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発達障害が思わぬプラスに働いたこと


発達障害を抱えて29年も生きていると、健常とは違う性質が思わぬプラスに働くことや、発達障害でお得をすることが稀に起こります。

今週は発達障害啓発週間。

せっかくなので、今までに起こった、発達障害が思わぬプラスになった出来事をゆるく書き出してみたいと思います。




 *  *  *




これを読む人にお願いしたいことがあります。

「発達障害を強みにしている人もいるんだよ」
「障害は個性。ポジティブにいこう」

などと当事者に障害受容を強いることは絶対にしないでほしい。



障害受容はそう簡単にできるものではありません。
人それぞれのペースもあります。

「障害を受容しない自由」だってあります。


私自身、障害を受容できているかって言われるとそうではありません。

「障害は神様がくれたギフト」なんて言説は反吐が出るほど嫌いです。

障害はないに越したことないのです。



今の私に「あっけらかんと発達障害を公言している」印象があるとしたら、それはたくさんの葛藤や苦悩を経てきたからです。子供の頃からトライアンドエラーを繰り返し、劣等感や疎外感を抱えながら血を吐くような努力をして社会適応してきたからです。




 *  *  *




前置きが長くなりました。

当事者だって影ばかり見ているのは悲しい、たまには光の部分に目を向けたくなるときもあります。

そんなこんなで発達障害が思わぬプラスに働いたことをゆるく書き出していきます。









・ 知らん間にステキな評判が立っていた〜昼職編〜


私は電話が苦手です。

聴覚過敏のため電話機特有のジャリっとした音の感触が不快なこと、聴覚的把持力(耳から拾った情報を頭に一時的にとどめておく力)が弱いことが関係しています。

何度も聞き返したり、ミスのないよう内容を都度都度と復唱したり、メモするために話を頻繁に中断したりと、私の電話対応にはとんでもない手間がかかります。


私は普段、障害者雇用枠で勤め人をしています。
職場は、広大な敷地に複数の建物がまたがっている大きな組織です。

違う階や、違う建物に用事があるとき、普通の人だったら電話をかけるところを、私は「対面で話したほうが早い」ということで、なるべく直接会いに行っていました。

敷地内をよく歩いていると、来訪者に声をかけられる頻度も増えるので、色んな部署に来訪者をしょっちゅう繋いでいました。


そんな働き方をしていると・・・


いつのまにか、「◯◯さん(私の苗字)はフットワークが軽い」というステキな評判が立っていました(笑)





・ 知らん間にステキな評判が立っていた〜夜職編〜


私は19歳から25歳までのおよそ6年半、夜の世界でお世話になりました。

様々な営業形態の性風俗を渡り歩いてきて、自分に一番合っていて長く続けられたのは「性感マッサージ」という業種でした。

性感マッサージではお客さんが完全に受け身になります。
そうしたことから他の風俗に比べると、女性にリードされたいお客さんや、性格的にも控えめなお客さんが多い傾向にあります。


私は発達障害に合併するAPD(聴覚情報処理障害)の影響で、聞き取りが弱く、とくに男性の低音域の声は、あまり得意ではありません。

接客中、会話が聞き辛くて「んー?なになに」とお客さんに自然とピタッと密着することが多かったのですが、それを「積極的にグイグイ来てくれる」「恋人感があってよい」と捉えていただけることが度々ありました。

私としては無意識だったのですが、結果お客さんをハッピーにできていたようで良かったです(笑)





・ 美容院代が浮きまくる


私は聴覚過敏のため美容院が大の苦手です。
店内のBGM、会話の声、シャワーやドライヤーの音と、美容院はとにかく音が多く、私にはとても疲れます。

美容院嫌いすぎるために、ここ10年はほとんど自宅でセルフで切っています。

発達障害なのに、いや、発達障害ゆえに、セルフカットの腕だけは妙に「発達」していきました(笑)

髪型はいつもショートボブなので、2ヶ月に1回切るとして、カット3000円としたら、一年で18000円も浮きます。
10年で考えたら18万円もの大節約ができました。





・ 見えないものを見ようとしてくれる優しさを知った

発達障害に生まれたことで、見えないものを見ようとしてくれる優しさを知りました。

手を差し伸べてくれる優しさ、寄り添ってくれる優しさ、前を向かせてくれる優しさ・・・
優しさには色んな形があります。

発達障害という見えない障害とともに生きてきた私には、色んな優しさの中でも、見えないものを見ようとしてくれる優しさに救われることが多かったし、気づくことができて良かったなと思っています。




・ 濃ゆい人々と会える


私は発達障害者のコミュニティによく出入りしています。
そこには、平凡に生きていたら出会わなかったであろう濃ゆい方々がいました。

発達障害の特性は、その人のキャラクターを味のあるものにし、それが非凡な魅力として光ることがあります。

言動がユニークでずっと眺めていても飽きなかったり。発想豊かで斬新なアイディアを活かして創造性を発揮していたり。世俗に染まっておらずどこか謎めいたオーラを持っていたり。

これらは私が発達障害の人々に感じてきた魅力です。


また、生きづらさの中を生き抜いてきた発達障害者は面構えが違います。
年齢以上の老成を得ている人も多く、話す言葉に深みがあると感じることも多くありました。







 最後に


私たちは発達障害である前に人間です。
人ぞれぞれ異なる色を持っています。

生まれ持った気質に、後天的な経験がプラスされて出来た色は、一つとして同じものはありません。

ここまで書いた事柄も、自分のパーソナリティに発達特性が掛け合わさって出てきたもの。

あくまでパーソナリティが先、発達特性はそのあとです。


「へー、こういう事もあるんだ。ふーん。」ぐらいのノリで読んでいただけたのなら幸いです。




おしまい。