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【第9回 ぬのっと えほん6ページめ】

ぬのっと えほん 6ページめ

前の駅のコーヒーショップで、目の覚める美味しいコーヒーを飲ませてもらい、シャキッとしたヌノット。

気持ちは高揚しています!

目の前に座るマダム2人が、何やら世間話…

『そうなの!隣町にたくさん出るらしいわよぉ~』
『まぁ!触らぬ神に…かしらねぇ~?』

ヌノットは盗み聞きは良くないなぁ、と思いながらも、その話に興味が湧きました。

『あなたもお気をつけなさいよぉ~?』
『そうねぇ、何でもニコニコ近付いてくるとか?』

マダムたちの会話に耳をそばだてていると、

『次の停車駅は~ かんざき~ 間もなく~ かんざき~ (Twitter ; MKanzaki794613)』

駅に着き、改札を出たヌノットは、
すぐにマダムたちの言っていたことが理解出来ました。

街をゆく人々の近くに、ふわふわと浮遊する、何か!

しかも、結構な数!

ニコニコ浮かんでいるソレに、人々が吸い寄せられていくと…

『あっ!!』

ある者は派手に転倒し、
ある者は帽子が風に飛ばされ、
ある者は ささくれが剥けました。

あちゃ~とヌノットが目を背けて、
顔を戻すと、
目の前に例のソレが!!!

『ボク ちびでび。オマエ ニンゲン?』

どうやら目の前のソレが、頭の中に話し掛けてきている様子。

『ヌノットは人間ではないよ。布製のロボット!』
『君?ちびでび?が悪さをしているの?』
と、ヌノット。

『ワルサ、チガウヨ。ボクラ ニンゲンノ タマシイ タベテ ツヨクナル』
『ニンゲン スキクナイ』
と、ちびでび。

ニコニコと無邪気に(カタコトで)語る ちびでびを見つめながら、
ヌノットはこの旅での出逢いを思い出していました。

『人間、悪くないよ、ちびでび。』
『ニンゲン スキクナイ。タマシイ タベタイ。』

この旅で触れた人間の温かさや、思い出を力説するヌノットでしたが

『ニンゲン スキクナイ。タマシイデ ツヨクナル。』

そうか…わかり合うって難しいなぁ。

はたと思い付き、自分のスマホのイヤホンを ちびでびの片耳(と思われる場所)にそっと嵌めてみます。

『お気に入りの音楽があるんだ。これは人間が作った曲。素敵だから聴いてみて!』

ヌノットお気に入りの曲を再生します…。

ゆったりとした時間が流れます…
ちびでびは何も語りかけてこず、黙って音楽に耳を傾けているようです。

4:50秒

特徴的なピアノのアウトロが鳴り止むと、
ちびでびは そっとイヤホンから離れていきました。

去り際…頭の中に『……アリガト』と聴こえた気がしました。

その後、ヌノットは街を探索し、駅に戻ってきました。

そこには電車でご一緒したマダムたち。
『例の脅威を 魔界へ送り返す人が現れたらしいわよ!』
『これで、一安心かしらねぇ~』

ヌノットは、大好きな音楽のパワーを少しだけ再確認して、次へと向かいます。

7ページめへ 続く。

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