不妊治療カミングアウト
まだ出産に至ってないんですが、離れていたSNSで不妊治療をカミングアウトしました。
基本noteで語ったことなので、表現被ってますが、一応転載。
お久しぶりです。
しばらくとある治療のためSNSから離れていたのですが、
一応治療を終えたので帰ってきました。
私の復活を心待ちにしていた人なんぞいないとは思うけれど、ただいま。
いやー…長かったです。
:
通院期間:676日
治療費総額:¥2,828,790
飲んだ薬の数:2000錠以上(数えるの諦めた
刺した針の数:180回くらい
今までの人生の中で間違いなく、精神的にも、身体的にも、一番キツイ地獄の日々でした。
超高額治療!!(自由診療)
しかも原因不明!!!!
何の治療か分かりますか?
:
:
不妊治療です。
私が地獄の体験談を語っても…みんなが体験するわけではないので、100%の共感理解を得られるわけじゃないけど。
2022年から不妊治療保険適用化の話が挙がり、
今まで注目されることのなかった話題が社会、世間の目にとまるようになってきた中で、
どうしても、無理解からくる偏見や誹謗中傷に晒されてしまうことがある。
私自身傷ついたし、今もなお毎日泣きながら地獄を歩き続けている人がいるわけで、
こういう現実があることを知って欲しいなと思って。
興味がある人だけで十分なので、長文駄文だけど読んでもらえれば。
:
:
私が入籍したのは2018年2月、結婚式、ハネムーンを経て、子供を望み始めたのはちょうど30歳になった2018年末くらい。
みんな、子供を望む夫婦なら半年の内に6割が自然妊娠するって知っていますか?
1年も経てば、9割。
何の努力もなく、お金も一切かけず、ごく自然に起こるイベント。
自分にもそれがすぐ訪れるものだと、思ってた。
でも来なかった。
待てど暮らせど生理不順の私は不定期な生理が30-50日のサイクルで訪れるだけ。
2年間…色々検査をしたけれど、結局のところ私の不妊の原因は最後まで分からなかった。
:
:
2020年10月、テレビ番組でデヴィ夫人が「不妊症の原因の9割は堕胎」などと発言して一部の界隈で大炎上しました。
そもそも夫人は不妊症の定義を知っているのかも怪しい。中絶って、まず妊娠が成立してること前提じゃないか。
妊娠しても出産出来ない、に限らず、そもそも‟卵子や精子が無い”、“受精しない”、“受精しても着床しない”ことで苦しむ人が多いのに、
どうやって中絶に至るというのか。
もちろん何の根拠もない暴論だったから炎上したわけだけど、中には鵜呑みにしてしまうくらい同レベルで理解の無い人もたくさんいるわけだ。
自然妊娠が難しくなる年齢まで放っておいたのが悪い、とか、今までの性生活の問題だ、とか、
ありもしない偏見に晒されている間、「これが社会的弱者の気持ちか」と実感したもの。
治療の原因も苦しみも知らない外野から、何度も石を投げつけられるかのような。
:
:
『不妊治療は辛いもの』
それは誰でも聞いたことがあるんじゃないだろうか。
でも実際何が辛いかって知ってる人は多分、当事者とその身近な人たちだけ。
不妊治療には4つの負担があると言われてる。
・身体的負担
・時間的負担
・金銭的負担
・精神的負担
想像、できるかな?
