「迷惑をかけないこと」より大切なこと

日本人には自責的な人が多い。気がする。
責任感が強い、というと聞こえはいいけど、過度に自責的な人の割合が多いように思う。

完全に私見で、全くエビデンスはないけど、これは、身内に厳しく他人に甘いという幼少期の育てられ方の影響があるような気がしている。


マスク警察や自粛警察をみてわかるように、日本の同調圧力はすさまじい。
なので、多くの人は他者からの目を気にするし、人に迷惑をかけるかもしれないことを避ける。
空気を読めない振る舞いを極端に嫌がり、自分も他者にそう思われないように神経を使う。

そして、自分の子供にもそういう教育をする。
「人に迷惑をかけてはいけない」とか、
「相手の気持ちを考えて行動しなさい」とか。

もちろんどちらも大切なことではある。
でも、本当は、いちばん大切にすべきなのは自分自身であるはずだ。

そこをちゃんと明言しないまま、「迷惑をかけるな」とか「相手の気持ちを考えろ」と教えると、迷惑をかけないために自分を犠牲にしたり、相手の気持ちばかり考えて自分の気持ちを偽ったりするようになってしまう場合があるのではないかと思う。


もちろん、多くの場合、親たちは、言葉にしなくてもたくさんの愛情を子供に注いでいる。
そして、子供の側も、親たちが厳しさの中に大きな愛情をもって教育してくれていたことに気づく。

しかし、子供がそれに気づくのは、多くの場合、ある程度大きくなってからだ。
自分が親の立場になってはじめて気づく場合もあるかもしれない。
もっと言えば、ネガティブな感情に支配されてしまって、その愛情に気づかないままの場合だってあるかもしれない。

思考パターンの骨格が形成されてから、それを修正していくことは、簡単ではないし、時間もかかる。
大人になってから、「自分を大切にしなさい」などと言われて、急にできるわけがない。


健全な自己愛、それっぽい言葉でいうと「自己肯定感」を育むためには、あるがままの自分が愛されているという安心感が望ましい。
親は、確かに子供がまっとうな大人になるために教育する義務があると思うが、それは誰かのためではなく、本人のためであるはずだ。
子供が間違ったことをしたときに、厳しく叱ることも必要だと思うが、それ以上に、ほめたり、愛情を子供にもわかる言葉で表出することが必要なのではないかと思う。


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