
(乗ってないし、何なら今のクリニックでは別に禁止されていない)

でもふとフライングの日付を考えた時、ドキドキが止まらなくなった。
明日がBT6だ、やってみよう、と思った日だった。


BT6、世の中はバレンタイン。
いつもならディナーでも、というところだけれど、夜20時までしか飲食店がやっていないこのご時世(コロナ禍)、
バレンタインのプレゼントを兼ねて、コメダ珈琲店の期間限定ケーキを食べに行く予定を立てていた。
出かける前に妊娠検査薬を使ってみた。

結果は陰性だった。

涙も出ず、そのまま出かけた。期待できていなかった。やっぱり無理だと思ってたんだ。

昼間は普通に過ごしたけれど、夜全く寝付けなかった。
この先どうすればいいんだろう。残された移植は1回だけ。
また採卵するのか。どのクリニックで?
300万円超えてしまう、採卵しようものなら450万円に到達してしまう。
いつまで続くんだろう、もう二度と取り戻せない時間とお金、十分費やしたんじゃなかったのか。

翌日の夜も翌々日の夜も、考えることは変わらなかった。
でも覚悟を決めないといけない。


前に進む以外に、希望を得られる術はないのだから。


でもフォロワーさんの一人によると、BT7陰性、BT8で逆転陽性だった人がいると聞いて、
一握りの望みを持っていた。
BT10は在宅勤務日。最後にフライングしてみよう。

そう思って挑んだ。
でも陽性が出ることを心から信じていたわけでは無く、「ドゥーテストってホントに陽性出ることあるの!?」なんて呟くことになるだろうなと考えながら
採尿した後の検査薬を床に置いていた。


目を疑った。
何だかいつも線が出ないところに線があるように見える。
ぼんやりとした線がどんどん輪郭をもって、くっきりとした二本線になっていった。


先日自分のnote記事を見返していて、
「陽性が出ても泣いて喜ぶんだろう」と書いていたのを読み、
「陽性ったってその先がどうなるか分からないんだから、手放しで喜べるわけないじゃないか。
もっと冷静になっているんじゃないだろうか」と考えていた。

でも違った。
冷静になるも何も考える余裕がなく、涙が溢れ、トイレを飛び出てスマホを握るとその場でペタンと崩れ落ちてしまった。
写真を撮って出社したばかりの夫に送った。
何と言えばいいのか分からない。
まだ分からない、まだ分からないんだぞ自分!!!!
冷静になれと思うのに、本当に涙が止まらなかった。

今までの自分が一度もたどり着けなかったところ。
けれどそこに到達することは不可能なことではない、とにかくそれが分かった。

明後日が病院での判定日。
その先もまだまだ乗り越えるべき壁がたくさんある。
冷静に冷静に。
着実にこの一歩を、信じよう。


次回「悪阻と仕事」

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