運命の人に出会うタイミング

いくら考え方が似ている友人でも,違うところがあるものだ。

「もっと遅く出会っていたらって思わない?」

いつどこで出会っても結論は同じ派の私は,彼女の言葉を否定した。でも,ほんの少しだけ,確かにって思った。

いや,もしも遅く出会っていたってきっと,いや,結婚していたのかな,でもきっと彼とは同じ地元だから出会えたのだ。

彼と同じ布団に入るとき,

「いつ出会ったって結末はいつも同じだと思う」

と言うと,彼は「そう思う」とだけ言った。私たちは似てるのではない。同じなのだ。怖いくらい同じだ。異なる部分はまだ知らないだけ。知ったらきっとまた同じになる。

彼となら,いつか出会う運命だったんじゃないかと思う。

人は出会うべきタイミングで出会うべき人に出会う。

これが本当なら,きっと然るべきタイミングでの再会だっただろう。もう会えないと思っていた。それなのに,いつも本当に諦めると彼に会える。だからやめられない。また諦めるまで,本当の意味で諦めるまで彼には会えない。

だからきっと,彼と一緒になるにはこの人生ごと諦めなければならないだろう。

まあそんなことは誰にも言わないけれど。

もしももっと早く出会っていても,遅くに出会っていても,きっと私たちは同じように「同じ」であることを見つけ,感動し,怖がり,それから,どうなるのだろう。

切ろうと思っても切るものがない。運命の赤い糸があるなら,きっと私と彼は繋がっていない。二人を繋げるものなど何もない。ただ,感覚が一緒。それだけだ。

繋ぎ止めるものなどない。もしも差し伸べてしまったら,いつか切るか切られるか,どっちかだ。だから諦めるしかない。

「なんでそんな難しい恋愛するの」なんて,言われちゃったらそれまでなんだけど,まあ11月生まれはロマンチストらしいから大目に見てほしい。

こんなに難しいことになっているのは,私がそう勝手に考えているだけ。彼から見たら,怖いくらいに趣味が合う変なテンションの女,だろう。きっと。

いや,ちょっと可愛いと思うけど笑。ていうか思ってるより大人だと思うよ,私。

まあ,簡単に言うと,私は彼のことが好きだけど,彼の好きな趣味が私も好きで,そんな彼の感覚が私のものみたいで,私は自分のセンスが好きだから彼のセンスも好きで,じゃあ彼のこと恋愛として好きなの?って訊かれると少し困るわけで,でも離れていても彼のことは忘れられないわけで,忘れるはずがないわけで,ただ彼といてもドキドキしないというか,それなのに一緒にいたい,そばにいたいと思う,そんな感じ。

人として好き,というか,同じ,なんだよ本当に,他人なんだけど自分の感覚なんだよ。怖い。

失うのも怖い。忘れるのも怖い。でも,これを抱えながら,こんなに早くにこの感覚に出会いながら,別の人と恋をして結婚するなんて,そんな風に生きていくなんて,11月生まれにできるだろうか。

もしももう少し遅くに出会っていたら,もしももう少し早くに出会っていたら

もしも出会うタイミングがこれで正しかったのなら,ねえ神様,どうしたら私はこれと付き合っていけるのかな。

どうしたらこれを大事にできるかな。周りの人に,そして自分に,優しい選択ができるかな。

微かな望みは,彼も同じ11月生まれといったところだろうか。

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