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山開き

先日、秋田県の最高峰秋田駒ヶ岳に登ってきました。

私が最近不思議とよく出会う秋田県出身の方々から
「登山はしないけど、秋田駒ヶ岳だけは登ったことがあるよ」

と言われるほど、地元に根付いた山のようです。

秋田駒ヶ岳は途中の8合目まで車道が続いていますが、冬季は雪のため通行止めとなります。
この通行止めが解除されるのが6月1日で、
この日が「山開き」とされています。

例年は大々的にイベントが行われるようですが、今年はコロナのため「神事のみ」ということでした。
一般向けには開催時間も不明だったのですが、
ちょうど朝一番に登頂して下りてきた時に行われていました。

登山道の入口の目の前に神棚があって、神主さん?がいて。

ちょうどお祈りしていたところに下りてきてしまったので
まぁ気まずいことに…
別に開山前に登っても悪いことではないんですけどね。


それはさておき、
秋田駒ヶ岳に限らず、全国の山々で山開きの祭や式典が行われています。
主な目的としては登山者の安全祈願が目的です。

今年はコロナの影響で大々的に行われるところは無いと思いますが、それでも秋田駒ケ岳のように神事だけ行うところも多いのではないでしょうか。

大きなイベントはしないけれども神事だけは行うという部分が日本らしいと言いますか、日本の山における大きな特徴だと思っています。

これが秋田駒ケ岳など一部の山に限らず、各地方を代表するような山だと大抵行われています。


ここで私が過去に参加したことのある山開きを2つ紹介したいと思います。

上高地(長野) 上高地開山祭

北アルプスの玄関口、上高地。穂高岳を臨む河童橋の前で毎年4月27日に行われています。参加した年は会社に希望休を出して上高地のホテルに前泊して参加してきました。

内容としては穂高神社の方のお祈りがあり、来賓の方のお言葉があり、アルプホルンの演奏があり、といったものです。

参加者には北アルプス南部地域の山小屋のオーナーさんたちや救助隊の方々など、写真で一度は見たことがある有名人(山業界では) ばかりで感動したのを覚えています。


大雪山 旭岳(北海道) 旭岳 山のまつり ヌプリコロカムイノミ



北海道の最高峰、大雪山の山開きで「ヌプリコロカムイノミ」というのは「山の神に祈る」ことを意味します。

登山者の安全を祈願するイベントであるのは他の山と同じですが、
アイヌの伝統儀式や民族舞踊が行われる点で雰囲気は本州の山開きとは大きく異なります。写真の焚火も大変迫力がのありました。

この時はたまたま会社で連休をもらえたので北海道に渡ったのですが、山開きがあるのは知らず、参加できて非常にラッキーでした。


山開きは山の神様に対して登山の安全を祈願すること、そしてコロナであってもその神事は行う、ということから日本人の山に対する思いが垣間見える行事です。また山に対して祈ることが、文化の異なるアイヌにも共通している部分が非常に興味深いと思っています。

私は特定の信仰は持っていないと自負していますが、やはり山に対しては何か神聖なものとして敬意を払っていて、山開きという行事はその思いと向き合える時間でもあります。


今年も安全に登山、山小屋運営ができますように


山のシーズンの幕開けはいつもそんなことを思います。


つの

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