自分的に軽かったものから語りたい。まずは身体的負担。
といっても普通に健康な生活を送っていれば、これを軽いというのは無理がある。
だって私は副作用で10日間入院し、お腹と肺に水が溜まって体重8kgUP、酸素値が下がって警告音が鳴り、呼吸困難から酸素吸入までされた。
これは不妊治療の副作用の中でも「重症」と位置付けられるものだった。
一般的に不妊治療の身体的負担というのにこの副作用は含まれていなくて、メインはホルモン治療だと思う。
一応不妊治療には段階があって、
・タイミング治療/排卵誘発治療
・人工授精
・体外受精
・顕微授精
となる。
タイミング治療や人工授精の段階ではホルモン治療もそんなに多くはない。
体外受精と顕微授精では、まず卵巣を刺激して、普通なら1か月に1個しか排卵されないはずの卵子を卵巣内で人工的に大量生産する。
このために2週間ほど毎日お腹にホルモン注射を打つ。もしくは薬を飲む。またはその両方。
大量生産した卵子でぱんぱんになった卵巣に針を刺して卵子を取り出す手術を「採卵手術」というけれど、
この手術の前に自然排卵してしまってはいけないので、排卵抑制の薬も打つ。
身体が自然に作らないホルモンを人工的に入れまくることで当たり前に体調崩す。何十個もの卵子が生産された卵巣腫れあがる。痛い。
体重増減もえげつない。自分の平時の体重がもはや分からなくなる。そして吐く。
どんなに苦しい状況になっても5日間に1回くらいは病院に通って内診台に上がる。脚をぱかーんと開ける椅子。
毎回採血してホルモン値を見張られる。
そして採卵手術当日は全身麻酔で1時間ほどの間に何十回と卵巣に針を刺される。
麻酔切れたらやっぱり卵巣が痛む。
その後副作用を発症したら、私のように卵巣(平時5cmくらい)が14cmまで腫れあがって、
卵巣の血管から腹腔内、そして肺へと水分が露出し、血管内脱水→血栓症、脳梗塞、卵巣破裂、卵巣捻転の危険性が出て入院になる。
我が家の場合男性不妊はないので詳しく語れないけれど、実際のところ男性不妊だった場合は男性も手術が必要だったりする。
まぁ普通は経験しなくて済むこと。出来ればわざわざ経験したくないよね。
「下手すれば命を落とす」と説明を受けたこの副作用。
妊娠というスタートラインに立つ前の段階で命がけ宣告。普通に泣いた。生きててよかった。
(※ちなみに私は副作用リスク高めのホルモン値だった。生まれつきのものなのでどうしようもない。)
注射も入院も通院も辛かったけど、何気に治療を終える間近の周期の「1日11錠飲み薬+膣錠+貼り薬生活」も結構きつかった。
薬苦手になりました。
:
:
次は時間的負担。
治療に割かれる時間の問題です。
身体の生理的サイクルに合わせて治療を受けるので、好きな時に行って、好きな時に手術して、、、ってことがまず出来ない。
「生理が来たら3日目までに診察に来てね!」と言われるのだけど、
生理開始日が超正確に分かる人って多分そこまで多くない。。。
結局のところ、職場に対し「明日休みます!!!」って直前に言わないといけなくなる。肩身の狭い事よ。
しかも、不妊治療専門のクリニックって都会には多いけど田舎にはほとんどなく、通院にも時間がかかる。
理解のある職場だったらいいかもしれないけど、自分がなったとして、言えますか?
「不妊治療の為休ませてください」って。
一度や二度の通院で治るような病気なら良いかもしれないよ。もしくは通院すれば「確実に治る」病気なら言えるかもしれない。
でも、2年3年続けても、なんの成果も得られないかもしれない。
そもそも不妊治療が必要な人間は動物的にポンコツだと思われるかもしれない。
身体が普通だったなら不要な治療、その劣等感。さらに通院することで人に迷惑をかけ続ける。
そうして不妊治療を受ける女性は、4人に1人が退職を選ぶ。
(※男性不妊が原因だとしても、原則病院に通い続けるのは女性)
ちなみに私は1か月にMAX8回休みました。入院は別で。
診察してホルモン値チェック、注射もらう→毎日お腹に自分で注射する→診察してホルモン値チェック を繰り返し、
さぁいよいよ採卵だね!となり採卵手術。採卵後は身体の経過チェック及び培養やら凍結の確認等。
なかなか卵子育たない勢は採卵までの期間が長いんだ。
:
:
そして金銭的負担。
メディアで大きく取り上げられているポイント。
去年までは体外受精は「20-30万円」と紹介されていることが多かった。
これは、20年以上前の調査に基づいたものだった。
そして去年の秋に最新の調査が始まった。
その結果、体外受精は大体50万円と改められた。
(°Д° )ハァ?
