38歳不妊治療 体外受精→妊娠→流産10

手術日は8w5d。手術前の診察で心拍が再確認できた例がある…というのは、やはり呪いだった。もう必要ないと言われたルトラールを、処方分、飲みきらずにはいられなかった。手術前日には、朝まで一睡もできなかった。寝るのをあきらめて起きだすこともせず、ずっと隣で眠る夫の寝息を聞いていた。

朝7時、会社を休んで病院に付き添ってくれる夫を起こす。寝られていないことを告げ、1時間だけ寝ようと努力する。

病院の予約は10時。

最後の内診室には、夫も入れるように手配してもらった。「そんなことはあり得ない」。そう思いながらも「もしかして」を捨てきれず、2人でモニターを見る。心拍は、やはり無い。8w0dの診察時よりも小さく、胎児は4.4mmになっていた。

「手術しましょう。よろしいですね」。Z先生が確認する。最後の抵抗とばかりに、「自然流産を待つ方が、体に負担がないと聞きました。次回の妊娠を考えたときにも手術を選択した方がよいでしょうか」と尋ねる。自然流産を待っても、完全流産になるとは限らないこと、胎のうの大きさから、大出血をおこす恐れがあること、そして処置的であれば胎児の染色体検査ができること。それを改めて告げられ、手術をすすめられた。「分かりました。お願いします」。そう言った瞬間に、涙がこみ上げた。もう生きてはいないけど、それでもお腹の中には赤ちゃんがいる。その子とほんとうにお別れなんだ。

「では、手術に向けての処置をします。旦那様は内診室をお出になられてください」。看護師さんが言い、夫が出て行く。私は内診台の上で泣きながら、そのまま手術に向けて子宮口を広げるラミナリアを入れられる。内診前に渡された座薬が効いて、それほどには痛くない。痛くてもよかったのに。誰に何をか分からないが、痛ければ何かを償えるような気がしていた。

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