記憶の棘

大好きなひとには幸せでいてほしい。
自分には知る由もないんだけど、でも、なんとなく、たぶん、きっと、傷ついているような気がしている。なんの根拠もないのにそう思って、胸が苦しくなっている。死ぬほど余計なお世話だし、心配してもなんの役にも立たないどころか迷惑でしかないのもわかっている。でも、なんにもできないのに、いてもたってもいられない。もどかしいし、切ない。できない、なんにも。世界を変えれない。
あなたをまた観たいし気持ちを伝えてほしいし声を聴きたいし会いたいしお話ししたい。でも、そんな自分の浅ましい願いは心底どうでもよくて、本当の願いは、あなたが、自身の思う通りに生きて、満足して、幸せになってほしい、ただそれだけです。それがとても難しいことであるのはわかっているけど、でも、とにかく、心からそれを願っています。そこに自分はいなくてもいいし、知れなくてもいい。どこかで幸せになってくれていたらそれでいい。
どうか自分を貶めないで。ずっとやり続けてきたことの意味は結果にはなくて、その過程にこそあるはず。やり続けたこと自体がすばらしいことだし意味のあることだよ。
そして、あなたのその言葉が、姿勢が、表現が、どれだけ深く自分に刺さっているか、心を見せられるならすべて見せたいよ。自分の世界に、あなたの言葉は不可欠な存在になっていて、ひとつひとつが大切な、あなたが並べた記憶の棘です。もうすでに刺さって抜けなくなってるのに、ここからじゃ触れられなくなったら、自分はこの先どうしたらいいのかわからない。
でも、もうずいぶん前から、あなたのすべてを信じると決めているから、もうこれは自分自身の問題。すべてを肯定するし、受け入れる。その気持ちは変わらないし迷わない。思う通りに進んでくれたら、それがどういう方向でも、自分にとっても本望です。

ぼくの身体から心を少しずつ剥がして
きみに渡して その全部をあげるから
剣の柄からルビーを この瞳からサファイアを
鉛の心臓はただ傍に置いて

ヨルシカ「左右盲」

大切なひとの幸せのためなら、自分の全部をよろこんで捧げたい。幸福な王子の幸せがなんだったのか、今ならわかる。王子は自分がそうしたいからそうしたんだ。だから「幸福な王子」なんだ。
全部フィクションのわけないし、大切なことほど、絶対に嘘がつけないの知ってるよ。世界中で自分ひとり…のわけないんだけど、万が一そうだったとしても、自分は最後まで絶対に肯定し続けるし、勝手に最後まで応援するからね。

君なしでも生きていける
そういう仕組みでできている
それなのにさ 今日もまた
胸が苦しくなるのよ

ズーカラデル「ノエル」



たいせつなひとに届きますように

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