初めてライブを観たバンドで曲が始まる前に泣いた話

私が思う程、私はきっと弱くない。


今日は
LIVE HOLICK -ROCK BAND DREAM-
に行ってきた。もともと行く予定はなくて、つい三日前のユニゾンのライブがあまりにも脳をぶち抜くほどのかっけぇ音で溢れていて気持ちが良かったから、目の前にライブ予定があり且つチケットも余っているのに行かないなんて選択肢をとる余地はないなとなり急遽行くことになった。もちろん一人で存分に音楽を浴びに行くつもりで。


Hump Backのライブを見るのは今日が初めてだった。曲もたいして知っているわけでもなくて、なんならライブに行く電車の中で興味本位で聞き漁っていたぐらいであった。

そんな私でも知っている、高校生の時から聞いている、

「拝啓、少年よ」

Twitterで音楽が好きな人たちがこぞって褒めていたからミーハー心で聞いたこの曲。初めてmvを再生した時、歌詞の一行一行、一言一言が直接打球で心を優しく殴ってくれる、ハンブレに出会った時のあの胸が熱くなる感覚に似ていた感情を抱いたのを覚えている。


たった20年、されど20年の人生で、挫折したことも負けたことも、悔しいことも泣いたことだって数えきれないほどある。大小すら違えど全部抱えて生きてきた、だから今の私がいる。

ペルシカリアのボーカルの親御さんに向けた言葉だった、でもあれは私にも響いた。
「ペルシカリアの親御さん今日来てるって言ってた、あなたたちの息子さん、かっこよく生きてますよ!」
その前の、
「毎日の仕事で稼いだそのお金でチケットを買ってライブに来てる、かっこいいよ!」
あとなんだったかな、もっと、言ってたこと全部心に刺さったのにいっぱいいっぱいで全然覚えてないや。

無性に泣きたくなった。
なんでかわからないけれど、ハンプがかっこよくて、私の生き方を肯定してくれて、青春を呼び戻してくれて、"今"を青春にしてくれて、少年少女と呼びかけてくれて、一人でライブを観るあの孤独なんてぶっ飛ばすかのような、まるでヒーローみたいで、
視界がぼやけて自分の目に涙が溜まっていく感覚がわかって必死で堪えていたけれど、気がついたら鼻を啜りながら泣いていた。

曲が始まって、ああ、聞き慣れた、
「夢はもう見ないのかい?」「明日が怖いのかい?」「諦めはついたかい?」
「馬鹿みたいに空が綺麗だぜ」
歌詞が耳に届く。
タオルを握りしめながら、でも拳はあげたくて、きっと誰も見ていないのに上げた腕で、涙でメイクの落ちた顔を隠すかのようにして拳を作った。ライブ中にこんなになったの久しぶりだよ。

「あぁ もう泣かないで
君が思う程に弱くはない」

優しいな。
そんなこと言われたら、もっと涙が出ちゃう。


バンドと出会うのって恋と同じ。
バンドにも一目惚れがあって、恋心ってそんな簡単にもうやめようと思ってすぐやめられるものじゃなくて、バンドも、一度良いなと思ったらもうそう思うことしかできなくなってしまう。

つい数時間前まで名前を聞いたことがあるぐらいだったHump Back。
今は私に強さをくれた、もっと沢山の曲を聞いてみたいバンドのHump Back。


さっき「一人でライブを観る孤独」っていう言葉を使ったけれど、一人で観るライブって寂しいだとか心細いだとかだけじゃなくて、もちろんそれも多少なりともあるけれど、それよりもまるで私のためにあるかのようで、周りの全てが消えて真っ直ぐに音が心に響いてすごく気持ちが良いんだよ。お互いの大好きな曲がセトリに組み込まれていて思わず目を見合わせるのも、ライブが終わった後に感想を言い合うのもすごく楽しいしだいすき。だけど一人で行くライブも、それもまた一興なんだ。だって今日も、凄く楽しかった。


初めてライブを観るバンドで泣くだなんて思ってなかった、っていうとそれはちょっと嘘で、実はもしかしたら泣いちゃうかもしれないって自分で分かっていた。普段聞いてる時でさえうるっとしてしまう曲をライブで生で聞いたら、きっと泣きじゃくってしまうなと思って。案の定だった。

でも別にライブで泣くことって悪いことじゃないし、私はライブで泣けないこともあるけれど、そっちの方が多いけれど、曲によっては、バンドによってはこんなにも簡単に涙が流れてしまうんだと気がついた。ちょっと恥ずかしいな。でも、そんな恥も感じられないぐらいハンプの40分間はとんでもなく素晴らしい時間だった。恋に落ちるには十分すぎる時間だった。

ハンプで感情がいっぱいになっちゃったけど、もちろん他のバンドもかっこよかった、すごく。ユニゾンは言うまでもないよね。


ライブって特別。
学校に行って、バイトして、課題を片付けての繰り返しのモノクロの日々にライブっていう彩りがついてこその私の日常。ライブがなかったら、ロックバンドがいなかったら私はきっと私じゃいられなくなっちゃう。
でもロックバンドがいてくれれば、音を鳴らし続けてくれれば私はいつだって最強になれる。ロックバンドって素晴らしい。


お願いだから、ロックバンド。音を鳴らし続けて。縋らせて。
でもきっと、私がこんなこと言うまでもなく私の大好きなロックバンドたちはこれからも音を鳴らし続けてくれる。
私はこれからも、無我夢中でそれを抱えて、音をかき集めに行くよ。


「ロックバンド最高!」

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