拝啓。これまでの私、これからの私。

下を向いていた。
すべてを見下し、否定し、死にたいと思っていた。

ずっとずっと、思っていた。はずだった。

ある日突然、それは聴こえてきた。

死にたくない。生きたい。生きていたい。

そうして上を向いた。
星を、理想を、なりたい自分を掴もうと手を伸ばし、もがき、倒れ、這いつくばりながら進み続けた。

少しは近づけたかな。なれたかな。苦しかったけどやりがいがあった。たくさんのものを得た。この道を選んでよかった。心の底からそう思う。

でも。この手の中にない、こぼれ落ちたものもたくさんある。あの人をもっと好きになれたかもしれない。みんなとワイワイにぎやかに楽しく過ごせたかもしれない。家族と共に過ごせたかもしれない。

そうであれば、今度は。前を向こう。
下でも上でもなく、前を。

下を向いていた私。上を向いていた私。すべての私を抱きしめて、手を繋ぎ、この美しい世界を、共にのんびりと歩んでいこう。

なりたい自分を目指すのも素敵だけれど。
なれる自分になってもいい。在れる自分で在ってもいい。

大丈夫。星も、理想も、すべては今この瞬間ここにあるのだから。たとえ私が手を伸ばさなくても、目を向けていなくても、忘れてしまっても、いつでも遠く気高く美しくあり続けてくれるのだから。

世界は私を、私たちを、いつでも慈しみ受け入れてくれるのだから。

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