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【Case Study】アイヌ文化と全世界をつなぐ国際プロジェクト「The Story of DEBO」


What is 「The Story of DEBO」

「The Story of DEBO」は、アイヌ文化アーティストの秋辺日出男(DEBO)氏とコラボレーションした国際プロジェクト。

DEBO氏のライフストーリーを通じてアイヌ文化を紹介する、最先端技術を活用したコンテンツを公開し、オンライン上での文化交流機会の提供を通じて、これまでアイヌ文化と触れ合うことのなかった人々との関係性の創出を目指したものです。


BACK GROUND

ツナガルは、地域の人たちと共創して世界中にむけたバーチャルツアーを発信するなど、新しい関係性の創出や繋がりを深める活動を続けています。

なかでもバーチャルツアーサービス「LIVE Travelers」は観光DXの代表的な取り組みとして、「感動体験」と「双方向の関係づくり」をオンライン上で提供しています。

日本には世界に誇る観光資源や文化遺産が多く存在しています。
一方、地域観光業の課題として、ローカルに存在する文化資産はアクセスが悪かったり、必ずしも万人受けするものではない場合もあります。

そこでツナガルは地域創生の一手として、海外の方々にオンラインでツアーに参加していただき、地域や文化、そして地域人材のファンになってもらうことを考えました。

地域とファンのあいだにできた「関係性」が、交流や実来訪、モノの売買につながり、文化の持続可能性がうまれるーーこれこそがツナガルの考える「観光DX」です。

本プロジェクトでは、映像やウェブコンテンツを超える複合的な観光コンテンツや、アート作品やNFTを道内のクリエーターと共同で開発することで、地域が持つ魅力を多面的に提供し、地域とファンとの継続的な関係構築を目指しています。
さらに旅先として北海道やアイヌコタンが選ばれ、地域に持続的な観光収益をもたらすための取り組みです。


ACHIEVEMENTS

「The Story of DEBO」では、バーチャル空間の構築や3Dスキャンといった技術を駆使し、「オンラインツアー」「映像制作」「NFT作品販売」の制作をおこなっています。

本プロジェクトは、ツナガルが得意とする「五感を刺激する」「イマーシブ(没入感のある)」な体験を提供しています。

以下に、各ソリューションの詳細を紹介します。

【1】流木に魂を吹き込むアイヌの手仕事~普段見ることのできない制作シーンを全世界に生配信~
アイヌアーティストの中でも数少ない、流木を素材に作品を造り出すDEBO氏の貴重な制作現場を、阿寒湖アイヌコタンから全世界に生配信しました。

オンライン配信機能を通じて寄せられた世界中の参加者からの質問にDEBO氏がリアルタイムで答える形で進行した結果、300人を超える人々が阿寒湖をバーチャルで訪れ、アーカイブを含む本配信の視聴回数は500回を超えました。

参加者からは、「自然と別々に生きるのではなく、共存しようとするアイヌの自然観は素晴らしい」「アイヌの人々は世界の他の先住民族との交流はありますか?」「アイヌのチセ(家)は日本中に存在しますか?」といったアイヌ文化を深く理解しようとするコメントや質問が多数寄せられるなど、海外の人々とアイヌ民族の間での交流を活性化させることができました。

また参加者に実施した任意のアンケートによると、回答者のうち半数が来日経験がなかった一方、「このバーチャルツアーで会った人物に直接会ってみたいと思いますか?」という問いに全員が「はい」と回答しました。

今後も国内の文化資源やアーティストとコラボレーションし、地域に持続的な収益をもたらすような循環型観光モデルの創出を目指します。

【アンケート結果】
(Q: 日本に何回訪れたことがありますか?)


(Q: このバーチャルツアーで出会った人物に直接会ってみたいと思いますか?)

