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下界での「最後の晩餐」

つい先日、山小屋への入山日が決まりました。
ちょうど1か月というところでしょうか。

この時期になると、いよいよ山での生活が現実味を帯びてきます。
「山に何を持って行こうか」「下界でやり残していることはないか」とか、そんなことを考える時期になってきました。

その中で考えることの一つが入山前日の「最後の晩餐」です。(ちょっと気が早いですけど)


タイトルがかなり物騒ですが、

一度山小屋に入ってしまうと休暇がくるまで山から降りることができません。

入職時期にもよりますが、どんなに短くても1カ月、人によっては2~3カ月は山の中です。
昨年はコロナの影響で休暇中に下山できなかったので、さらに長い期間山小屋での生活を余儀なくされる人もいました。
そのため「下界で最後に何を食べるのか」というのは非常に重要な問題です。


ヘリコプターで食糧を上げる都合上、スーパーの仕入れのようになんでも仕入れるわけにはいきません。
基本的にはお客様の食事に使う食材がメインとなり、+αでスタッフが食べる食材が少し上がってきます。根菜類などは日持ちするので客食で使わなくても豊富に上がってくる一方、日持ちのしない食材はあまり上がってきません。

代表的なものは生魚。冷凍したものなら大丈夫なのですが、私の小屋では上がってきません。そのため最後の晩餐に寿司を食べる、というのがまず第一案。
入山前や休暇最終日に回転ずしに行ってきた、というのはよく聞きますし、北アルプスですと近くに富山県があるので、富山のいいところの寿司やで食べてきた、という方も時々います。

続いて「パン」。山小屋によってはパンを焼いて販売している小屋もあるのですが、私の小屋ではそういった設備はないので、食べる機会は滅多になくなります。日持ちのする「コモパン」は売店でも販売するので上がってきますが、ベーカリーで売っているような焼きたてのパンはありません。
山小屋においての主食はほぼ米のため、パンが恋しくなります。
時折常連のガイドさんや過去に働いていた山小屋のOBOGが差し入れで持ってきてくれることがあり、それはもう我々にとってはご馳走です。

あとはマクドナルドやケンタッキーなどのファーストフードも「晩餐」と言うには相応しくなさそうですが、食べておきたいものです。

ポテトもチキンも作れなくはないのですが、あの味を再現するのは山小屋では不可能ですし、時折無性にジャンキーなものが食べたくなる時があるのです。


他にも豆腐やフルーツ、牛肉など上げればキリがないほど山では食べられない食材があります。

まだ気が早いのですが、今から最後の晩餐は何にしようか、ということを真剣に考え始めている最近です。

つの

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