私、体外受精、一周期、120万円近くかかりましたけど。。。
そう、これもまた、現実とは程遠い調査結果なのです。
この調査結果って病院側に取ってるアンケートに基づくもの。
病院は高く提示したら患者が来なくなるので極力安く提示したい。
だから「料金が最も安くなるパターン」で提示するわけだ。
「ホルモン剤?使いません!身体が自然に作るホルモンで乗り切ろう!」
「採卵個数?大体5個くらいかな!?」
「凍結?しません!新鮮胚移植のみ!」
とお金がかからないパターンを組み合わせれば50万くらいになるでしょうね。
結局ね、70-80万円はかかるんですよ。
その中で私が100万円オーバーなのは私の体質と原因不明の受精障害が理由なんだけどね。
ざっと高額な治療費の話してるけど、これ自費診療ですからね。
体外受精顕微授精は保険効かないので。
採卵手術80万円だったら、何の値引きもなく、普通に楽天カードの口座から80万円引き落とされる。
移植が40万円だったらそのまま40万円引き落とされる。
これ、平気な人いる?
100万円払って元気な赤ちゃんが生まれる保証があるならまだ良い。
実際のところ、100万円払おうが200万円払おうが、妊娠せず全滅する人は、いる。
結果が付いてこないのに、毎月大金が消えていく。
もし自然妊娠できていたなら、家族旅行に何回行けたことか、子供にどれだけのことをしてあげられたか、と思わずにはいられない。
:
:
最後に精神的負担。
本当にね、もうね、不妊治療をしている人の半数以上が鬱って調査結果が出てるからね。
それはもう、死にたくもなるもんですよ。
なぜ自分の身体は普通じゃない?
なぜ本来当たり前に出来るはずの事が出来ない?治らない?
自分が何をした?…これは何の罰?
自問の繰り返し。
:
私にとって不妊治療は人生で初めての挫折だったように思う。
努力しても、我慢してもどうにもならない。
いつ報われるのか、報われる日がいずれ来るのかさえ、全くわからない。
結婚すれば、妊娠して子供をもち、母になる日なんて自然にくると思っていたのに。
幼い頃から、いつか母になり子供と色んな場所に足を運び、共にかけがえのない体験をする、それが自分の人生だと信じて止まなかったのに。
不妊治療をしないと子供を持てないと知った時、子供を授かるために時間もお金も無限に捧げないといけないと思い知った時、
自分の未来が思い描けなくなった。
母になれない自分の未来って、何?
突然自分の人生が絶たれた気がした。
この先私は自分の子供を抱けず、親戚友人の子供の成長を見て妬み続けるだけの人生なのか?
自分には得られない幸せを持っている人たちに囲まれて生きないといけないのか?
妬むだけの人生。望まない人生。
…死んだほうがマシだ。
本気で考えた。
本気で考えたから、不妊治療を止められなかった。
:
治療の成果が出ない間にも
同じ時期に結婚した後輩が第二子を授かり、同僚に祝福されるところを目にする。
結婚したばかりの友人が第一子を授かったと話を聞く。
比べずにはいられない。自分の人生と。
あぁもう私は彼女たちとは肩を並べて歩けないんだ。
人生が、生きている世界が、違い過ぎる。
何百万というお金を払って、仕事を休んで治療に行く。
何度も何度も自分に針を刺す。
彼女たちが払っていない努力、時間。
私はこれだけ費やしても、子供を授かれない。
自分が変わって行く。
友達の妊娠出産を喜べない自分が醜いと思うし、嫌いだ。
どうしてこんな人生を歩まないといけなくなったんだろう。
どうして、どうして。
知人の妊娠の話を聞いて泣き
生理が来て泣き
手術の結果を聞いて泣き
着床しなかったり、流産して命を失って泣き
将来に絶望して泣く。
これが、私たちの精神的負担。
:
不妊治療で一番泣いたのは、最初の体外受精で全滅した時。
私採卵手術半年で3回やったんだけどね。(※異常)
初めて体外受精に挑む時の覚悟って結構重かったよ。
命がけって言われたし。
まさか自分が体外受精をしないと子供を望めないなんて、と思う気持ちがなくならず、
現実をなかなか受け入れられなくて、それでも大金叩いて体外受精に進めばきっと解決する、と思ったもんだった。
でも結果はどうか?