【本配信のアーカイブ映像】
<ダイジェストバージョン>

<フルバージョン>




【2】阿寒湖の神秘的な自然環境を舞台にしたVR空間を公開
全域が阿寒摩周国立公園に含まれ、森や山々とともに日本を代表する山岳自然景観を保つ阿寒湖。

そんな世界に誇る雄大な自然環境の中を歩いているかのように探索できる、ウェブ上のVR空間を公開しました。

空間内に散りばめられた22個のアイテム一つ一つがDEBO氏の木彫作品やライフストーリー、阿寒湖の生態系を伝える内容になっており、すべてのアイテムを集めることで、アイヌ文化や自然環境への理解度を高めることができます。

映像やウェブコンテンツを多層的に組み合わせ、深く没入感のある体験を提供することで、物理的距離に捉われない関係人口の創出や観光による来訪促進を目指します。

VR空間サイト:https://live-travelers.com/akan_vr/player.php


【3】本プロジェクト限定のアート作品&NFTの販売を通じて収益の一部を地域に還元

国内に留まらず、アイヌ文化と全世界の人々がつながりを持つきっかけの一つとして、アイヌアート作品やNFTアートの購入を通じた関係づくりに取り組みます。
これにより、アイヌ文化の保全や、先端技術との組み合わせによる新しい価値の創出を図ります。収益の一部は地域に還元し、持続可能な観光モデルの推進や文化継承に寄与します。

① バーチャルツアーで完成した本プロジェクト限定の木彫アート作品を販売

② 道内アーティスト・大澤幕氏と共同で、阿寒風景や木彫作品をコラージュしたNFT作品をリリース
※VR空間をクリアすると、作品購入ページにアクセスすることができます。


COLLABORATION


本プロジェクトの北海道内共創クリエーター

秋辺日出男[DEBO](アイヌ文化アーティスト)
阿寒湖温泉にてアイヌとして生まれ、高校卒業後父親から木彫りの手ほどきを受ける。伝統舞踊の振り付けや演出も長年手がけ、東京五輪・パラリンピックではアイヌ舞踊パフォーマンスで総監督を務めた。阿寒アイヌ工芸協同組合専務理事。

大澤幕(株式会社ベークン代表取締役)
寿都町生まれ。平面絵画を主体に写真、映像、音源を取り入れたコラージュ制作を得意とするアーティスト。有体的な作品構築以外にも、企業の無形サービスにアートをのせて商品化する「現代社会経済と共に生きるアート」を過去22年間取り組んでいる。

北川陽稔(haptics Inc.代表)
札幌生まれ。東京にて映像作家として活動し、短編映画の制作等を行う。作品はアンディ・ウォーホルやガス・ヴァン・サントを輩出した映画祭において選考上映され、国内映画祭にて入賞。近年はランドスケープや植物をモチーフに、人が向き合う環境の多層性・多様性を表現する作品を制作。また、haptics Inc.代表としてコマーシャル映像、インスタレーションやAR/VRコンテンツ等も手掛ける。

須之内元洋(札幌市立大学講師)
札幌を拠点に活動。ソニー株式会社、サイボウズ・ラボ株式会社勤務を経て、2007年より札幌市立大学デザイン学部へ。メディア環境学、デジタルアーカイブ情報学、メディア・アーツ分野の研究・教育に取り組む。並行して、2005年にデザインファーム「assistant」を共同設立し、現代美術家や建築家の仲間とともにデザインの実践を行う。

CREDIT

森村 俊夫(ディレクター)
イベント企画やメジャーアーティストのマネージャー等幅広い経験をした後、2020年ツナガル株式会社に入社。札幌オフィス立ち上げから参画し、新規事業としてスタートしたオンラインツアーのメインディレクターを務める。ツナガルがこれまで取り組んでこなかった地域との関係値作りをメインに、企画営業からディレクションまで幅広く担当。



ツナガルは、観光地域づくり法人(DMO)や文化継承に取り組む自治体と協業しています。
地域や文化の魅力発掘、魅力発信、体験コンテンツ造成を私たちといっしょにしませんか?
地域の「やりたいこと」をヒアリングベースでかたちにしていくことも可能です。
話を聞きたい方は、ぜひお気軽にご連絡ください。


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