大量にモニターに映っていたハズの卵子はほとんど採れず、たった4つ採れた卵子も全部受精しなかった。
原因は分からないって言われた。あなたの機能の何かが異常だって言われただけだった。治療費20万円水の泡。
体調不良以外何も残らなかった。
リアルに3日間泣いた。
2回目の採卵は転院先でね、45個採れたの。これ年齢平均の5倍くらい。
PCOSっていう疾患があってね、まぁこれは結構ありふれた疾患だけど、
PCOSの人は基本たくさん採れるのです。
で、前回原因不明の受精障害って言われてたから、30万円多く払って全部顕微授精にしてもらった。
普通の受精率は70%くらい。一方私の受精率は、29%。
普通の胚盤胞到達率は、50%くらい。一方私の到達率は、9%。
また泣いたよね。
この世界はなんて無慈悲なんだと世界に対して腹も立った。
顕微授精しても受精率と胚盤胞到達率が異常に低い、低すぎる。
間違いなくその病院の実績を大きく下げた例だった。
でも採卵個数やら顕微授精数は平均の5倍なので、そこの料金が平均の5倍。
かかる金額に対して受精培養結果が全く追い付いてなかった。
3回目の採卵でやり方を少し変えて無茶をしたら副作用で入院になった。
しかも結果は大して良くならなかった。
半年で3回の採卵が異常って書いたのは、私の年齢なら、1回の採卵で十分に受精卵を凍結出来て、
あとは移植を繰り返すだけっていう段階になるのね。
30代前半でここまで受精しない&胚盤胞にならない患者は大変珍しい。
しかも原因になりうる抗体の検査しても陰性だから本当に原因不明でね。
そんな珍しい大賞いらないよ。
:
これが不妊治療の現実だ。
私の不妊は自分が招いたものだった?年齢だった?
気持ちの問題でどうにかなるもの?
‟諦めたときに妊娠する”説が通用すると思う?卵子に直接精子注入しても受精しないのに?
子供は空から両親を選んでくるって?、何それ私DV家族より価値ない人間なの?
養子で良いって?そう思うなら自分がとればいいんじゃない?私に関係ある?
子供は産んでからが大変?、不妊治療患者も卒業すれば経験することでしょ、患者に言う意味ある?
不妊治療費も出せない人に子供を育てられない?、勉強してから出直しな
不妊治療自体の辛さに加えて、周りの無理解が刺さる。
不妊は遺伝によるものではない。
もし自分の家族が、子供が、不妊症だったらどう思うんだろう。
そんなことも何度も考えさせられる。
:
:
それでもまぁ私がここにこれを綴っているということで、私は不妊治療を卒業したんです。
‟順調にいけば”秋に赤ちゃんの顔を見られるでしょう。
普通ならもう脳内お花畑で手放しで喜べる頃なのかもしれない、
なんなら安定期前から周りに言いまくる人もいるみたいだけど、
妊娠に至るまでのハードルが高すぎて、”次はない”という気持ちが強い不妊治療卒業生たちは、
実際に元気な子供に会うまで不安を拭うことは出来ないという。
でも一方マタニティブルーとも無縁だ。
未だ人の形をしていなかった受精卵の頃から、愛しい我が子を見守っているよ。
あとは体調に気を付けつつ、我が子をこの手に抱けるその日をひたすらに待つよ。どうか無事でいて。
:
年齢の割になかなかハードな治療歴を持ってしまったので、未だ患者仲間から色々聞かれることが多い。
産婦人科、特に不妊治療専門の医者って、善良な人だけではなくてさ、
最近話題ので行くと「緊急避妊薬を薬局で購入できるようにするの反対!」っていうわけ分からんおっさんたちがいたりさ。
首相と何回も会ってる杉〇医師みたいに「男女産み分け」という怪しげなオプションで荒稼ぎしてる医師も結構いるのね。
不妊治療が保険適用になれば、何のエビデンスもないのに患者の心の隙間に付け込んで追加してきたオプションが付けられなくなって
病院側の利益が下がるということで、意外と保険適用に反対しやがる医師がいる。
そんな医師に騙されないように、不妊治療患者って恐ろしいくらい「不妊症」に対して知識を付けてしまう。
医者を全面的に頼れないなんて、世知辛い世の中だ。
そういう闇があることも、もっと社会的に認知されて欲しいなと思う。
社会の理解は、患者のメンタルの負担を軽減させると思うから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?